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お狐様スローライフ  作者: くるみざわ
狐っ娘、キャンプライフ
44/144

P44 やつは番でいる事が多い

 女神だとこの街でもバレたので、いや、バレたというかそう思われてしまっているので、わたしは女神として生きていく事になってしまった。

 だからと言って、特に今までと変わった事なんて特にないけどね。怪しい獣人から女神様にグレードアップしただけだ。

 皆から視線を集めるのは変わらない。声を掛けられるか掛けられないかの違いがあるくらいかな。まぁ絨毯で空飛んで移動してるから、話しかけてくる人もそんなにいないけど。


 冒険者ギルド業はしばらく休業にしている。けど、たまにギルドには顔を出す。朝はルルも勉強をしているからわたしは朝、暇なんだよね。

 そんな時はギルドに行って特訓という名のラジオ体操をしに行っている。

 ゲームで例えるなら、トッププレイヤーの仲間入りをしていたわたしに対して、初めて数か月くらいの人にゲームの戦い方を教えているみたいなそんな感じの気分になる特訓だね。


 ゲームではチームとかギルドとか入ってもないし作ってもいないから、初心者を手伝うなんて事してこなかったけどね。イベントとかで忙しいゲームだったし、自分のやりたい事で精いっぱいだ。

 でも、この世界ではイベントが定期的に起こる訳ではないので、暇つぶしに冒険者をボコってるって訳だ。ゲームでは良いけど、現実で定期的にイベント何て起きたら困るけどね。


 特訓が終われば、何故かカレンさんがちょっとしたお菓子をくれる。クッキーとかそう言ったお菓子だ。

 この世界にもそう言ったお菓子はある。料理に魔法は関係ないからね。料理人が研究をして発展はしているんだろう。

 ただ、飛行機とか電車とかがないから流通が滅茶苦茶悪いから世界の材料が全部使える訳ではないって所が欠点かな。


 変わった事と言えば、ルルとリリナも仲良くなる事が出来た。いや、元々仲良かったように見えるけどね。リリナが友達になる事を拒否していただけで、仲自体は良かったはずだ。

 そりゃまぁ、わたしに付き合ってほぼ毎日のように食べに行っていたんだから、仲良くなって当然か。毎日のように顔を合わせていたら親しくなるのは必然的だ。それに、元からルルもあの宿に通ってたみたいだしね。


 折角友達になったんだし、懇親会とか開きたいね。どうせなら王都のラライア姫とコタビも呼んで、皆でパーッと遊ぶって言うのもいいんじゃないだろうか。

 思い立ったが吉日って言うし、早速行動に移るとしよう。

 まぁ、それしかする事がないからってだけの行動力なんだけども。


 懇親会何をしようかな。

 考えているメンバーはルル、リリナ、ラライア姫、コタビ。わたしを含めてこの五人。子供だけで出来る事が良いよね。

 おっと、わたしは見た目だけ子供だけど中身は大人だった。何だったら女神だった。子供だけって考えは間違っているね。


 魔物が蔓延っているこの世界だから、街から出て遊ぶ機会って少ないと思う。少ないというか、そんな危険を冒してまで遊ぶ訳がない。

 だから敢えて街の外で遊びたいよね。街の外にあまり出ない皆を街の外に連れ出してキャンプとかいいんじゃないかな。

 わたしがいればそれだけで護衛は完璧で、安全面は完全に守られているんだから外でキャンプをしても安心だ。


 だからと言って慢心して魔物の巣にホイホイと入って行ったのでは話にはならない。それはただの馬鹿がする事だからね。

 それにわたしは護衛クエストが嫌いだ。守りながら戦うのが苦手なんだよね。高威力の魔法を使えば巻き込むし、一人で近接で戦うにしても守りながらだときついものがある。魔法が使えない時点でわたしは護衛クエストが嫌いだ。


 いよっし! 先ずは事前にキャンプ場の下見をしておこう!

