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お狐様スローライフ  作者: くるみざわ
狐っ娘、大会ライフ
76/144

P76 シャロが強すぎる

 バトルロワイアルが始まったその瞬間、まず初めに中央で爆発が起こった。


「ああっと! 開幕早々、爆発が起こって大変な事になっているぞー! だがこの爆発はどうやら魔法ではないようだ! ルール違反ではありません!」


 司会者というか今は解説実況者になっているけど、その人が言う通り魔法ではない。

 わたしはその原因を起こした人物を最初から見ていたから分かる。シャロが地面を殴ったら爆発が起こった。


 いや、正確には爆発ではないんだけどね。ただの馬鹿力の怪力によるパンチで地面が砕けただけなんだけどれども。

 地面が砕けただけって言うとなんか軽く聞こえるけど、とんでもない事だよね。

 わたしがムカデとの戦闘の時に使った隕石が地面に落ちたのと同じような事を、力だけでやったのと同じ事だよ。

 どんだけパワフル美少女なんだ。限度があるだろうに。


「あの爆発絶対にシャロね。見ていなくても分かるわ。あんな事しでかすのなんてシャロ以外考えられないもの」


「うん、正解。シャロが地面を思いっきり殴ってたよ。エルフってとんでもない怪力なんだね」


 宿の従業員のエルフも、勿論シルフさんもだけど、皆、線が細い身体つきだ。元の世界でもエルフが怪力だなんてあんまり聞かなかったと思う。

 森の奥地でひっそりと住んでるとかっていうイメージだけど、この世界でのエルフはシャロみたいな怪力エルフが現実だ。悲しい事にね。


「そんな訳ないでしょ! シャロが特別なだけで他のエルフは皆普通の人間と筋力何て変わらないわよ。エルフをあの馬鹿力を基準に考えるのはダメよ!」


「ああ、やっぱそうだよね。ごめんなさい」


 うん、違った。

 やっぱシャロが特別に力が溢れてるだけだった。馬鹿な力持ちだったみたいだ。


「さぁ、先ほどの爆発で起こった土煙が引いて行きます! おっと! 一人だけ中央に立っている! 一体何者だー!?」


 絶対シャロでしょ。シャロ以外だったら、今すぐあの中央に行って腹踊りするっていう賭けをしていいくらいだよ。


「ふはははー! わしが! 一番なのじゃー!」


 っと、シャロの声が闘技場に響き渡る。

 闘技場は結構広いから物凄く大声で叫んでるんだろうね。わたしの耳が良いのもあるだろうけども。


 というかほら、やっぱりシャロだ。爆風でフードが脱げて、綺麗な銀髪がキラキラと靡いているから間違いない。

 賭けに勝ったのでわたしが腹踊りするのは免れた。


「っということで、わたしが賭けに勝ったから、負けたシルフさんが腹踊りね。よろしく」


「何の賭けだか知らないけど、私が負けたのなら仕方がないわね」


 何でかは分からないけど、シルフさんが腹踊り(といっても身体をくねくねしているだけだけど)をしているのを横目にわたしはシャロの方に視線を戻す。


「何と立っていたのは黒いマントを着た銀髪の美少女だー!」


 観客からは美少女が立っているとは思わなくておおーっとびっくりした歓声が上がっている。

 いや、どちらかというとシャロの美しさに歓喜している男の歓声って言った方が正しいかもしれない。この距離でもシャロの美貌は伝わるのか。

 それとも、司会者が美少女って言ったら男の人達の視力が凄まじく良くなったのか。うーん、どっちもかな。


「さっきの爆発に巻き込まれた選手達は倒れてしまっているようだ! これで、残りは半分と言ったところでしょうか!」


 凄いな。シャロの一撃で半分持って行ったのか。

 うわー、絶対一対一で戦いたくないよ。でも、優勝争いするなら絶対シャロと当たるだろうしなー。どっかで負けてくれないかな。


 あ、でもシャロに勝つ人がいるってなると、シャロより強いって事だから尚更戦いたくないな……。

 それならシャロと戦う方が良いかもしれない。ある程度戦法が分かっている分、対策のしようがあるからね。


 救護班の人達が倒れた選手達を担架で運び出している。救護班の回収班だからか、担架で運んでいる人達は屈強な身体つきをしている。

 そりゃそうか。バトルロワイアルしている乱戦の中で回収しないといけないもんね。

