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お狐様スローライフ  作者: くるみざわ
狐っ娘、大会ライフ
69/144

P69 野宿をするにはやっぱ家を建てないと

「取り敢えず、今日はここで野宿するならパパッと家を建てちゃうね」


「家……?」


「うん、家。わたし達みたいな美少女が野ざらしで寝る訳にはいかないでしょ。盗賊に襲われたらどうするの!」


「盗賊の襲われたら殴れば良かろう」


 まぁそうだけども。そこいらの盗賊になんて負けるわたし達ではないけれども。

 というかシャロが殴ったら人なんて木端微塵になるのではないだろうか……。手加減はするんだろうけれどもさ。


「無駄な争いを起こさないようにする為にも、家を建てるんだよ」


「今から家なんて建ててたら陽が沈んでしまうのじゃ」


「パパッと建てられるから心配いらないよ」


 今回は二人いるから鼠の時よりはちょこっと広くした家を土魔法で建てた。


「おー! これは驚いたのじゃ。土魔法で一瞬で家を作りおったのじゃ! ツズリは土魔法の熟練度が高いのじゃの」


「凄いでしょ! 魔法の腕だけは自信があるんだよ。これなら安全も確保されるし、寝袋よりも快眠できるベッドの方がいいでしょ?」


「確かにのう。こうなってくるともはや野宿とも言えぬな」


 旅人が絶対に野宿しなければならないなんて、決められてはいない。安全に寝られるのだったらそれが一番だ。


「わたしは賢いからこういう方法が思いつくんだよね!」


「賢いかどうかはさておき、ツズリにしか出来ぬ方法じゃの」


「さておかないでわたしが賢いって認めなよ」


 シャロは中々に頑固だな。わたしの事をペットと思ったらずっとペットと思い続けてるし、馬鹿だと思ったら馬鹿だと思い続けてるし。

 別に支障はないからいいんだけどさ。いいんだども、そう思われているの腑に落ちない。


「面白い魔法を見るとわしも試したくなってくるのう。どれ、真似して作ってみようかの」


 シャロも魔法の扱いは凄腕だ。それは、怪鳥の解体で良く分かっている。だから問題なく作れる腕はあるんだろうけど、問題は別にある。


「ちょっと待って、シャロの魔法って……」


 わたしがそう言った時にはもう遅かった。目の前に赤い四角いものが目の前に出来ていた。


「やっぱ血の家だー! 怖すぎるよ! しかもプレハブ!」


 ホラーゲームの建物ですらそこらへんに血がついてるなーくらいなのに、これは真っ赤っかだよ。全体的に真っ赤っかだよ。


「うーむ、ストックも使ったのじゃが血が足りんのう。半分しか出来んかったのじゃ」


 裏に回り込んで見てみると、後ろに壁はなく奥行きも短かった。


「プレハブの張りぼてって、もはやただの板だね」


「ツズリの血もちょっと借りてよいかのう? 朝には返すのじゃ」


「やだよっ! 血は貸し借りするものじゃないから! ちゃんと二人用に作ったから、そっちの血の塊はさっさと取り壊してこっち入って!」


 わたしはシャロを引っ張って家の中へと入った。

 ツズリランドは絨毯とか敷いてちゃんとしているので土足厳禁だけれど、一日だけの家の場合は靴のままだ。


 家に入るとシャロは魔女が着てそうなフード付きマントを脱ぎ自分の収納にしまった。

 岩を砕いて以来ずっとフードを被ったままだったけど、流石に家の中では脱ぐんだね。うむ、相変わらずの美しい銀髪だ。


「ほー、外見だけじゃなく中もちゃんとしておるのじゃな」


 わたしがシャロの髪に見とれていると、シャロが家の中を見渡しながら聞いてきた。


 外見だけで見栄を張っているとでも思っていたのかな。一瞬で作った家だしそう思われても仕方ないけど、シャロの張りぼてと一緒にはしないで欲しい。

