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お狐様スローライフ  作者: くるみざわ
狐っ娘、キャンプライフ
45/144

P45 ツズリランド

 ムカデが出て来た穴を拡張して池を作る。

 泳ぐとしたら足を付くだろうし、怪我をしたらいけないので池底は大理石のようにツルッツルになるように妖力を込めてイメージをして作り上げた。

 こうする事によって泥池になる事もないだろうしね。澄んだ綺麗な水を維持できやすくなる。


「池も出来たし、家を再建するかー!」


 二回目なのでパパッと作り上げる。

 でも、前回よりも込める妖力は多めにする。また魔物に壊されたら今度こそ心が無に還ってしまいそうだからね。どんな魔物に突撃されても壊れないくらい頑丈な壁と床をイメージして、妖力を込めに込めまくった。

 これでそんじょそこらの魔物が攻めて来ても壊れないだろう。寝ている最中に奇襲されても安心安全だ。


「いよーし! 今度こそ、今度こそ! 家の中を確認だ!」


 玄関のドアを開け中へと入る。土魔法で作ったドアに蝶番いだけど中々いい感じに出来ているね。力がないわたしでも開ける事は出来た。

 玄関から入り、土間で靴を脱ぐ。この家は土足禁止だ。

 この世界では外国と同じように靴を脱いで家に上がるっていう習慣はないけど、やっぱ元の世界の家を作ったんだからそこは脱がないとね。


 上がり框を上がった先はフローリングに……はなっていない。土魔法で作ったからね。そこはどうしようもない事だね。

 床や壁は池同様に怪我をしないように大理石の様に綺麗にツルツルにしてある。光沢がある訳ではないけどね。

 土魔法だから所詮土だ。どんなに固めようと素材は土なのだ。だから、木の様な温かみはないから歩くと冷たい。


「スリッパも用意しておかないとね。あとは各部屋にカーペットも敷いときたい」


 空を飛ぶための絨毯ではなく、普通に使う用の物が欲しい。いざとなったらツズリ二号機としても使える予備絨毯にもなる。

 だったらいっその事、家事飛ばすって言うのもありなのでは……と、ふと思いついたけど、妖力をかなり消耗しそうなので、その案はわたしの脳内会議で直ぐに無しとなった。

 城ほど大きくもないけど、それなりの大きさのわたしの家だから飛ばすとなるとそれだけ妖力を取られる。飛んでる最中に妖力が切れて落下なんてしたら大惨事だ。


 一階を見て回り、懐かしさを感じつつも異常がないか確認をする。

 流石魔法。イメージ通りに出来ている。間取りも完璧だ。


 二階をも見て回り、バルコニーへと足を運ぶ。

 バルコニーからは先ほど作った大きい池が一望出来る。


「うーん、寂しい。風景が寂しすぎる」


 池がぽつーんとあるだけで周りに何もない。

 もっとこう木とか花とか生やしたいなぁ。石畳の道とか作ったりして、庭を造りたいね。

 コタビにあげたような小さい狐の置物ではなく、大きい狐の置物とか置くのもありかもしれない。わたしが作ったっていう象徴的な置物になるね。それこそ狐の狛犬的な物になりそうだけど。