 まぁ、幸いにも中央はシャロだけで、乱戦にもなっていないから安全に回収出来てるね。


 あの数の治療は大変そうだ。

 わたしが手伝ってもいいんだけど、また女神だーって思われるのも嫌だからなー。ここは、ここの神官達に頑張ってもらおう。


 そんな救護班忙しさを気にもせずに、シャロは残っている選手の方に走っては地面を殴って爆発させ、殴っては爆発させを繰り返している。

 直接殴らない所に手加減をしているんだろうけど、闘技場の地面はぼっこぼこだよこれ。


「銀髪の美少女が止まらないー! 誰か止めてくれる選手はいないのかー!?」


 盛り上げる実況なんだろうけど、どことなく声色に本当に止めて欲しいという嘆願が混ざっている気がする……。

 そりゃこの後ここで本選が行われるのに、これだけ暴れられたらね……。


 まぁ、元の世界と違って重機でのそのそとやるんじゃなくて、魔法でパパッと直せるだろうから、そこまで時間は掛からないと思うけどね。

 ただ、範囲が広いから数人の土魔法の人達は魔力切れるだろうけども。


 勿論わたしは手伝いません。人の仕事を奪ってはいけないからね! めんどくさいからじゃないよ!


「なんていうか……、シャロ無双だね。バトルロワイアルに参加した選手達……いや、犠牲者達が可哀想になって来るよ……」


「犠牲者っ、確かにっ、そんな感じねっ。前回参加したっ、百年前はっ、指一本でっ、もっとおしとやかにっ、戦っていたとっ、思うけどっ、今回はかなりっ、暴れているわねっ」


 シルフさんが未だにくねくねと踊りながら答えてくれた。そのせいで身体をくねらせる度に話が途切れて聞き取りずらい。


 っというか、いつまでくねってるつもりなんだろうか。止めるのも申し訳ないというか、面白いから止めずにくねらせとこうかな。

 わたしの良心が止めるなって言っているからそうしよう。心に素直に従う事が最良の選択だ。


「指一本て……流石シャロだね。無茶苦茶な事をしてるね」


「ええそうねっ、いつも無茶苦茶だわっ。次の日なんてっ、指一本だけがっ、筋肉痛なのじゃーってっ、嘆いてたわっ」


 指一本だけ筋肉痛ってまた器用な……。


 思うんだけどシャロってわたしよりも馬鹿なんじゃなかろうか。わたしも大概やらかしている自覚はあるけど、シャロも色々やらかしている。

 美少女なのに怪力だったり血魔法だったり、そして馬鹿な行動していたりで、女神であるわたしから残念美少女の称号を授けたいくらいだよ。


 あっちでドカーン、こっちでドカーンとシャロが暴れまくっている音が止まった。

 どうやらバトルロワイアルは終わったみたいだね。悲惨な有様で。


「バトルロワイアルを制したのはー! なんと華奢な少女だー! あの銀髪の美少女が勝ち残りましたー!」


 戦いが終わって盛り上がる所だけど、最初より歓声が少ない。シャロの美しさに魅了された男の歓声は相変わらず凄いけれども。


 うん、まぁ観客の人達も全員見れば分かる現状だよね。初手爆発からのぞこからずっとドッカンドッカン言わせてれば、実況も何もいらないくらい誰が勝ち残ったのか一目で分かるよ。

 それに少女と言っても、見た目じゃ分からないけどシャロはエルフだ。見た目は少女だけど人からすると物すっごくおばあちゃんだ。

 わたしの隣で未だにくねくねしながら「シャロの勝ち残りを祝っていつもより多くくねくねするわよー!」って言っている人も大概におばあちゃんだ。


 っというかシルフさんはいつまでこんなにノリノリでくねっているんだ。シャロよりシルフさんの謎ダンスを鼻の下を伸ばして見ている男のファンが出来るくらいは踊り続けるぞ……。

 一体何がシルフさんをそこまでさせるのか、誰が躍らせたのか……、謎は深まるばかりである。


「本選の開始はこの後すぐに行われる予定でしたが、地面の修理が大幅に必要な為、明日から開始とさせていただきます! 明日からの本選も皆楽しみにしてろよなー!」


 っと、司会者が言い残して履けていく。その日の大会は終了した。

 なんというか、シャロが暴れまわってただけだったな……。


 わたしは明日に備えて宿で休む事にした。

 特に何かしたって訳でもないから疲れてはいないけど、戦闘に備えて休むのは一番大切な事だからね。

 元の世界でもイベント開始前日はよく寝貯めてたものだ。イベントボスの周回は最低でも千回は回りたかったからね!


