表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お狐様スローライフ  作者: くるみざわ
狐っ娘、大会ライフ
77/144

P77 必殺、見本パンチ!

 バトルロワイアルが無事かどうかはさておき、予想通りにシャロの突破で終わった。


 そして翌日、武闘大会本選当日になった訳だけれども、やーっとわたしも戦えるよ!

 別に戦闘狂で強き者達と戦いたい欲がある訳ではないんだけれどもさ、やっぱシャロが暴れまわってるのを見ると、わたしも動きたくなるよね。


 身体がゲームのキャラだからなのか、元々ゲームでは色々なダンジョンやイベントに毎日行ってたから、ゲーム時代の時のように動きたい欲がある。

 それに、今までやってきたゲームの感覚、身体と戦闘の勘とかが鈍ってしまうのは勿体なく感じてしまう。ゲームはわたしの全てだったと言っても過言ではないから、ゲームでの経験は残しておきたい。

 だからたまには戦って身体を動かして、勘が鈍らないようにしておきたいんだよね。


 まぁ、元はと言えばお金目的なんだけれども、お金だけの目的ではないって事だ。勿論、最も重要な目的はお金で間違いはないんだけどね。


 わたし含め他選手達の控室は個室になっている。なので、闘技場まではシルフさんとシャロと一緒に来たけど、わたしは今、自分の控室に一人だ。

 その控室でわたしは自分の目を疑う物を見つけてしまった。


 控室の壁にトーナメント表が書かれてある。紙に書かれて張られているとかではなく、壁に直接魔法で書かれてある。

 魔法ペンって言うのがあるのは知っているから、その事に対して自分の目を疑った訳ではない。

 問題は書かれてある選手の名前。主にわたしの名前がおかしい事になっている。


「絶対あの王の仕業だ……。ラライア姫には悪いけど、本当に碌な事しないな、あの王」


 トーナメント表のわたしの名前がツズリではなく、余分な物が取り付けられている。そう、ツズリ・フォルグナス・アーベラルと。


「なーにしれっと自分の一族に取り込んでんだ!」


 参加表明の手紙を出したのはあの王だ。絶対その紙にツズリ・フォルグナス・アーベラルって書いただろ。

 王子を押し付けてきた件と言い、どうしてもわたしを王族に取り込みたいという意思を感じる。


 ラライア姫と姉妹になるのは別に嫌ではないけど、あの王に取り込まれる事は絶対に嫌だ。というか誰かに取り込まれる事自体が嫌だね。


 っとまぁ一旦、王の悪事はおいといて、トーナメント表を見ておこう。


 本選出場の選手は全員で八人か。もっと多いと思ったけど、八人だけなんだね。

 当然ながら知っている名前はわたしとシャロの二人だけ。この世界での知り合い何て、ルル達ちびっ子組かルルの街の冒険者にラライア姫がいる王都の騎士達くらいだから知っている人がいる訳ないか。


 トーナメント表にはわたしとシャロの名前は両端だ。シャロが左でわたしが右。


「シャロと当たるのは決勝か。初戦からじゃなくて良かったー。やっぱ、一番強い人とは決勝で当たりたいよね」


 他の選手を知らないけど、シャロより強いって事はないと思う。こんな世界だから絶対にないとは言い切れないけど、バトルロワイアルを見る限るじゃ、早々いないはずだ。


 楽しみな戦いはやっぱ最後にじゃないとね。

 ゲームで例えるならシャロはラスボスだ。二人の刺客を倒してようやく戦う事が出来るボスだ。

 ボスは最後に倒さないとね!


「さぁ! いよいよ、今日! 待ちに待った本選が始まります!」


 トーナメント表を見ていたら、外から司会の声が響いてきた。


「おっ、そろそろ始まるんだね。わたしと戦う事になるかもしれないし、相手がどういう選手なのかちゃんと見ておかないとね」


 っと言っても、観客席に行く訳ではない。勿論、中継出来るモニターがある訳でもない。

 控室には扉が二つあって、一つは廊下に出る出入り口。もう一つは、闘技場の真ん中、つまり昨日シャロが戦っていた場所に出る事が出来る扉だ。


 わたしは廊下ではない方の扉から外に出る。

 場所的には、観客席の真下。野球場のベンチ的な構造になっている。


 自分の番が来たら控室から直接、戦闘ステージへ行けるという事だ。そして、特等席で観戦も出来る!


