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お狐様スローライフ  作者: くるみざわ
狐っ娘、大会ライフ
74/144

P74 コタビとラライア姫の冒険

今日はコタビ視点

 ラライア様と一緒に暮らすようになってから、数十日は経ったの。

 暮らすようになった理由は、勿論ツズリ様がいつ来ても会えるようになの。ツズリ様は教会ではなくお城に来るからなの。神殿は苦手みたいで最初の一回以来訪れようとしないの。

 だから、コタビ自身がお城に移動する事にしたの。完璧な作戦なの。


 それを快く受け入れてくれるラライア様には感謝しかないの。


 昔からラライア様と一緒に居る事は多かったからか、一緒に暮らすようになると、なんだか姉妹になった気分なの。

 コタビは孤児院出で神殿暮らしだったから、孤児院の子も神殿の人も、皆家族のように思っているけど、ラライア様はもっと特別に感じるの。


「いよーっし! コタビ! 今日はお城を出て神殿に行きますわよ!」


 ラライア様が唐突に教会に行くと言い出したの。お城から自力で出た事もないのに教会に行くと言い出したの。

 そして、この唐突に言う感じ……。


「ツズリ様の真似なの! この唐突な切り出し方凄くツズリ様っぽいの!」


「流石コタビですわ! 良く気づきましたわね。ツズリ様は唐突に予想だにしない行動を起こす事がありますわ。キャンプをするという時もそうでしたわ! それを見習ってわたくしも行動する事にしましたの!」


「ツズリ様の真似をする事は良い事なの! コタビもツズリ様の真似をする為に作り物の耳と尻尾の開発をしているの! これを付けてツズリ様みたいになるの!」


 お城の中には色々の素材があるの。その中からツズリ様のもふもふさを再現出来る素材を探し出して、最高のもふもふの耳と尻尾を作るっていうのが、コタビの最近の趣味なの。


「最近、お城の一部屋を借りて何かしていると思っていたのですけれど、そんな事をしていたんですのね。完成したら、わたくしも付けてみたいですわ!」


「勿論なの! 二人で付けてツズリ様ごっこをするの!」


「いいですわね! なんでしたら、量産してこの国では耳と尻尾の取り付けを義務化しましょう!」


「おー! 自分と同じような見た目が増えれ、ツズリ様もきっと喜ぶの! 流石ラライア様、素晴らしい考案を思い付くの!」


「当然ですわ! これでも一国の姫ですもの」


 街を歩けばもふもふの尻尾が揺れている国。

 ツズリ様は自分の目立つ格好をたまに気にしている節があるから、これでその悩みも解決出来るの。

 先ずは、神殿にも立ち寄って貰えるように、神殿の人達に配るの。うん、いい考えなの!


「それで、ラライア様、今日は本当に神殿に行くの?」


「勿論そのつもりですわ。姫に二言はありませんし、有言は実行しますのですわ! わたくしもそろそろ、体力が付いてきたと思いますの。ですから、意を決してお城を出て、神殿に向かうのですわ」


 確かに、キャンプのオフロでは倒れてしまったものの、ツズリ様が作られたツズリランドの庭園を歩いたりしても、疲れを見られなかったの。体力が付いているのは間違いないの。


「分かったの。コタビが神殿まで案内するの!」


「よろしくお願いしますわ!」


 ラライア様と一緒にお城で暮らしているけど、定期的に神殿には戻っているの。ツズリ様から任された奇跡魔法の使い方を教えたり、普通に神殿での仕事もあるからなの。

 それに昔から神殿からお城までは通っていたから、道は完璧に覚えてるの。目を瞑ってても辿り着けるくらい通い慣れた道なの。


「それじゃあ、ラライア様のお城抜け出し大作戦開始なの!」


「おー! ですわ!」


 抜け出しって言っても、ちゃんと王様には連絡してから出発したの。そこはしっかり連絡しておかないと誘拐されたと勘違いされたら大変な事になるの。


 ラライア様からの部屋から出発してから少しすると、ラライア様の足が止まったの。


「忘れ物でもしたの?」


「いえ、ちょっと疲れたので休憩しようかと思いまして」


 そう言うとラライア姫は廊下の隅で座ってしまったの……。


「まだ十歩しか歩いてないの! 休憩には早すぎるの! せめて下の階に降りるくらいは頑張るの!」


 忘れ物でもなんでもなくただただ疲れただけだったの。いくら何でも早すぎるの。部屋の端から端を歩いた程度しか進んでないのに、なの。


「そうですわ! 良い事を考え付きましたわ!」


 座ったままで名案を思い付いたと言わんばかりの顔でララアイ様が言ったの。

 一国の姫様の考えだからきっと名案に違いないの。


「一体何を思い付いたの?」


「今日はここで野宿をして、明日出発する事にしましょうですわ!」


 ラライア様が変なことを言い出したの。一国の姫様がこんな事ではいけないの。

 ここはガツンと言ってあげないといけないの……! それが、親友であるコタビの役割なの!


