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お狐様スローライフ  作者: くるみざわ
狐っ娘、大会ライフ
72/144

P72 エルフを発見した!

 宿に着くと、そこにはなんと、エルフの人が居た!

 初めて見る本物のエルフだ!


「初めて見たって言っても、ここに来るまでに色々な種族がいたじゃろう。エルフだけではなく、ドワーフもいたし獣人ものう」


 なんと、宿に着く前にもずっと色んな種族が居たらしい!


「なんで言ってくれなかったのー! そういう大事な事はちゃんと言ってよ!」


「普通に歩いてたら普通に目にする事をなんで言わなきゃならんのじゃ」


「うーん、ごもっとも!」


 くっそー、こんな事ならくっつきツズリをやめてオープンツズリになるべきだった。恥ずかしがらずに心を解き放てば良かった。

 まぁでも、どうせいつかは外に出るから、遅かれ早かれ目にする機会はあるだろう。


 それにしても、この国にはエルフだけではなくドワーフや獣人もいるんだね。

 そりゃ人族の中心に位置する国なんだから、色んな種族が居てもおかしくないか。寧ろ、初めからそこに気づくべきだった。


「久しぶりね、シャロ。またお金が無くなったから、大会に出場しに来たの?」


「久しぶりじゃな、シルフよ。その通りなのじゃ。ちょっとお金を使い過ぎてしまっての」


 わたしが反省していると受付のエルフさん、シャロの発言からシルフって名前の人エルフとシャロが久しぶりと会話をしている。


 え? 知り合いなんだ。

 まぁ、そうかシャロは何回もここに来ているみたいだし知り合いくらいいるか。


「相変わらず、無計画に生きているのね」


「何を言うておる。計画的にお金を使い過ぎてしまったのじゃ」


 使い過ぎてしまったって言っている時点で無計画な訳だけれども。というか、ストレスの発散で買い物しすぎたからって理由で使ったんだよね。まごう事なき無計画じゃないか。


「それで、この獣人の娘はどこから誘拐してきたの? お揃いのマントまで着せて、あたかも姉妹ですよってカモフラージュさせてるけど」


 フードを被ってたのによくわたしが獣人だと分かったなって思って、頭にバッと手を当ててみたら、もふもふの耳の手触りがあった。

 いつの間にか脱げていたのか。受付のシルフさんがエルフと分かった瞬間にカウンターに走った時に脱げたのかな。

 我ながら俊敏に動いたからね。風で脱げたとしても不思議ではない。


「誘拐などしとらんわ! 森で拾ったペット……森で迷子になって魔物に襲われていたところを救ってやって、そのまま一緒に連れて来ただけじゃ。道中で仲良くなって、今は言ってた通り姉妹みたいなもんじゃの」


「間違ってはいないけど、今、ペットって言いかけなかった? ねぇ、言いかけたよね?」


 シャロは頑なにこっちを見ない。完全に聞こえないふりをしている。


「ふーん、それならいいんだけどね。ほら、シャロって吟遊詩人を誘拐して連れて来た事があって騒ぎになった事があったから、心配なのよね」


 吟遊詩人の拉致の話ってここでの事だったの!? 宿に拉致したの!? なんて迷惑なっ!


「何も心配する事はないのじゃ。逃げられてゴーレムを起動されたが、ワンパンで壊したじゃろうが」


 ゴーレムをワンパンで木端微塵にしてやるって言ってたけど、実績があったんだ!?


 話を聞く限り、わたしよりもやりたい放題やってりまくってるな……。完全なる問題児じゃないか。


「だから心配なのよ。あの後、シャロは姿を消しちゃうし、騎士からの事情聴取で大変だったのよ?」


「ふん、そんな百年も昔の事忘れたのじゃ」


「何言ってるの、百年なんて昨日も同じでしょ」


 百年は流石に昨日換算するのは無理があるのではないだろうか……。わたし的にはそうでも長命のエルフにとっては変わらない感覚なのかな。


 あれ? シャロって何千年生きてた設定あったけど、エルフの人と百年前の話をしてるって事は、もしかして本当に何千年も生きてるって事?