 キャンプするだけだから下見だけのつもりで来たんだけど、色々とやりたい事が出来てしまった。

 家の家具類も必要だし、庭の改造に必要な物もあるし、魔物が来ないように周りを囲いたい。池の周りも風流な感じにしたい。


 先ずは家の中を完成させよう。

 箪笥とかはいらないけど、ソファーにカーペット、ベッドに窓ガラスに色々と準備する物が沢山ある。


「家具を買う所と言えば……城だね!」


 絨毯倉庫を探す時にした城探索。その時に色々な場所を見て色々な専用倉庫を発見しているから大体の物は城で揃える事が出来る。

 城もデパートも大きい建物って所で同じだし、城と書いてデパートと読んでも間違いではない。うん。




 っという事で、城までひとっ飛びに移動する。絨毯で飛んで行くので文字通りひとっ飛びだ。

 王都の外壁も門も、城の城壁も何もかも無視をして城に直行する。

 これが盗賊とかなら不法侵入で捕まるだろうけど、わたしは女神で通っているので見つかってしまっても捕まる事はないと思う。多分ね。

 捕まっても力づくで脱出出来るし、ラライア姫の権力で解放されるだろうしね。そもそも捕まえられないだろうから心配はいらない。


 その辺の開いている窓から中へと入る。デパート、もとい王城に到着した。

 勝手に待って行く訳にはいかないのでラライア姫に一言言ってから色々買っていこうかな。


 城の地図はまだ頭に残っているのでラライア姫の部屋の位置は分かっている。どこかの慌てん坊メイドとは出来が違うのだ。

 そう思うと、わたしって城のメイドとしても働ける才能を持っているんじゃないだろうか。少なくとも慌てん坊メイドよりは有能だと思う。迷子にならない所がね。


 トントントンっとノックをして部屋へと入る。


「ラライア姫ー、久しぶりー!」


 久しぶりって言っても一ヵ月も経っていないと思うけどね。


「えっ!? ツズリ様!? 急に来られるなんてどうしたんですの?」


「ちょっと家具類とか色々欲しい物があってね。ここならあっちこっちと色々な店に周らなくても一気に揃うと思って来てみたんだよ」


「そうですわね。いつ何時必要になるか分かりませんから、ここには色々な物が予備として置いておりますわ。ツズリ様が必要とあらば何でも持って行って下さって構いませんわ! 勿論、お金なんてツズリ様からは受け取れませんのでお代はいりませんわ!」


 わー姫様の太っ腹ー!

 勿論、太っている訳ではないけどね。初めて会った時よりかは健康体になっているけど、それでもやっぱ細身の身体だ。


「ありがと! 助かるよ! でもタダで貰うのはやっぱ気が引けるから、代わりと言っては何だけど、これを城に納めるから売ってお金にしてね」


 部屋の窓から、城のだだっ広い庭の真ん中に先程倒したムカデを取り出す。

 ドラゴン肉としても売れるし、甲殻は固いから防具とかの素材にもなるだろう。これだけ大きいのだから取れる素材も多くなる。その分売れるお金も増えるって事だ。わたしが貰っていく分の値段くらいは賄えているだろう。

 ……まぁ本音を言うと、邪魔だから処分したかっただけなんだけども。


「ひゃああああ!? えっ!? えええええ!? ド、ドラゴンですの!?」


 ラライア姫が突然出て来たムカデに驚いて尻もちをついてしまっている。

 驚かせるつもりはなかったけど、突然大きいムカデが出てきたらそりゃびっくりするよね。元の世界の大きさのムカデが出て来てもビックリするのに、この大きさのムカデじゃ比にならない。


「あーうん、そうだよ。もう一匹出て来たんだよね」


「それで倒してくださったのですわね! 現物のドラゴンをこの目で見る事が出来るとは思ってもいませんでしたわ!」


 驚いていたのも束の間にドラゴンを見られた事の喜びが驚きよりも勝ったようだ。

 ただ、申し訳ないけどそれはドラゴンと呼ばれているだけのムカデだ。残念。


「騎士にでも頼んで解体してもらってね」


「畏まりましたわ!」


 ドラゴン、もといムカデを見る事に夢中になっているラライア姫を後にしてわたしはツズリランドに持っていく物を漁る事にする。

 というか良くあんなものをマジマジと見ていられるね。ムカデだよ、ムカデ。足がうじゃうじゃしてて気持ち悪いっていうのに……。

 わたしはムカデだと思っているけど、ラライア姫はドラゴンだと思っているからかな。先入観の違いで見方が変わってくるんだね。

 先入観どころか世界が違うからね。違いがあって当然だ。


 わたしが漁っている間、使用人達や騎士達がドラゴンがー、ドラゴンがーって何やら騒がしかったけど、そんな事は意に介さず黙々と漁る。

 家に合いそうな家具を見つけては収納し、次の倉庫に行って収納する。

 城というダンジョンで隠しアイテムを漁るが如く、黙々と城の中の物を拾い漁る。


「なんか……泥棒してるみたいだ……」


 いや、そんな気分になるだけで泥棒ではないけどね。

 ゲームの勇者だって城を探索して勝手に宝箱や箪笥を開けてアイテムを盗って……間違えた、取っているんだから、許されるはずだ。

 それにわたしはちゃんとムカデを城に納めているから物々交換だしね。なんだったらムカデを討伐した報酬と言ってもいい。


「まっこんなもんかなぁ。思い付く物は大体回収出来たね」


 デパートでの用事は終わったので、その辺の窓から絨毯を取り出し、ぽいーっと飛び去って次の目的地に行く事にする。

 そう言えば騒ぎになっていたあのムカデはどうなったかな。

 ムカデをチラッと見るともう解体が始まっていた。ラライア姫が上手い事事情を説明してくれたかな。


 さて、次の目的地はというと森だ。

 ツズリランドはの周りは殺風景だから植林をしようと思ってね。でも、苗木から育てるなんて時間か掛かるから、いっそのこと森から引っこ抜いちゃえっていう考えだ。

 我ながらいい考えを思いついたものだ。


 ワーウルフを討伐した時の森までひとっ飛びする。

 この森は上から見ても広大に広がっているから、多少木を持って行っても何の問題もないはずだ。元の世界じゃその辺の土地に勝手に建物を建てたり、木を抜いたりしたりは役所的に出来ないけど、この世界ではそれが出来る。

