定期報告:管理番号1番との交流(3回目) ⑤
「……自分がしたことを理解しているのですか?」
自分の保管部屋に戻った後で俺はライナに叱責されていた。
「あ、ああ……その……悪かった」
「はぁ……アナタは管理番号21番のことを軽視しています。アレは死なないアナタをある意味で殺すことのでできる数少ない危険存在なんですよ?」
ライナは本気で怒っているようだった。しかし、俺の中に一つの疑念が浮かぶ。
ライナが怒っているのは……禁忌倉庫での業務に支障が出るからじゃないか?
俺がいなくなると点検行為をするやつがいなくなる……だから、ライナは怒っているのだ。
「聞いているのですか? 管理番号1番」
「……じゃない」
「はい?」
「……俺は! 管理番号1番なんかじゃない! アレン・アークライトだ!」
俺は怒鳴りながらライナに詰め寄った。ライナは目を丸くして俺を見ていた。
「お前は! どうせ俺がいなくなると点検行為ができなくなるから! だから俺を怒っているんだろう!」
俺がそう捲し立てると、ライナは少し悲しそうな顔をする。その反応は俺にとっては予想外だった。
「……そう、ですか……アナタはそう思うのですね」
「ああ! だって、それ以外にありえないだろう!」
俺がそう言うとライナは今度は何も言わずに俯いてしまった。そして、そのまま何も言わずに俺に背を向けて扉の方に歩いていく。
「……わかりました。はっきりいいます。そのとおりです。アナタがいなくなると私は困る……だから、アナタには軽率な行動は控えてほしかったのです」
「ああ、そうかよ……だったら、他の危険存在と同じように閉じ込めておけよ。それとも、あの爺さんみたいに厳重に管理するのか?」
皮肉混じりにそう言ってやると、ライナは俺の方を振り向く。
その表情はとても寂しそうで……見ているこっちがなんだか悲しくなってきてしまうくらいだった。
「……そうですね。そうするかも……しれません。でも、今はしません……明日からまた点検行為です……」
力なくそう言って、ライナは部屋を出ていってしまった。
「……なんだよ、アイツ」
そう言いながらも、俺は少し何か後悔のようなものを感じていた。ライナに対して何かとんでもないことを言ってしまった……そんなふうに感じていたのだった。
管理者記録:管理番号1番
精神状態:非常に不安定。管理者に対して反抗的。
詳細:私は間違っていない。それなのに、あの言い方は酷い。