 でもシャロは耳尖ってなかったと思う。森からの道中の十日間、一緒にお風呂も入ってたし同じベッドで寝ていたから間違いない記憶だ。


「シャロってエルフなの?」


「シャロはエルフよ。長命で何より胸が控えめなのが良い証拠ね」


「失礼じゃのう。まだ、育ち盛りじゃわい」


 何千年生きててまだ育ちざかりなの? それはエルフと言えどもあり得る事なのか……?

 流石に苦しい言い訳だと思うけどなぁ。その点わたしの胸にはまだ未来で溢れているね。ボンっとなる未来がね。


「でも、髪は金じゃなく銀だし、耳も尖ってないと思うんだけど」


「それは獣人のあなたにも言える事だけど、あなたの髪の色も獣人じゃありえないオレンジをしているわよね?」


 他の獣人を見た事ないから分からないなんて言ったら、絶対怪しまれるから言えない。でも、ルルの街で獣人にしては珍しい髪色ねって言われた事があるから、恐らくオレンジの髪色の獣人なんて居ないんだろう。


「極稀にシャロやあなたのような珍しい事が起こり得るのよ。ほら、魔物にも黒色になったりする種が居るでしょ? それと一緒ね。あなた達は希少種なのよ!」


 えええええええええ!? わたし希少種なの!?

 って、驚きはしない。だって、転生してるからね。普通じゃないって事は薄々気づいていたよ。奇妙やら奇天烈やらなんやかんやと言われてた訳だから、そりゃあね。誰だって気づきますよ。


「ま、そういう事じゃの。わしとツズリは偶然にも種族は違うが同じ希少種という訳じゃ」


「そうだったんだ。だから魔力の質とかが違うんだね」


 わたしの場合はゲームのキャラだからだけど、この世界では希少種扱いになるのか。

 っということはシャロもわたしと一緒の可能性あるのかな。いや、でもお風呂を知らなかったみたいだし、同じ転生だったとしても、同じ世界ではないか。


 シャロはちゃんとしたエルフだったんだね。しかも希少種の。

 だから胸が控えめだったんだ。なるほど、納得がいった。


「失礼な事を考えておらぬか? そういう顔をしておるぞ」


 シャロがジト目でわたしの顔を見てそう言った。


 おっと、また考えていたことが顔に出ていたみたいだ。無意識で勝手に顔に出て来てしまう。わたしはもう顔に考えている事を常に出しながら生きていくしかないみたいだ。


「シャロがエルフだった事に驚いてただけだよ」


「ホントかのう……」


 シャロが怪しい目で見て来るけど、わたしはシャロとは目を合わせないぞ。嘘がバレるから。


「因みにだけど、他にもわたし達みたいな人って見た事あるの?」


「エルフではシャロが初めてだし、他には見た事はないわね。獣人だとあなたが初めてよ!」


 前例があるかと思いきや、初めてなの!? 希少種である信憑性が一気に低くなったぞ!


 シルフさんが何年生きているのか分からないけど、少なくとも、この宿で七百年はやっているらしいから七百歳以上ではあると思う。

 その長生きのエルフが初めて見たってくらい、アルビノ種みたいに珍しい突然変異のか、はたまた別の種なのか。判断するには浅はかすぎる情報かもしれない。


 まぁ別に気にするような事ではないからいいんだけどね。希少種だろうが別種だろうが、わたしは見た目だけで言えば、まごう事なき狐の獣人なんだから。


「シャロ、今日はここの宿に泊まるんでしょ? 話し込むのもいいけど手続きしようよ。早く部屋で休みたい」


「そうじゃの、長旅で疲れたし、部屋でのんびりしようかの。っということじゃ、シルフよ。一番いい部屋を、常連のよしみで少し安くしてくれんかのう」


「常連……? 何を言ってるのかさっぱり分からないわ。シャロが来るのなんて百年に一回くれば早い方じゃない」


 確かに百年に一回来る程度を常連とは言わないね。毎年来るくらいじゃないとね。


「百年は昨日と変わらないとついさっき言っておったじゃろうが。それなら毎日来ているのと変わらんじゃろう」


 確かに言ってた。百年が昨日で百年置きに来ているとしたら、毎日来ているレベルだ。それならもう常連と言っても過言ではないね。


「それはそれ、これはこれよ。シャロに割り引く理由なんて一切ないわ!」


「金欠である事を知っておるくせに意地悪しおって……」


「意地悪されたくないのなら、図々しくも一番いい部屋なんて言わずに普通の部屋にしなさいよ!」


 はい、シルフさんの勝ち! 反論のしようもないくらい、その通り過ぎる!