 自分で寝る為に作ったのに手抜きをするはずがない。一日で壊す家だったとしても、魔法で作るのなら完璧にやらないとね。


「勿論だよ。光魔法で明かりも確保出来るし、窓は風魔法でガラスの役割をしてるよ」


「ほう! 使えるのは土魔法だけじゃないのじゃな。光魔法なんて珍しい魔法も使えるとは、ツズリは凄いのう」


「そう? そうかな? そうだよね! えへへー魔法の事で褒められると嬉しいなぁ」


 ゲームの時から魔法を極めてきた甲斐があるってものだ。

 ゲームではゲームの仕様上でしか使う事は出来ないけれど、この世界は自由に使える世界だ。それで褒められれば嬉しくもなるよね。


「うむ、ツズリがより一層に欲しくなったのじゃ! わしの家の明かりとして一緒に住むというのはどうじゃろう?」


「ペットより悪化してるじゃん! ただの家具じゃん! それだったらペットの方がいいよ!」


「おー、そうか! やっとわしのペットになる決意が出来たのじゃな!」


「違うっ! 家具よりマシなだけ!」


 なんで最終的にペットになる決意をしたことになっているんだ。曲解も程々にしてほしい。


「では、家も出来た事じゃし、晩ご飯でも作るかの」


「料理は全面的にシャロに任せるよ。勿論、血で作ったものは使わないでね。ちゃんと道具はわたしが用意するから」


 リリナ弁当を食べる訳ではないので、今回はキッチンも作ってある。まぁバーベキューコンロを置くだけなんだけれども。


 材料は怪鳥肉の他にも、森を走っている間にシャロがついでに採っていた食材も追加されている。ちゃんと探すと果物なども実ってたりしていた。

 絨毯で飛んでいたらこういう食材も採れなかった。やっぱ楽するのは良いけど、欠点もあるもんだね。


 料理を待っていると何と言うか、夫婦な気分になる。嫁さんの料理を待っている旦那さんの気分みたいな。

 こんな美少女をお嫁に出来るなら絶対幸せだよね。わたしは女だからそれは無理なんだけれどもさ。


「何をにやついておるのじゃ……。中々に不気味じゃのう」


「人の顔を見て不気味とか言わないでよ! 可愛らしい顔でしょ!」


「自分で言うのか……」


 そりゃ言うよ。わたしがゲームで五年も愛してきたキャラなんだから。


「シャロが料理をしている後姿を見ていると、なんだか新婚夫婦の気分になって幸せってこういう事を言うのかなって思ったんだよ」


「やっぱりツズリはそっちの趣味が……」


「ないっ! そう言う事じゃない! 家族の幸せってこういう事なのかなって思っただけ!」


「それなら、夫婦ではなく姉妹って考えの方が納得がいくのじゃがのう」


「はっ! た、確かに……!」


 どちらかと言われれば夫婦よりも姉妹と言った方がしっくりくる。嫁さんが料理をしているのではなく姉が料理をしていると考えた方が良かったかもしれない。


「という事は、シャロねー……?」


「誰が姉……いや、悪くないはないの」


 シャロがいつものように拳を振り上げるが、途中で思い直して受け入れている。シャロばあよりはお気に召したようだ。


 そんな会話をしつつ待っていると料理がは運ばれてきた。


「姉というのも悪くはないかもしれんのう。わしはずっと一人じゃから、妹が欲しいと思った時もあるのじゃ。ほれツズリ、姉からの餌じゃぞー。食べて良いぞー」


「姉じゃなくて飼い主の気分じゃんか! 妹じゃなくてペットじゃんか! でも有難くいただきます!」


 ペット扱いされた事なんてどうでもいいくらい美味しいね。流石シャロ料理だ。胃袋を掴まれかけているわたしがいるよ。


 ご飯を食べ終わり食器類の片づけを終えて、一休み。

 それから寝る前にする事と言えば勿論、お風呂だ! 一日の終わりはお風呂と決まっている!


