定期報告:管理番号1番との交流(3回目) ①
「それで……知りたいことがある、と」
俺の前の前の半透明の存在は静かにそう言った。
俺はその日……いつものようにライナが俺に定期的に用意してくれた特別の日……他の危険存在との交流が許される日のために、自分の部屋ではなく、管理番号21番の部屋にいた。
「ああ。その……この禁忌倉庫のことなんだが……アンタは知っているか?」
俺がそう言うと管理番号21番はその半透明な表情で俺に微笑む。
「そうですね。私が生前魔術師であることをお話しましたからね。それで、もしかすると私ならばなにか知っているかもしれない、と」
「ああ。そうだ」
俺がそう言うと管理番号21番は少し困ったような顔をする。
「そうですね……少なくともアナタよりかはこの場所に詳しいかもしれません。といっても、私も魔術師の端くれであって、中心的な存在ではありませんでした。噂程度の知識しかありませんよ」
「それでもいい。俺は……自分が閉じ込められているこの場所のことを知りたいからな」
俺がそう言うと管理番号21番は小さく頷いた。
「……いいでしょう。では、私の知識でよければアナタに提供します」
「本当か? 助かる……アンタは博打好きなだけで、話のわかるやつだからな」
俺がそう言うと管理番号21番はどこからか一枚のコインを取り出した。
「ええ。そうですね。私は博打好きなだけです」
そういって、コインを指先に載せ、半透明の親指で思いっきり上方へ弾き飛ばす。
「……何をしているんだ?」
俺がそう聞くとともに、管理番号21番はコインを手のひらの中に収めた。
「簡単なことです。アナタは情報が知りたい、私は博打がやりたい……こうすれば、お互いの利益は共有されるでしょう? それに……すでにアナタは椅子に腰掛けている。それは……賭け事に同意している証でしょう?」
言われて俺は気づいたが……確かに俺は椅子に座っていた。
そして俺は同時に思い出した。管理番号21番は話はわかるが……博打狂いの幽霊なのだ、と。