「おー、昨日シャロがボコボコにした痕跡が、綺麗さっぱりとなくなって整えられてる!」


 重機だとどれくらい時間かかるのか分からないけど、少なくとも一日じゃ終わらないかもしれないくらい酷い有様だったのに、すっかり綺麗になっている。

 流石魔法、便利だ。


 それから真ん中には、昨日はなかったはずの土台が設けられているね。多分、本選はそこで戦うんだろうね。バトルロワイアルみたいに大勢で戦い合う訳じゃないから、こんなに広く使わないだろうし。

 まぁ昨日は大勢で戦い合うというか、大勢がシャロの犠牲になっただけなけれども。


「本選のルールは簡単! 近接戦闘のみの戦闘、それから現在私が立っているこの場所から落ちて場外になるか、戦闘不能状態、または降参をするかで勝敗が決まります!」


 予想通りあそこで戦うみたいだ。

 普通の戦闘で負けるつもりはないから、場外がわたしの負け筋かな。なんせ、ツズラオさんの力を借りても、シャロのような馬鹿力はないから吹き飛ばされて落ちるって事があり得ちゃうからね。


「今日の予定は午前に二試合、午後から二試合! トーナメント表の左から順に行います!」


 トーナメント表、勿論、控室だけではなく観客からも見えるようにでかでかと書かれてある。野球場の得点表をの部分がまさしくトーナメント表になっている。

 そして勿論、名前もでかでかと書かれたある。ツズリ・フォルグナス・アーベラルと……。


 ここから魔法を放ってフォルグナス・アーベラルの部分だけ潰そうかな。偽名を使う事になってしまうし、その方がいいよね。

 観客が周りにいるから、そんな事は出来ないけれどもさ。


「それでは! 第三五三回、人族武闘大会第一試合! バトルロワイアルを突破したシャロ選手と人族随一の怪力持ちシェンリ選手の入場です!」


 この大会って三五三回もやってるの!?

 確かオリンピックと同じで四年に一回開催されるって言ってたから、おおよそ千四百年か。意外と歴史が深い大会なんだね。


 観客の歓声とともに、各々の控室から真ん中の戦闘ステージに向けてシャロとシャロの対戦相手が歩いてくる。

 選手と入れ替わるように司会者は真ん中から距離を取った。ボクシングや相撲と違って武器とかも使うだろうし、激しい戦闘なんてされて巻き込まれたら大変だから当然だね。


「っというか、紹介されるのか……。滅茶苦茶恥ずかしいじゃん……。わたしはなんて紹介されるんだろう。あの王の事だから碌な事にならなさそう」


 何か対策を練っておかなければならないかもしれないな。


 さて、シャロの対戦相手はここからでも分かるほどの大男だ。シャロの二倍、はあるんじゃなかろうか。本当に人間かってくらい大きい人だ。

 司会者の紹介で言っていたけど、人族随一の怪力に相応しく筋肉も凄い事になっている。腕何て細身のシャロよりも太いんじゃなかろうか。


 ゴリラ、じゃなくてガイラさんが見れば一目惚れしそうな筋肉だね。

 筋肉二人が一緒に居る所を想像すると、酷い絵面が想像出来てしまうよ……。ムキムキ二人がお互いのムキムキを自慢し合ってムキムキのムキムキで……想像するのはやめておこう。脳ミソが筋肉になる。


 その筋肉怪力大男に対してシャロはほっそりとした体形だ。二人が対峙する事によってお互いに大きさが際立っている。

 大男はシャロがいる事によって普段より大きく見えるだろうし、シャロは大男がいる事によって普段よりも細く小さく見える。相乗効果ってやつかな。


 「怪力自慢の大男」対「細いくせに馬鹿力のシャロ」。

 これは良い組み合わせなんじゃないかな。お互いの力がものをいう勝負。どっちが力持ちなのかを決める名勝負になる予感がする!