 場所はすでに考えてある。この前ムカデを倒してた後に、整地して更地になったあの広場だ。あそこなら最近魔物も倒して魔物が出る確率も低いだろうからね。

 それでも、ちゃんと下見はしておかないといけない。こんな世界だから何が起こるか分からないからね。


 屋敷に住んでいる以上勝手に出掛ける訳にはいかないから、ルルに一言言ってから出掛ける事にする。

 ルルの部屋をノックして中に入る。勉強が始まる前なのか、ノリスさんはまだいなかった。


「っという事で、ルル。わたしは出かけてくるね。昼には帰れないと思うからわたしを待たなくていいからね」


「今日は一日中稽古でもするんですか?」


「いや、ギルドにはいかないよ。ちょっと王都の更に向こう側に用事があってね」


「王都の向こうって……、まさかツズリじゃないと倒せないような魔物が出たんですか!?」


 わざわざわたしが出向くって事は強い魔物が現れたと思っているのか、ルルが慌てている。わたしは別に魔物討伐専門女神ではないよ。


「違うよ。そんな再々強い魔物が出ていたら、わたしがいなかった今までで人が生存できていないよ。ただの私用だよ」


「そ、そうなんですか。それならよかったですけど、王都の向こうに私用があるって一体何をやらかすつもりなんですか?」


 わたしが動けば何かをやらかしてくるっていうルルのイメージは何なんだ。そんなやらかしてはないと思うけど、常識知らずって思われてるからそういうイメージになってしまったのだろうか。


「何もやらかさないよ。ちょっと楽しい事を考えてるだけだよ」


「やっぱり何かやらかす気じゃないですか!」


「やらかさないってば! まったくー、ルルはもうちょっとわたしを信用するべきだよ! 女神なんだよ!」


「女神だからってツズリの行動に信用を持っていないです!」


 コタビなら何の疑いもなく、何だったっら食い気味で信用してくれるよ。それはそれで信用され過ぎて怖いんだけどね。

 コタビの場合信用ってレベルを超えてる気がするしね。なんてったってわたしから見ても狂ってるレベルで信用してくれているからね……。

 これを信用と言って良いのか微妙な所だ。


「じゃあ、行ってくるよ。楽しみにしててね」


「楽しみにって……やらかし報告をですか? まぁ、行ってらっしゃいです」


 最後まで何かしらやらかすのではと思われていた事に納得は出来ないけど、そんな事は置いておいて、わたしはムカデを倒した場所へと絨毯を飛ばす。

 爆速で絨毯を飛ばす。

 移動は速いに越した事はないからね。出来るだけ全速力で移動する。


 すぐに王都が見えて、そのまま上空を通り越した。

 この高さでこの速度なら真上を通っても誰も気づかないだろう。飛行機みたいにジェットエンジンを積んでる訳でもないしので音でバレる心配もいらない。

 まぁ見られて困る事はないけどね。


 そしてムカデ討伐の地へと降り立った。


「うーん、見事に更地だね。なーんもないや」


 分かってた事だけどね。寧ろ、何かあったら違う場所を探さないといけなくなる。


「先ずは、周りに魔物がいない探知かな」


 テリトリー魔法を一瞬だけ発動させる。一瞬だけね。

 探知するだけならずっと発動している必要はない。戦闘中や警戒している時はずっと発動していた方がいいけど、今回は探知だけ出来ればいいだけだからね。レーダーみたいな感じだね。


