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禁忌倉庫の管理記録  作者: 松戸京
管理番号21~30
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定期報告:管理番号1番との交流(3回目) ①

「それで……知りたいことがある、と」


 俺の前の前の半透明の存在は静かにそう言った。


 俺はその日……いつものようにライナが俺に定期的に用意してくれた特別の日……他の危険存在との交流が許される日のために、自分の部屋ではなく、管理番号21番の部屋にいた。


「ああ。その……この禁忌倉庫のことなんだが……アンタは知っているか?」


 俺がそう言うと管理番号21番はその半透明な表情で俺に微笑む。


「そうですね。私が生前魔術師であることをお話しましたからね。それで、もしかすると私ならばなにか知っているかもしれない、と」


「ああ。そうだ」


 俺がそう言うと管理番号21番は少し困ったような顔をする。


「そうですね……少なくともアナタよりかはこの場所に詳しいかもしれません。といっても、私も魔術師の端くれであって、中心的な存在ではありませんでした。噂程度の知識しかありませんよ」


「それでもいい。俺は……自分が閉じ込められているこの場所のことを知りたいからな」


 俺がそう言うと管理番号21番は小さく頷いた。


「……いいでしょう。では、私の知識でよければアナタに提供します」


「本当か? 助かる……アンタは博打好きなだけで、話のわかるやつだからな」


 俺がそう言うと管理番号21番はどこからか一枚のコインを取り出した。


「ええ。そうですね。私は博打好きなだけです」


 そういって、コインを指先に載せ、半透明の親指で思いっきり上方へ弾き飛ばす。


「……何をしているんだ?」


 俺がそう聞くとともに、管理番号21番はコインを手のひらの中に収めた。


「簡単なことです。アナタは情報が知りたい、私は博打がやりたい……こうすれば、お互いの利益は共有されるでしょう? それに……すでにアナタは椅子に腰掛けている。それは……賭け事に同意している証でしょう?」


 言われて俺は気づいたが……確かに俺は椅子に座っていた。


 そして俺は同時に思い出した。管理番号21番は話はわかるが……博打狂いの幽霊なのだ、と。

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