P3 魔法職だけど近接戦闘も出来るよ
冒険者らしき人の後を追いわたしは森の中を走る。
走る、走る、走る。
「ほんとに俺らの速さにも付いて来られてる……」
「子供でも獣人って事だな」
うーん。察するに獣人って身体能力が優れてる種族って事なのかな?
獣って付いてるくらいだし、普通の人よりは優れていてもおかしくないか。
わたしもそうなのかな?
一応、狐獣人設定として作ったキャラだし。
耳が良い事は確認済みだし。
いや、でもステータス妖怪になってるからなぁ。
「あんなひらひらのぶかぶかの奇妙な服でよく走れるよな」
「確かにな……」
納得いかないというような目で2人がこちらを見てくる。
わたしが言うのもあれだけど、巫女服でよく走れてるよね。
ゲームだと別にそういうもんかと不思議にも思わなかったけど、実際に巫女服を着て走れるとは思えない。転ぶ自信がある。自信しかない。
神様謹製の巫女服って言うのが関係しているのだろうか。それとも、ゲームキャラというこの身体が特殊なのだろうか。
それにしてもこの人達、走るの遅いな。
本気で走るぞとか言ってたけど、わたしを置いて行けなくてゆっくり走ってくれてるのかな。
別に気にしなくていいのに。まぁ、優しさは素直に受け取っておこう。
そういえば、聞きたいことがあった。
「ねぇ、あの爆発音なんだったの?」
「俺たち4人は護衛依頼の途中でな、依頼主に森から煙が出てるから見てきてくれって頼まれたんだ。本来なら依頼主から離れる訳にもいかないが、その依頼主は領主様なんだ。さっきも言ったと思うが森が燃えて無くなると街が襲われる危険性がある。領主様としては確かめておかないと心配だからな。だから俺たち2人は森の様子を見に行った。他2人を護衛で待機させている。あの爆発はそこで何かがあったって言う合図だ」
「なるほど、じゃあ急がないとね」
わたしが森を燃やしたせいで、向こうで何かあったって事だよね。
森を燃やさなかったら、この2人はこっちに来なかったわけで。護衛も中断することはなかったのだから。
でも、この2人が来なかったらわたしはまだ1人で森の中を彷徨ってたと思う。そう考えると、領主には悪いけど燃やしてよかったかなって思っちゃうね。
森の木って背が高いから、森の中に入っちゃうと煙の方向とか分からなくなるけど、この人達よくたどり着けたな。
今だって、音がした方にまっすぐ道なき道を駆け抜けてる。迷ったりしないのかな。
……。
今現在迷ってて適当に走ってるとかないよね?
ないと信じよう。信じるしかない。
冒険者としての経験がきっと生かされていて方向感覚が良いのだろう。
わたし? マップに頼ってばかりだから無理だね。ムリムリ。
この2人と逸れたら忽ち迷子だよ。
しばらく走ってみて分かったけど、ゲームキャラのステータス値がそのままみたいだ速さに関してはそう言える。
まだ本気で走ってはいないけど、ゲームしてる感覚と同じなんだよね。
そう考えると、巫女服で走り回れるのもゲームで動きなれてるからって事なのかな。
魔法も使えて、運動能力はゲームの頃のステータス値のまま。そして、神様謹製巫女服。
あれこれってチートじゃね?
勇者としてここに呼ばれて魔王を倒すとか、そんなことにならないよね?
いや、妖怪だからどっちかというと私が魔王か?
やめてほしい。面倒事には巻き込まれたくないものだ。
ん? 何の音だろ。うーん?
誰か戦ってる?
そんな音が聞こえる。
待機してた人達が襲われてるのかな。大丈夫だといいけど。
「戦闘音が聞こえる」
「本当か?」
「うん。耳が良いからね」
自分の耳を触ってアピールする。
うん、もふもふだ。
でも、もふるなら自分のじゃダメだね。やっぱ本物の動物か他の獣人キャラじゃないと。
あ、獣人キャラっていうかこの世界だと本物の獣人がいるみたいだから、キャラじゃないか。
本物の獣人……もふり甲斐がありそうだね!