「両選手、揃ったようです! それではお待たせいたしました! 第一試合開始だー!」


 第一試合から観客も凄く盛り上がっている。こんな調子じゃわたしが出る頃には皆ヒートダウンしているんじゃないか。

 まぁ、その方がわたしとしては有難いけどね。


「うおりゃあああああああっ!」


 最初に動いたのは大男の方だ。

 バトルロワイアルのあの惨状を見ていれば、例え美少女であったとしても油断をせずに最初から全力を出すのは正解だね。


 大男はシャロ目掛けて一気に距離を詰め、シャロよりも太い腕を振り上げ拳を振り下ろす。

 それに対してシャロは一歩も動かない、正々堂々と受けるつもりみたいだ。


 流石のシャロもあの大腕のから繰り出される威力のパンチは耐えられないんじゃないか?

 元々の筋力に更に強化魔法も使っているだろうし、自分の強さに溺れて慢心しているんじゃないだろうか。


 っと思っていた時期がわたしにもありました。

 シャロは動く事もなく、片手で大男の拳を受けてめていた。


「まじかー。シャロの力を見くびってたのはわたしだったかー」


 呆気に取られて、そんな感想しか出てこない。大男もどういうことなのか分からず、目が点になって固まっているよ。

 どこまで怪力なんだ、あの細身の身体は……。


「なんじゃその見掛け倒しのへなちょこパンチは、そんなんじゃわしは倒せんのじゃ。わしの見た目で手加減しおってからに……」


 いや、手加減していなかったと思うけどなぁ……。衝撃音も凄かったし、衝撃波も凄かったけどなぁ……。


 大男のパンチは空気が震える程の威力があった。恐らくわたしが受けていたら吹き飛ぶ威力だ。

 だがしかし、シャロは大男の拳を片手で受け止めた。微動だにせずに反動で後ろに下がる事もなく、その場でただ受け止めた。

 シャロへの影響は被っていたフードが衝撃波で脱げて銀髪が靡いている事くらいだ。


 いつも思うけど、どうせ戦闘で脱げるんだからフード被ってなくてもいいのに。というか、マントいらないでしょ。


「折角じゃ、パンチの仕方を教えてやろう。その身体に直接叩き込んでやるから、身体で覚えるのじゃぞ。では、行くのじゃ。見本パーンチ! なのじゃ!」


 渾身の殴打を受け止められて固まっている大男に、シャロが思いっきり腹パンした。いや、思いっきりではなくシャロ的には軽くかもしれない。

 それでも、大男は吹っ飛んだ。壁まで吹っ飛んだ。


「すっごくダサい技名だったけど、威力が高すぎる! なんの見本にもならないよ!」


 吹き飛んで行った大男には、すぐに救護班が駆け付けている。壁にめり込んでいるので、先ずは剥がすところから救助しないといけない。


「人が壁にめり込んでるとこなんて初めて見たよ……」


 アニメとかマンガくらいでしか見た事なかったけど、実際に目で見る日が来るとはね。異世界、恐ろしい。


「……だ、第一試合はシャロ選手の勝利です!」


 司会者も会場もこんなに早く終わるとは思っていなかったようで、皆固まっていた。司会者の声で観客も我を取り戻し、歓声を上げる。


 もっといい力と力のぶつかり合いをする名勝負をすると思っていたけど、シャロが圧倒的すぎたね。

 わたしもシャロと戦う時は絶対にパンチに当たらないようにしないとだ。あの大男であそこまで吹き飛ぶんだったら、わたしなんて月まで吹き飛ぶよ。


 戦いというにはちょっと物足りないけど、戦い終わったシャロは自分の控室に戻っていく。入れ替わりに次の選手がステージに上がった。


「続いて第二試合、変幻自在の武器を操るSランク冒険者、スライク選手、対、猪突猛進のランス使い、Aランク冒険者のアンク選手です!」


 観客席からはキャーっと歓声が上がる。歓声というか悲鳴?

 主に女性からの悲鳴に近い歓声が上がっていた。


 その訳は二人の選手を見れば分かる。どっちもイケメンだからだ!

 イケメンで更にはわたしよりもランクが上のSとA! そりゃ女性に人気が出る訳だ!


 まぁわたしが気になるのは顔よりもこの二人の実力だ。わたしよりもランクが上って事はわたしよりも強い実力があるって事だよね。

 今度こそ、今度こそ白熱した戦いが繰り広げられるに違いない。SとAランクの冒険者の先輩の試合を見させてもらおうじゃないか!




毎度の事ながら、誤字報告等ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