 勿論、街の壁の内側は管理されているから出来ないけど、外なら誰も管理していないので自由だ。そもそも魔物が出てくるから、そんな事をする物好きはいないだろうけどね。

 ……うん、まぁ、わたし以外は。


 土魔法で木を掘り起こし、風魔法で根を適度に切ってから木を収納する。

 生えてるまま収納しようとすると流した妖力が地面にも流れて、星全体を収納しようとするような感じになってしまって出来なかったんだよね。

 なので、一旦地面から離さないといけなかった。


 一本ずつやるのも面倒なのでテリトリーを発動して十本くらいを目安に一気に引っこ抜く作業をしていく。

 木を片っ端から引っこ抜いていると、森の中からゴブリンやオーク、ウルフといった魔物が飛び出してくる。けど、テリトリーのお陰で直ぐに察知出来るので、パパッと倒す。

 キングワーウルフやらオオムカデを倒しているわたしが、そんじょそこらの魔物に負ける訳もない。


 小さい子供が一人でいるから狙ってくるのか、それとも住処の森を荒らしているから襲ってくるのかは分からないけど、結構な頻度で魔物に狙われた。

 ここを住処にしている魔物には申し訳ないけど、この木は貰っていくよ。まぁ魔物だし申し訳ないと思わなくてもいい気はするけどね。

 これがただの小動物ならちょっと遠慮しちゃうかもしれないけど、魔物だとあまりそうは思わない。


 そんなこんなで黙々と、黙々と木を抜く作業を進めていく。


「はっ! しまった!」


 家具選びは選ぶという楽しさがあったけど、今回の作業は木を抜いて、襲ってくる魔物パパッと凍らせて一緒に収納するだけだ。

 普通なら魔物と戦う緊張感もあるんだろうけど、普通の魔物程度ならわたしは何も思わなくなっている。

 こんな世界だから油断や慢心は自分の身を危険に晒す行為なんだろうけど、魔物が飛び出してきても何の危機感も感じないんだよね。

 この世界に来た時の最初のゴブリンとか、顔が怖いとか思ってたけど、今ではムカデよりはマシだなって思ってしまう。

 ムカデよりマシなら何だってへっちゃらだ。


「ちょっと取り過ぎてしまったかもしれないけど、少ないよりはいっか。また取りに来なくちゃいけなくなるよりはいいよね」


 気が付けば陽が沈もうとしている時間忍なってしまっていた。


「今日はもう帰るかー。植林はまた明日やろう」


 時間は沢山あるからね。今日中に終わらせなければいけないっていう締め切りがある訳ではない。

 自由気ままにゆっくりのんびりやっていけばいいんだよ。


 絨毯に乗り上空から森を見てみると、がっつり森が削られていた。

 一体誰がこんな事を……!

 まぁわたしだけどね。帰ろっと。


 そして翌日、わたしはツズリランドに向かう。

 今日する事は、植林だ。街では土壁で囲われているけど、ここは木で囲もうと思っているんだよね。その方が自然の中にいるって感覚になる。

 ツズリランドのテーマは自然で風流だ。キャンプに相応しいような場所にしたいね。


 先ずは家を中心にして、周りに木を植えて行く為の目印を描く。

 描くのは簡単だ。家に立ってテリトリーを使えば綺麗な円が描けるからね。ちょっとした村が出来るくらいの範囲で地面に土魔法で線を描く。

 この方法を使えばミステリーサークルもパパッと描けてしまいそうだ。


 目印の上に木を植えていき壁のようにしていく。

 魔法を使えば何の道具も機械もいらない。何て便利な世界なんだ。必要なのは妖力だけ。魔法最高だね!


 抜くときは何も考えずに抜くだけだったけど、植える時は考えながら植えるから時間が掛かる。

 密集しすぎると風通しが悪くなるし木と木の日の当たりも悪くなる。折角持って来たのに木を枯らしては台無しだ。

 そんな事を考えつつ木を植えていく。


「森を切り抜いた方が早いんじゃないか……」


 それはそれで問題があるけどね。

 森を切り抜けば元からそこに住んでいる魔物が寄ってくるだけだ。新しく作るからこそ、平和な空間なのだから。

 いや、二回もムカデが出て来たし平和ではないか……。流石にもう出てこないと思うけどね。


 数日間に渡り、わたしはツズリランドを改造させていく。改良させていく。改悪ではない。

 池を広くしたり、橋を架けたり、川から石を拾ってきて池の周りに置いて飾ったりと色々と改良していった。

 花を探して、その花畑ごと地面から抉り取って花畑を作ったりもした。

 完全にシミュレーションゲーム感覚で作ってしまった。


 そんなこんなで、ただの平原だったところに木に囲まれたツズリランド完成である!




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