「この辺の魔物程度なら、あの2人だけでなんとかなると思うが。合図があった以上、2人だけでは対処できない事になったのだろう。速度を上げるが大丈夫か?」
あ、やっぱゆっくり走ってくれてたんだ。
「大丈夫だよ」
「パルマ、身体強化で速度を上げてさっさと戻るぞ」
「わかった!」
身体強化?
ゲームならわかるけど、バフもできるの?
どういう原理なんだろうか……。
難しく考えてらダメだよね。うん。魔法だから出来る。これで全部解決できる。
魔法って便利!
わたしも強化魔法使えるのかな?
ゲームでは勿論覚えてたから使えるとは思うけど、どうイメージしたらいいんだろう。
力を上げるならムキムキになるイメージでもすればいいのかな。
嫌だなームキムキになるの。
困ってから考えればいいや。うん。そうしよう。
だって、確かに速くなったけど別について行ける速度だしね。
「なあ、強化しても平然と付いて来られてるぜ。あのちびっ子」
「……獣人だからだろ。身体強化が得意な種族だからな。子供でも優秀なんだろう」
身体強化使ってないっす! ごめんね!
でもそうか、獣人は身体強化が得意なのか。
だったらわたしにも才能はあるのかな。
あ、いや、わたし妖怪だった。
「見えたぞ! あれは……ワーウルフか? 珍しいな、ここらではあまり見ない魔物だが……」
森を抜けた所に馬車が止まっていて、護衛で残ってる2人が戦っている。
森から来たワーウルフが襲ってきたのだろう。
ワーウルフ。
ゲームでもいたなぁ。
ウルフが二足歩行になった様なモンスターで、ゴブリンが下級の下くらいだとすれば、ワーウルフは中級の中くらいだ。。
動きが速くて遠距離からの弓とか魔法が当てにくいんだよね。
範囲魔法で辺り一面攻撃すれば魔法でも倒せるけど。
わたしと一緒にいる2人は近接職っぽいし、実力次第だけど戦えないことはないだろう。
問題は、ワーウルフの数だね。6体もいるよ。
護衛で残ってた2人は防戦一方だね。
そりゃそうだ。
数も多いけど、護衛2人は、魔法使いの女性と大斧使いの男性。ワーウルフと戦うには不利だね。
魔法は避けられるし、大斧は振るのが遅いから当たっていない。大斧を盾代わりに防御して、魔法で牽制して近づけさせないように連携して防戦してるってわけだ。
そりゃ合図出して助け呼ぶよね。
護衛2人の後ろにある、ちょっと豪華そうな馬車に領主が居るのかな?
こういう場合って馬車の中で隠れるか、馬車でさっさと逃げるかどっちがいいんだろう。
まぁワーウルフなら逃げても追いつけられるか。
さぁて、わたし達は森から来たわけで、ワーウルフの後ろを取れている。
つまり護衛2人とわたし達で挟み撃ち出来るという訳だ。
いくら6体いてもこっちが後ろから奇襲の挟み撃ちなら有利というものだ。
いよーし、わたしもやるぞ!
わたしのせいでこんな事になってると言っても間違いではないからね。
ここはわたしも戦わないといけないところだろう。
森が近いから炎魔法は使わないよ。わたしは学習できるからね。
「君は木の後ろに隠れてろ」
「え?」
「子供を戦わせるわけにはいかない」
「そうだな。ここは俺達だけでなんとかなるしおとなしく隠れてろ」
「あ、はい」
おとなしく木の後ろに隠れる事にします。
わたしは大人だからね。あの2人がわたしを危険な戦闘に行かせたくないという思いを組んであげよう。大人だからね。わたしは。
もし危なくなったら助けに入ろう。
子供に助けられる事になって惨めな思いしても怒らないでね。
剣士2人は、剣を抜きワーウルフの背後から奇襲を仕掛け森から跳びだして行く。
若い方の人……名前は確か……パル……パル……何て呼ばれてたっけ。
まぁ、いいや、よしパルパルだ。あいつは今からパルパルだ!