「こんなちっこい娘もおるのじゃぞ! 一番いい部屋が一番安全なのじゃから当然じゃろうが! ちょっとは子供の事も考えたらどうじゃ。それじゃからシルフは万年一人身なのじゃろう」


 わたしを出しにして一番いい部屋に泊まる口実を作ろうとしてる!?

 わたしがそこそこ強い事はシャロも知っているから、安全も何も危険な事なんて起こりえないと思うけど。襲われたとしても自分で対処出来るし。


「あら? 億年一人身のシャロになんて言われたくないわね。誘拐までして自分の部下を作ろうとして失敗しているのに」


「残念じゃったのう。もうわしは一人ではないのじゃ。もふもふペットを拾ったからのう」


 見た目的にはどっちも若い。シルフさんのが年上のお姉さんっぽくてシャロが少女なんだけれども、わたしからすると年齢的にはどっちもいいおばさんだ。

 おばさん同士の一人身の野の知り合いが始まった。かと思いきやシャロがわたしを巻き込んだ。


「ちょっと! さっきまで妹って言ってたのにペットにしないでよ! っというかシャロ一味に入った覚えなんてない!」


「細かい事を気にするでないのじゃ」


 全く細かくない。妹とペットじゃ扱いの差が違い過ぎるでしょ。家族という意味では一緒かもしれないけど、人と獣との差があるんだよ。

 そりゃ、わたしはどっちも兼ね備えている獣人ではなるけれどもさ。獣と人を分けられるのは困る。ちゃんと人を付けて人として扱ってくれないとだよ。


「年寄りの一人身争いに巻き込まれたくないから、ここはわたしが払うよ。シャロには森で助けられ恩もあるし、わたしの奢りって事で。それなら誰も文句ないでしょ」


「誰が年寄りよ!」

「誰が年寄りじゃ!」


 っと、二人から聞こえた気がするが、わたしの都合のいい耳には何一つ届かないけれども。


 この宿は三階建てで、三階の一番いい部屋をとった。

 高層マンション並みに高かったら階段だけじゃ地獄を見る事になるけど、三階くらいなら甘んじて受け入れられる。

 まぁ、高層マンション並みに階層があったとしたら、流石に魔法でエレベーター的なのが開発されてると思うけどね。だってゴーレムが居るくらいなんだからエレベーターくらい作れると思う。


 部屋でごろごろとして、晩御飯の時間になると宿の従業員さんが持ってきてくれる。ちなみに従業員さんもエルフだった。ここはエルフの人が経営している宿なんだね。


 お風呂は流石になかったので、清潔魔法だけで身体を綺麗にして寝る事にした。


「そういえば、シャロどこに行ったんだろ」


 ご飯を食べた後ちょっとして出て行ってから戻ってきていない。百年ぶりに会ったシルフさんとでも話し込んでるのかな。仲良さそうだったもんね。


 一回に降りてシャロを探してみると、声が聞こえて来た。


「ここにはお風呂はないのかのう」


「何よ、オフロって」


「ふっ、オフロも知らんのか。一日の終わりに身体の疲れを取る為にお湯に浸かる事じゃ」


 バカにしたような顔で語っているけど、シャロもわたしに会うまで知らなかったよね?


「ふーん、近くに川が流れているから、そこに行けばいいじゃない」


「冷水じゃろうが! 暖かいお湯じゃなかろうが!」


 わたしでも宿では仕方ないと割り切っているのに、シャロはよっぽどお風呂が気に入ったんだね。




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