 宿に帰る前にシルフさんと一緒にシャロが闘技場から出てくるの待った。


「あ、来たわ。おーい、シャロー! こっちこっちー!」


 シルフさんが手を振っている方を見ると、分かりやすくシャロが居た。黒いマントにフード、まぁ目立つ。なくても銀髪が目立つけれどもさ。


「バトルロワイアル突破おめでと。これでようやくわたしに挑戦出来る権利が得られたね!」


「何で現状ツズリの方が上になっていて、わしが挑戦者みたいになっておるのじゃ。ツズリがわしに挑戦する方じゃろ。わしは優勝した事もあるのじゃからのう」


「いやいや、それはシャロが若い頃の話でしょ」


「誰が年寄りじゃ!」


「ふにゃっ!?」


 シャロの拳が飛んできた。さっきまで地面をドカンドカンしていた拳が飛んできた。

 まだ何も言ってないのに……、先読みして殴る事ないじゃないか。そのせいで躱す事が出来なかったよ。


「ちょっと、シャロ。子供を虐めるのは良くないわよ」


「そうだそうだー! 暴力はんたーい!」


 わたしが殴られるのを見てシルフさんがフォローに入ってくれた。勿論わたしはそれに乗りかかるともさ。


「ツズリちゃんはちょっと強くて調子に乗ってるが故に、先生にこの大会に出場させられてるの。躾けるなら大勢の観客の前で、試合で堂々と勝負しなさい! そうじゃないとツズリちゃんの先生の策略が失敗してしまうわ」


 ああ、そう言えばシルフさんの頭の中ではそんな設定が付けられていましたね!

 誰だよわたしの先生って!


「おお、そうじゃったのか。ならば飼い主としてちゃんと試合で躾けねばならぬな」


 こっちはこっちでわたしのペット扱いが止まらない!

 エルフって思い込みが激しい人ばっかりなの!?


 まともな友達がいるラライア姫の国に早く帰りたいよ。

 あ、でもまともなのはルルとリリナとラライア姫だけで、コタビはまともかと問われれば違う気がする。というか違う。コタビどう考えても狂信者だからね。まともな訳がない。


「ところで、わしの方からツズリを直ぐ発見出来たから、たまにそっちを見ておったのじゃがの」


 あの観客の中からわたしを見つけ出すなんて、そんじょそこらの人探し絵本よりも難しいと思う。ましてや戦闘しながら何て尚更難易度が跳ね上がる。

 たまたま目線を向けた所に、たまたまわたしがいたって事かな。


「砂漠に落としたお金を探すくらい難しいと思うけど、よく見つけたね」


「ツズリは髪の色が目立つからの。それに、そのヒラヒラした服もツズリしか着とらんから、夜空の星の中から月を探すくらい簡単だったのじゃ」


「難易度イージーすぎでしょ! そこまで目立ってなんかないよ!」


 曇ってない限り誰が見ても一目で分かるじゃないか。寧ろ、ここにいるよって一番大きく光ってアピールしているじゃないか。

 銀髪のシャロ程ではないにしても、確かにオレンジの髪は目立つっていう自覚はあるけど、流石にアピールしてるって程ではないでしょ。大袈裟に言い過ぎだ。


 っというかこの世界でもちゃんと月って言うんだね。言語変換のスキルが分かりやすいようにそうなってるだけかもしれないけど、覚えやすくていい。


「さっきの続きじゃが、そっちを見ておったらシルフが謎ダンスを踊っておったのじゃが、あれはなんじゃったのじゃ?」


「ツズリちゃんとの賭けに負けて罰ゲームで踊る事になったから、シャロを応援をするダンスを踊ってたのよ! 私の踊りのお陰でシャロは頑張れたと言っても過言ではないわね!」


「何の賭けをしていたのか知らんが、過言じゃろ。なんじゃあのくねくねした動きは、頑張れるどころか笑いを堪えるので必死じゃったわい」


 一方的な賭けだったけれども、そもそもシルフさんとは賭けてなかったけれども、何故か了承して踊ってたんだよね。多分エルフ(バカ)だからだと思う。


 そしてやっぱシャロから見てもくねくねしてたんだね。踊りじゃなくてどう見てもくねくねした動きだよね。


「失礼ね! 折角の私の応援の熱意を込めて踊ったのに、それを笑うなんて酷いわ! 本選では踊ってあげないんだから!」


「その方が集中出来て助かるのじゃ」


 シルフさんが頬を膨らませて怒っているのに対して、シャロは心底安心したような顔をしている。そんなにあのくねくねがツボっていたのかな。




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