パルパルはワーウルフに斬りかかるも躱されてしまった。
ワーウルフの野生の勘なのか背後からの奇襲だというのにあっさり気づいたな。
ゲームのUIだと気づかなかっただろうなぁ。こういうところもゲームと現実の差って感じがする。
長剣の人……そういや名前知らないな。わたしも名乗ってないけど。
長剣さんはワーウルフ1体に斬りかかった。ワーウルフもすぐに気づいて躱そうとするが、女性の土魔法が飛んできて体勢を崩したところに長剣で薙ぎ払い仕留めた。
おおーチームプレイだ。
わたしはPTを滅多に組まなかったからチームプレイは苦手だ。
それにしても……。
斬られたワーウルフの血が生々しい……。
当然と言えば当然だけど、ゲームだと血は出ないからね。
ゴブリンの時は焼いたから血は出なかった。いや焼くのもそれはそれでもう嫌だけど。
斬るのも嫌だなぁ。ゲームでも斬ってたから斬る事自体は別に良いんだけど、血が噴き出るのが嫌だ。
この世界で生きるならそういうのにも慣れないといけないんだろうか。無理そう。
さて、後5体だ。
冒険者チーム4人、ワーウルフチーム5体。
数的には問題ないけど、素早いワーウルフをどうやって倒すかな?
ふむふむ。
斧さんが2体、長剣さんが2体、パルパルが1体受け持って、魔法使いのお姉さんが斧さんと長剣さんを後方から支援してるって感じか。
長剣さんが1体の方が倒すの早そうだけど、パルパルに2体は任せられないって事かな。
何にしてもパルパルが早く倒して加勢するのが鍵かな。
それとも、長剣さんが2体倒す方が早いかもしれないね。見てる感じこの中で一番強そうだし、剣筋も悪くない。剣筋って言ってもゲーム知識だけど。
これ、わたしが魔法で不意打ちすればパパッと勝てるよね。
ワーウルフ達は4人に気を取られててわたしに気づいてないっぽいし。
使うならどの魔法かな。まず炎はダメ。水、土、風、氷この辺かな。
早さもあった方がいいし矢系の魔法が良いね。
あーでもうーん。血を見るのも嫌なんだよねぇ。だとすると凍らせるのが一番か。
氷の矢なら当たったところが凍る。ゲームではだけど。ゲーム通りの効果をイメージすればいけるはずだ。そうすれば血が飛び散ることはない。
完璧だ。完璧な作戦だ!
ま、おとなしく隠れてろって言われてるから何もしないけどね!
おっパルパルがやっと1体倒して、長剣さんのとこに加勢に行った。
うんうん、あとはパパッと倒して終わりかな。
あっ、斧さんのとこの1体が抜けて魔法使いのお姉さんの所に向かってる!
魔法使いのお姉さん接近戦得意そうじゃないよね!?
他3人は各1体づつ相手してるし、うん、わたしがやるしかないね。
作戦はさっき決めた通りに!
氷の矢を創り出しワーウルフに向け放つ。
わたしが放った氷の矢は見事に命中。ナイスヘッショ!
狙い方もゲーム通りって感じだ。
魔法と速さに関してはゲーム通りだけど、力はどうなんだろう。剣とか持てるのかな。
ゲームでは一応、普通サイズの剣やダガー、刀辺りは魔法職でも装備出来たんだよね。
でも、現実の今だと……この細い腕で振り回せるイメージが湧かない。
身体強化で持てたりするかな?
うーん。わたし愛用の刀もなくなったしなぁ。アイテム0なんだよね。ゲームからの装備品は巫女服(神様謹製)だけ。
どうせなら武器も作ってよ神様。あの刀を手に入れるの苦労したんだよ?
