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禁忌倉庫の管理記録  作者: 松戸京
管理番号21~30
64/80

管理番号27番:貧血鬼 ①

管理番号28番・簡易名称:貧血鬼

概要:管理番号28番はミイラ化した死体に見えますが、生命活動を維持しています。

管理番号28番の近くに対象が近寄ると、管理番号28番は覚醒し、対象を捕獲、そのまま吸血活動を行います。管理番号28番が吸血する血液の量は一般的な男性の体内の血液全てのため、吸血された対象は死亡します。管理番号28番は一般的な吸血鬼と違い、吸血した血液をその日の活動の全てに使用してしまうため、最大で一日しか活動をすることができません。

「……うわぁ」


 俺は思わず声をあげてしまった。俺の前方には……何者かが倒れている。


 服は着ているようだったが……どう考えても普通じゃなかった。


「えっと……管理番号28番って……」


『ええ。アナタの前で倒れている存在です』


 ライナは無情にも俺にそう言ってきた。どうやら……やはり俺は前方の存在に接触しなくてはいけないようだった。


「……嫌だなぁ。でも……まぁ、仕方ないか」


 俺はそのまま前方の存在に近づいていく。近づいていくに連れてそれが死体であること……しかも、どうやら干からびた死体であることがわかった。


「え……これ、完全に死体みたいなんだけど……」


『ええ。問題ありません。もっと近づいてい下さい』


 ライナはお構い無しで俺にそう命令する。俺はそのまま干からびた死体の方に近づいて行った。


 そして……その時だった。


 死体は、起き上がったのだ。俺はあまりのことに驚いた。しかし、次の瞬間には死体は俺の両肩をものすごい力で掴む。


 かと思うと、そのまま肩を掴んだままで、死体は……俺の首筋に噛み付いてきたのだ。


 チクリと鋭い痛みが俺の首筋に走る。そして、そのまま……


「あ……あぁ……」


 信じられないことだが……血を抜かれているのだ。俺はその時、この死体が吸血鬼の死体であることを理解した。


 しかし……自分の身体に異変が起きているのはすぐに理解できた。


「お、おいおい……ちょっと……いい加減……」


 吸血鬼の死体は……俺の身体中から血液を吸い付くそうとしているのか、ずっと俺を吸血している。


 俺はなんとか死体を振り払おうとしたが、ものすごい力で離れない。


「ら、ライナ! 助けてくれ!」


 俺は叫んだが、ライナの返答はない。


 そこで俺は理解した。これが……今回の点検行為なのだ、と。


 そして、そのまま死体は俺の血液を吸い続ける。俺の身体はどんどん干からびていく。


それに伴って、死体は段々と色艶を取り戻していった。


 それから、数分後……


「あ……もう……」


 俺はそのまま意識を失った。どうやら完全に身体中の血液を吸いつくされたらしい。


 そして、そのまま俺は……死亡してしまったようなのだった。

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