管理番号29番:堕女神 ③
「え……め、めが……管理番号14番?」
俺は「女神」と言いそうになって途中でやめた。俺の女神は……今俺が跪いている人だ。
ちらりと女神様の方を見ると、不安そうな顔で俺を見ている。
「え、えっと……アナタは?」
女神様が管理番号14番に訊ねる。管理番号14番は馬鹿にしたような表情で女神様を見る。
「はっ!? 人の信者をとっておいて、何、その態度? アンタは女神ってわけ?」
「え……わ、私は……別に女神というわけでは――」
「違う! 彼女は女神だ!」
俺は管理番号14番に向けてそう言った。
すると、管理番号14番がゆっくりと俺の方に顔を向ける。
「……へぇ。何? アンタは……そこの女が女神で……私は女神じゃないっていうの?」
「あ、当たり前だ! この方こそ女神だ! お前なんて……女神を騙る偽物だ!」
そうだ……女神は今俺の側にいる優しげな人一人だけだ。コイツは女神じゃない……
「あ……管理番号1番……それくらいにしておいた方が……」
ライナが少し不安そうにそう言ってくる。しかし、俺には関係なかった。女神様を守る……俺の頭の中にはその考えしか存在していなかった。
「うるさい、ライナ! いい加減はっきりさせるべきなんだ! 管理番号14番は女神じゃな……い……って、痛い痛い!」
俺はその瞬間自分の身体に起こった変化に驚愕した。身体が……ネジ曲がっているのだ。
まるで無理矢理に捻じ曲げられているかのように……足が変な方向に曲がっていき、腕も根島が買っていく……体全体がどんどんと身体がネジ曲げられているようだった。
「い、痛い! や、やめて……」
俺は痛みでもう意識を失いそうだったが、管理番号14番は俺にそれこそ「女神」のような笑顔を向けてくる。
「……少し痛い目をみないとわからないようだから……ね?」
そのまま俺の身体はミシミシ……そして、ボキボキと音を立てて……完全にネジ曲がってしまった。
無論、俺はその瞬間、絶命した。
しかし、最後に俺が聞いたのは管理番号29番の悲鳴と、管理番号14番の「今度、私の信者に手を出したら、アンタはもっと残酷に殺すから」という、まるで冗談に聞こえない脅しなのであった。
点検結果:管理者報告
管理番号29番の危険度判定:重度⇒軽度
理由:管理番号29番は管理番号1番の死亡時の状態を見て以降、ショック状態にあるようで、話しかけても反応しません。彼女と話さなければその特殊性も発揮されないようなので、危険度判定を改めました。なお、管理番号14番の危険度判定を重度へと変更するかは、現在管理者が検討中です。