ボスからのレアドロップ品で、1か月ずっと同じボスを倒し続けてやっと手に入れた刀だったのに。巫女服と相まって和って感じで気に入ってたのになぁ。
というかあのお姉さんめっちゃびっくりしてる。
そりゃそうだよね。
わたしが居る事を教えてもらってない上に、いきなり魔法でワーウルフ仕留めるしね。そりゃあ驚くよ。
うん、でもこれであと3体。長剣さんも押してるしもうすぐ倒せそうだ。順調順調。
「ウオォオオオオン!!!」
え? なに?
斧さんとこのワーウルフが急に遠吠えしたんだけど。
ん? 後ろから何か近づいてくる?
うわぁ。新しいワーウルフが4体来てる。
仲間を呼んだのか、あのワーウルフ!
うーん。どうしようか。
あの4人はまだ3体と戦闘中だし、わたしが受け持つか。
時間稼ぎだけでもいいしね。そうすれば向こうが3体倒した後にこっちに来てくれると思うし。まぁわたしがパパッと倒すけど。
ワーウルフなんてゲームで何体倒してきたかわかんないよ。
ただ、問題があるとすれば、武器が無いところかな。ワーウルフは近接で戦う方が楽なんだよね。
でもそうすると血の問題があるから、やっぱ範囲魔法でドカーンと……。いやいや、周りを巻き込んじゃうから無理だよね。だからPTプレイとか護衛クエストは嫌いだ。
とりあえず、新たに来た4体のヘイトを取って森とこの4人から離れよう。そうすれば心置きなく戦える。
大丈夫、速さ的にはゲームステータス値だ。ワーウルフに追いつかれることはないし、速さがあるなら攻撃も躱せるはずだ。いざとなったら周りを気にせずドカーンだ。よし!
水弾を4つ創りワーウルフ4体に向け放つ。当然躱されるがヘイトを取れればそれでいい。
あとはここから離れて倒すだけだね。
「この4体はわたしが相手するねー! じゃそういうことで!」
「なっ!? 君! おいちょっと待て!」
長剣さんがなんか言ってるけど、気にしない気にしない。
あの人達が居たら範囲魔法使えなくて邪魔なんだよね。
森沿いをワーウルフを連れてわたしは走る。
これが、浜辺で追いかけてくるのがイケメンならキャッキャウフフな場面になるのかな。
だが残念。追いかけてくるのは獣でしたー。しかもゲームの時より獣っぽさ増しましのワーウルフさんです。
あれ? ワーウルフの後ろにもう一人追いかけてきてるぞ?
パルパルか? パルパルだね?
何しに来たんだあいつ。わたしへの嫌がらせか?
森で背負われるの拒否したのをそんなに恨んでいるのか?
はぁ、範囲魔法作戦は失敗だね。使ってみたかったのにな範囲魔法。小さい魔法は使えたから大きい魔法も使えるかどうかの確認も含んでたのに。
過ぎたことは仕方ない。範囲魔法を使えないなら離れる必要もない。正々堂々とワーウルフを倒してやろうじゃないか!
わたしは足を止め後ろを振り返りワーウルフと向き合う。と、同時に氷の矢を放つが躱されてしまう。
うん。やっぱ正面から放っても当たらないよね。
でも大丈夫。避けられるのが狙いだから。
氷の矢を放つのと同時くらいに次の魔法を仕掛ける。
地面にぶかぶかの袖越しに手を当てゲームでの技をイメージする。
土魔法の円錐?と言ったらいいのかな。地面から尖った岩を隆起させて攻撃する。
氷の矢を避けるために横に跳躍したワーウルフ1体に土魔法が直撃する。
ジャンプして躱すなら着地点を狙って攻撃すればいい。所謂着地狩りだ。卑怯じゃないよ。立派な戦略だよ。
うわぁ。そうだった氷魔法じゃないと血が……。ついゲーム通りに戦ってしまう。
最悪だ尖った岩がワーウルフの身体を貫いて血が滴ってる。
でも、今は気にしてる場合ではない。まずは1体。残り3体だ。
パルパルも追い着いて挟み撃ち状態。
パルパルに気づいたワーウルフ1体がパルパルに襲い掛かっていく。
まぁ、1体くらい横取りされてもいいか。任せよう。
残り2体はわたしの方に向かってくる。
ふふふ、魔法職が武器を持ってないからと言って接近戦で何もできないと思うなかれ!
