定期報告:管理番号1番との交流(3回目) ③
こうして第二回戦が始まった。俺と管理番号21番の直接対決である。
俺もナイフを手にして、それを胸に突き立てる……と言葉で言ってしまえば簡単だが、正直、めちゃくちゃ怖かった。
おまけに管理番号21番が支配しているこの場では、俺は普通に死んでしまう。先程のコインの賭け以上に、命をかけているという実感があった。
「さぁ、どうぞ」
管理番号21番は早くしろと言わんばかりに俺にそう言ってきた。仕方なく、俺はナイフを胸に突き立てる。
「だめですよ。思い切りがよくないと、反応しません」
管理番号21番はそう言う。俺は嫌で仕方なかったが……ナイフを振り上げると、思い切り自分の胸に向かって振り下ろした。
「ぐえっ」
其の瞬間、ナイフの刃の部分が消滅した。しかし、思い切りが良かったので、俺の胸には衝撃がきた。
「良いですね。では、次は私です」
俺は咳き込みながら、ナイフを管理番号21番にわたす。管理番号21番は何事もなかったかのように、躊躇いなくナイフを自分の胸に突き刺した。
「おや。今日は運がいいですね。まだ刺さらない」
嬉しそうにそういう管理番号21番。そして、今一度俺にナイフを渡してくる。
「……なぁ。正直、もうやめたいんだけど」
「ふふっ。ご存知でしょう? それはできないと」
笑顔でそういう管理番号21番。俺は仕方なく先程と同じようにナイフを胸に突き立てる。
そうして、その繰り返しが何度か行われた。しかし、一向に勝負はつかず、俺の精神だけがすり減っていった。
「さぁ、アナタの番です」
管理番号21番は何食わぬ顔でそう言う。俺は……もう限界だった。命を賭ける狂ったゲーム……こんなことは終わりにしたい。
俺はおもむろにナイフを持つと同じように、胸に突き立てようとする……しかし、予感があった。
これは、負けたな、と。
ナイフの刀身は消滅しない。そして、刀身は、そのまま俺の胸に突き立てられ――
「やめなさい!」
と、その時だった。ナイフを持った俺の腕が何者かに止められた。俺は思わず声の下法を見てしまう。
「え……ら、ライナ……」
見ると、そこには、ライナが俺のことを睨みつけながら立っていたのだった。