「ラライア様! ここはお城なの。野宿というのは野で宿泊するから野宿なの。城に泊まるのなら城宿なの!」


「はっ! その通りですわね。わたくしが間違っていましたわ……。では改めて、今日はここで城宿して、明日出発する事に致しますわ!」


「賛成なの! 自分の体力を正確に分析して城宿する英断! 流石一国の姫様なの。判断力が優れているの! そして、外が暗くなる前に早めに野営地、もとい城営地を決めておく判断力! 流石ラライア様なの!」


「ふふふん、当然ですわ! 病弱の頃からただ寝ていただけではないのですわ。姫としての勉強は欠かした事がありませんの。その成果が発揮されているのですわ!」


 昔から、身体が悪くても部屋で勉強は出来ると言って勉強してきた成果が如実に表れているの。ラライア様の勤勉さには尊敬の念すら持つの。


「そうと決まれば、止まるテントを用意しなきゃなの! でも、こんな事になると思わなかったから、テントを持ってきていないの」


「幸いにもここは城内ですわ。きっと探せばテントが見つかりますわ!」


「ちょっと探してくるの!」


 テントを探しに城内を探索するの。

 そしてなんと、十歩進んだ先でテントよりも良い所を発見する事が出来たの……!


「ラライア様! ちょっとだけ移動する事になるけど、城宿にぴったりの場所を発見したの!」


「凄いですわ、コタビ! ちょっとだけならわたくしも移動出来る体力はありますわ。早速案内してくださいですわ」


 ラライア様とコタビは来た方向に十歩だけ戻った所に移動したの。


「ここなの! ここに都合よく部屋があったの!」


「本当ですわ! 早速中に入ってみましょうですわ! わぁ、中は泊まるに御あつらえ向きにベッドまでありますわ」


「今日はここで城宿なの!」


「賛成ですわ!」


 その日は二人で都合よくあった部屋に泊まって過ごしたの。

 ご飯はいつものようにスインさんが運んできてくれたの。移動して城宿しているにも拘わらずコタビ達を見つけ出して、料理を運んでくるなんて、流石ラライア様の専属メイドなの。普段あわわわって言っているくせに、なかなかに優秀なの。


 翌朝目が覚めたら、いつもの天井だったの。それも当然なの。だって、いつもと同じ部屋、つまりラライア様の部屋だからなの。


「ラライア様! 大変なの! 起きてなの!」


「うーん……、どうしたんですの。朝っぱらからそんなに慌てて」


「昨日、神殿に向けて出発して途中で城宿したはずなのに、元の場所に戻ってきているの!」


「もう、コタビったら寝ぼけているんですの? そんな事が起こりうる訳な……! ここ、わたくしの部屋ですわ!」


 寝起きで目を擦っていたラライア様の目の焦点があったのか、ラライア様も自分の部屋だと認識したみたいなの。


「何者かが寝ているコタビ達を移動させたの。コタビ達を神殿に行かせないようにしているとしか思えないの……!」


「きっと、わたくし達が神殿に向かうと都合が悪い事があるのですわ。わたくし達は女神ツズリ様と親しくさせていただいてますから、悪魔がそれを邪魔しようとしているのかもしれませんわね」


 や、やばいの。悪魔に狙われてしまったの。

 コタビ達がしようとしている事は悪魔にとって都合が悪い事って事になるの。つまり、コタビ達が目的を達成すれば、ツズリ様と悪魔が戦う事になった時にツズリ様が有利になるという事なの。


「悪魔の策略には負けていられないの! 何としてでも神殿に向かうの!」


「その意気ですわ! わたくしも悪魔になんて負けませんの! 今度こそ二人で神殿に向かいましょうですわ!」


「おー! なの!」


 今日こそ神殿に辿り着くの。悪魔なんかに邪魔されても、負けじと進むの。

 一歩ずつ確実に進んで行けば必ずたどり着けるの。


「コタビ、待ってくださいですわ!」


 着替え、朝ご飯を済まして、いざ出発っという意気込みで部屋の扉を開けようとしたら、ラライア様に引き止められたの。


「ラライア様、どうかしたの?」


「昨日と同じルートで行くとなると、また悪魔にやられると思うのですわ。ですから、悪魔に邪魔される事を見越して、別ルートで行こうと思いますの」


「なるほど、確かにその通りなの。悪魔に待ち伏せされて居たら大変なの」


 待ち伏せている悪魔の虚を突いて、コタビ達は別のルートで通れば、あっさりと神殿に辿り着けるかもしれないの。

 完璧な作戦なの。


「でも、この部屋には扉が一つしかないの。どうやっても、昨日と同じルートと廊下を通る事になるの」


「心配ありませんわ! ちゃんと別ルートも考えてありますの。ツズリ様の真似が好きなコタビなら、絨毯を浮かせて飛ぶ事も真似出来ると思いますの! ツズリ様のように空を移動して神殿に向かうのですわ!」