あ、そもそも魔法職のプレイヤーは近接武器を持ったりしないけどね。
普通はPT組んで後方火力、支援だし。
この世界でもそれは変わらないのかな。あの魔法使いのお姉さんが見た目と違って実は近接も出来るのかもしれない。
いや、ないか。ワーウルフが斧さん抜けたとき困ってたし。
よし、無駄な事考えてないでワーウルフを倒さないとだ。
「さあ、おいで、ワンちゃん達。わたしがどれだけ動けるか実験に付き合ってもらうよ」
あんだけ走れるんだから結構動けることは分かるけど、戦闘でどれだけ動けるかとか、巫女服の防御力とか気になるよね。
巫女服に関しては攻撃を食らうつもりはないから、確かめられないかも。もし神様が嘘ついていたら大惨事だからね。痛いのは嫌だ。
ゲームで使っていた近接魔法をイメージして発動させる。
手に冷気を纏い触れたものを凍らせる、近接魔法だ。
魔法って言っても扱うのは武闘職のプレイヤーだ。わたしは魔法なら何でも好きだから近接魔法も覚えた。
魔法職にとっては死に魔法だからこの魔法を好んで覚えたのはわたしくらいじゃなかろうか。
そりゃそうだ。後衛職の魔法職が近接魔法なんて使い道がないもんね。
でもこの近接魔法、凄く便利で強いんだけどなぁ。
武闘職はMPが少ないから威力は凍らせるより、氷属性が付与された打撃って感じだけど、魔法職が使うとMPが多いから武闘職とは違う効果が出るんだよね。
なんで皆使わないんだろうか。まぁ近接魔法だからだろうけど。
そんな訳で、素手だろうとワーウルフと戦えるのだ!
わたしはワーウルフ2体の攻撃を躱しつつ、冷気を纏った手で平手打ちを隙あらば打ち込む。冷気を纏った手って言っても袖が長いので袖越しにだけど。
あ、今気づいたけどこの魔法って素手で使ったら、相手を凍らせつつわたしの手も凍ったのかな。ゲームだとそんな事なかったけど、ここだとどうなるか分からないよね。
飲み水を出したときに冷たいと感じたし、自分の魔法は自分に影響しないとは思えない。回復魔法がこの世界で使えるなら、自分に対して回復魔法が使えないという事になっちゃうもね。
そう考えると、この巫女服のお陰で近接魔法が使えてるってことになるのかな。使うと自分も凍ってしまうというデメリットを無くしてくれている訳だ。
ありがとう神様!
という訳で、何回か打ち込んでワーウルフを徐々に凍らせていく。一気に凍らせる事も出来るけど、ずっと触ってないといけないから戦闘中には無理なんだよね。
よし、わたしの方の2体は終わりっと。
戦闘でもなかなか動けるね、この身体。ほんとにゲーム感覚って感じ。
パルパルはというと、まーだ戦ってるよ。
森を走ってワーウルフ1体倒して、わたしを追いかけてまた走ってで体力持っていかれたんだろうね。
鍛え方が足らないからそうなるんだよ。
って引きこもりのわたしが言える事じゃないけど。
いや、でも待てよ。この身体はわたしのゲームキャラなわけで、それを育成してきたのは紛れもなくわたしなわけで。わたしが努力した成果なんだからわたしが威張ってもいいわけだ
うん。
「パルパルは鍛え方が足りないね」
と、言い放ちパルパルが戦っているワーウルフを後ろからタッチして凍らせる。
弱ってたから隙だらけであっさり倒せたね。
「パルパルって俺の事か? まぁそれはいいとして……お前、そんな奇妙な恰好で子供なのに強いんだな……」
格好は関係ないでしょ。
巫女服は奇妙な格好じゃないよ!普通の格好かと言われたら違うかもしれないけど。
さて、向こうも倒してるだろうし戻ろうかね。