 この辺り数百メートルには何の反応も無し。まぁこんな平原だから見れば分かるけど。

 しかし平原。本当に何もない。


「いよーし! ここを改造してツズリランドでも作ろうかな!」


 別に遊園地を作るつもりはないけど、殺風景すぎるので何かしら景色を作っていきたい。

 魔法を使ってシミュレーションゲーム感覚でパパッと思い付く限りの改造をしていこうかな。


「その為には一番重要な拠点となる家づくりだね!」


 キャンプをする予定だからと言ってテントに泊まるのでは流石にこの世界じゃ危なすぎる。

 魔物は勿論の事、花も恥じらう美少女の乙女が五人もテントで寝ていたら、盗賊に襲われてもおかしくないからね。

 盗賊にはまだ会った事はないけど、いるらしいという事は聞いている。人と戦うのは頭脳戦が混ざるから単純な魔物と戦うより厄介だ。手加減もしないといけないし尚更ね。


 っという事で、家を建てる。

 構想はもう決まっている。元の世界で暮らしていた別荘をそのまま再現しようと思う。外見も間取りも全て覚えているから作りやすい。


 元の世界で住んでいた家を想像しながら土魔法で家を建てていく。建てるというか創り上げていく。土魔法の土壁を出すみたいな感覚だね。


「おー! 出来たー! 懐かしいなぁ」


 土魔法だからといって茶色い家が建っている訳ではない。リバーシや狐の置物を作った時みたいに色を付けてある。

 壁は白で屋根は青だ。

 外見は完璧な家だけど、現在の欠点があるとすれば、窓ガラスがない事だね。流石に魔法でガラスは生み出せない。

 家具とかもないし、街まで戻って色々と買い漁ってこないいけないね。


「ちゃんとイメージ通りに出来ているから中に入って確認しよーっと」


 まぁ前世でずっと住んでいた家だ。イメージ力で使う魔法で作ったのだから完璧のはずだ。

 っと、中に入ろうと足を進めたその時――


 ゴゴゴっと地面が揺れて、家が壊れ水が噴き出した。


「ぬわあああああ!? わたしの力作の家があああああ!」


 一体わたしが何をしたって言うんだ! 酷い! 酷すぎるよ!


 間欠泉って訳ではなさそうだ。だって家を壊すほどの水が吹き止んだかと思ったら、そこには家ではなくムカデがこちらを見ているんだもの。

 前回のムカデとほぼ同じ大きさだ。

 ムカデは番いでいるってよく聞くけど、それはこっちの世界でも変わらないらしい。


「お前かー! わたしの家を壊した凶悪犯は! 絶対許さないからね!」


 向こうからすれば、わたしは番の片方を倒している訳だから復習相手な訳で、狙われるのは当然と言えば当然なんだけどね。だからと言ってわたしは魔物相手に容赦はしない。

 魔物相手ならゲームのモンスターに同情しないのと一緒だ。

 そもそも、前回はムカデの方からわたしを狙ってきたんだから、返り討ちにしただけだしね。

 今回は恨みを買ってるかもしれないけど、前回は何の恨みの売買もしていない。正当防衛が成立している。


 ムカデは前回同様ゲロ魔法を吐いてくる。

 魔法かどうかも怪しい。タダのゲロかもしれない。


「オオムカデはもう攻略済みだよ!」


 初見で戦って負けていないのに、一度戦って勝った敵に負ける訳がない。

 しかも今回はわざわざ水を用意してくれている。雷魔法をどうぞお使い下さいと言ってくれているようなものだ。


 前回同様ゲロを凍らせて、風魔法で砕く。

 そしてそのまま加減なしの雷魔法を放ってムカデをパパッと倒す。

 一回攻略しているからゲームで言うところのただのボス周回作業と変わらないね。


「はぁ、とんだ邪魔が入ったよ。家も作り直しだね」


 魔法でパパッと作れるからいいけど、時間をかけてコツコツと作っていたら心を折られていたかもしれない。

 物理ダメージはこの巫女服が守ってくれるだろうけど、精神ダメージまでは守ってくれない。精神まで守られたらそれはそれで呪いの装備になってしまう。洗脳機能があるんじゃないかと疑ってしまうね。


 テリトリーでちゃんと調べたのになぁ。流石に地面から来る事までは分からなかった。

 このムカデからすれば、わたしが土魔法で家を作っていたから土魔法の振動で場所が分かったって感じかな。


 地面から奇襲とかズルすぎる。こんなの防ぎようがないじゃんか。ここが街じゃなくて良かったと思うべきだね。被害はわたしの家が全壊するだけで済んだのだから。


 倒したムカデは収納しておく。

 本当はこんな気持ち悪い大きいムカデなんて持っておきたくはないけど、その辺に埋めるのも嫌だし、また騎士の人達を呼ぶ訳にもいかないから仕方ない。

 それに売ればお金になるしね。お金を埋めたり捨てたりするなんて以ての外だ。


「家を作り直したいけど、これどうしようかな……」


 ムカデが出て来た穴から水が溢れ出している。ムカデがここまで掘って来るまでにどっかの地下水脈とでも繋がったのかもしれない。

 埋めても良いんだけど、折角水が溢れているんだから有効活用したいよね。家が壊れる災難に会ったけど、わたしはただでは起きないっていう、災い転じて福となすの心意気だ。


「いよーっし決めた! ここに池を作ろう!」


 家から池が見えるって風流でいいんじゃないだろうか。

 折角だから泳げるくらいの広さ深さにして、今は土が混ざった濁った水だけど、魔法で浄化しつつ土が沈殿すれば水も澄んだ綺麗な水になるはずだ。

 これで夏は泳げて涼しいし、冬はカッチカチに凍らせればスケートだって出来る。将来を見据えた完璧な設計だね!




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