 確かにコタビはツズリ様の真似は好きなの。真似をする事によってツズリ様に近づくことが出来るかもしれないからなの。


「ツズリ様の真似は好きだけど、コタビにも真似出来る事と出来ない事があるの。ツズリ様の卓越した神の魔法をそう簡単に真似なんて出来る訳がないの」


「そうですわよね。神が使う魔法が簡単に真似出来たら、それはその人も神であるかもしてませんものね」


 ツズリ様に教わって奇跡魔法の効果は格段に上がったけど、それはもともとコタビが奇跡魔法を扱えてたからなの。

 ゼロから空飛ぶ魔法何て習得出来る訳がないの。


 もしも、そんな事が出来るのならコタビに女神の血が流れている可能性があるの。新しい女神候補としてツズリ様の弟子になれるの。


 女神候補の可能性……。た、試してみる価値はあるかもしれないの……!


「いや、やっぱり空を飛んでみるの! 微々たる可能性に掛けて奇跡が起きて飛べるかもしれないの!」


 そうと決まれば、部屋の中から飛べそうなもの探すの。この部屋の絨毯は大きすぎるから無理だとして、他に何か……。

 あ、これが丁度いいの!


「絨毯ではなくて掛け布団で飛ぶんですの?」


「一番手ごろな大きさなのがこれしかなかったから、これで挑戦するの!」


 いつもラライア様と一緒に寝ているベッドから持って来た掛け布団なの。

 ツズリ様はベッドでも飛べるって言っていたから、きっと物は何でもいいはずなの。


「ツズリ様はいつもこの窓から来ますから、わたくし達もこの窓から飛び出しますのですわ!」


「了解したの! せーのっで一緒に飛び出すの!」


「分かりましたわ! コタビのタイミングにわたくしが合わしますからいつでもいいですわよ」


「じゃあ、行くの! せーのっ! なの!」


 二人で掛け布団を持って窓から外にジャンプしたの。

 でも、その時点で気づくべきだったの。いつもツズリ様はあらかじめ絨毯を浮かしているという事に……。


「うわああああああ! なの! 空を飛ぶなんてやっぱり無理なのー!」


「ど、どどどどどうしましょうですの! このままだと落ちてしまいますの!」


「だ、大丈夫なの。最悪、死ななければコタビが魔法で治せるの! ツズリ様から直々に教えていただいた奇跡魔法が火を噴くの!」


「火を噴くのは炎魔法ですわあああああ!」


 っと、ラライア様と言いながらも地面がだんだんと近づいてくる。

 ど、どうしたらいいの……! ピンチなの……!


 その時、ちょうど下を歩いている人が出てきたの。


「助けて欲しいのー!」


「ん? 何か上から声がしたような? えっ!? あわわわわ!? 姫様とコタビ神官様!?」


「スインですわ! スイン! 何とかして受け止めてくださいですわー!」


「ええええええっ!? そ、そんな事言われましても……あわわわわわ。一か八か、風魔法で……!」


 スインさんの風魔法が下から吹き上げ、コタビ達が持っていた布団が風で膨れ上がって落下速度が一気に下がったの。

 布団の端をラライア様とコタビが持ってゆっくりと落ちていくの。


「これなら行けるの! スインさん、そのまま風を送ってなの!」


「あわわわわー! 分かりましたー!」


 スインさんのお陰で何とか怪我する事もなく、地面に着地する事が出来たの。危うく大事故になりかけたの。


「た、助かりましたわ、スイン……」


「ご無事でよかったですけど、間違いなく生涯で一番慌てましたよー!」


「申し訳ないの。これも全部悪魔の仕業なの」


「そうですわ。悪魔がわたくし達よりも上手だったのですわ」


「悪魔ですかー。ちょっと何っているのか分かりませんけど、大変だったんですね!」


 コタビ達が窓から神殿に向かう事を読むなんて、悪魔もなかなかやるの。


「コタビ、今日は流石に疲れたので部屋に戻りましょうですわ」


「コタビも悪魔との激戦で疲れたの。賛成なの」


「では、姫様は私が抱き上げて運びますね!」


「そうしてもらえると助かりますわ。一歩も動けませんもの」


 スインさんに抱き上げられているラライア様とコタビは部屋に戻る事にしたの。

 次はきっと二人で神殿に辿り着いてみせるの!




本当は神殿であれこれしたかったけど、バカな事書いてたら長くなったうえに、神殿にすら辿り着きませんでした。ありがとうございました。


あーあー、誤字だらけでした。報告ありがとうございます。

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