「じゃ、わたしお風呂入って来るね!」


「オフロ? なんじゃそれは」


 あーそっか。清潔魔法があるからお風呂って文化がないんだった。


「うーん、お湯に使って一日の疲れを癒すんだよ。一緒に入る? それなりに広くは作ってるから入れるよ?」


「ほう、何千年と生きてきてまだわしが知らぬ事があるとはのう。気になるからそうするのじゃ!」


 シャロも入るようなので、シャロと一緒に脱衣所へと移動する。今回はわたし一人じゃないから脱衣所も作ってある。


 先に行ってお湯を張らないといけないのでわたしはパパッと先に服を脱ぐ。ゲームでしか着た事がない巫女服だけど、最近は脱ぐのも着るのも慣れたものだ。


「な、何故いきなり脱いでおるのじゃ!?」


「ん? そりゃお風呂なんだから脱ぐものなんだよ。お湯に浸かるって言ったでしょ」


「確かに言っておったが……。脱ぐのかの……?」


「別にお風呂に入る事を強要している訳じゃないんだから入らなくてもいいんだよ?」


 入りたくなければ入らなければいい。銭湯とかお風呂という文化がないなから、普通は人前で脱ぐという事に抵抗はあるだろうからね。

 いや、この言い方だとわたしは人前で脱ぐのが平気みたいに聞こえてしまうけど、飽く迄、同性で尚且つ親しみがり、場所がお風呂でっていう限定的なものだという事を付け加えておこう。

 どこでも脱ぐことが出来るという訳ではない。


 キャンプの時のリリナは無理やりに脱がしたけれども、それはリリナだから致し方ない事なのだ。リリナだからね。うん、仕方ない。


「いやーでものー、オフロ……気になるのう……」


「先行ってるから気が向いたらきなよ」


 わたしはすでに服を脱いでしまっているので、シャロを待っていたら風邪を引いてしまうよ。

 パパッとお湯を張ってのーんびりしていよう。


「ふわぁー、やっぱ一日の終わりにはお風呂だよねー」


 湯船に肩まで浸かり、ほっと一息を付く。身も心も温まっていく、そんな気がするツズリの湯。効能は、美肌とかあればいいな。


 ゆっくりしているとシャロが入ってきた。悩んで末に結局はいるなら、潔く最初から入れば良いものを。


「肌しっろ! 何その美肌!? 透き通って向こうの景色が見えるんじゃないかと思うほどの肌なんだけど!」


 旅人ならもっと肌が荒れてたりとか陽に当たって焼けてたりしてもおかしくはないと思うんだけど、これが美少女効果とでもいうのか……! 本物の美少女の特権だとでも言うのか!

 いや、もしかしたら、あのフードに完全に紫外線を防ぐ効果があるのかもしれない。そうだと信じたい。


「あまり人の肌をジロジロと見るでないのじゃ。ただでさえツズリはそっちの趣味の疑いがあるというのに」


「ないよこれっぽっちも! 綺麗だからついつい見ちゃうだけだから!」


 髪は銀髪で綺麗だし、肌は透き通るように綺麗だし、おまけに美少女ときたもんだ。なんだこの絵に描いたような美を擬人化したみたいなシャロ美しさは。


 だがしかし、シャロにも与えられなかったものが一つだけあるみたいだ。神様もそこまでは優しくなかったみたいだね。

 そう、その一つというのは……胸だ……!

 見た感じコタビと同じくらいに思える。高校生くらいのシャロがわたしと同じくらいのコタビと同等なのだ。


 ふっ。あのコタビと同等か。大した事ないね。


「不敵な笑いを浮かべて何を企んでおるのじゃ」


 おっと、顔に出てしまっていたみたいだ。


「何も企んでないよ。それよりお風呂入ったら? 気持ちいいよ」


「ツズリの真似をして入ればよいのじゃな。どれどれ……、おお! これは気持ちよいのじゃ!」


 シャロもお風呂を気に入ったみたいだね。お風呂の魅力には超絶美少女のシャロでも敵わないという事か。




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