管理番号27番:貧血鬼 ①
管理番号28番・簡易名称:貧血鬼
概要:管理番号28番はミイラ化した死体に見えますが、生命活動を維持しています。
管理番号28番の近くに対象が近寄ると、管理番号28番は覚醒し、対象を捕獲、そのまま吸血活動を行います。管理番号28番が吸血する血液の量は一般的な男性の体内の血液全てのため、吸血された対象は死亡します。管理番号28番は一般的な吸血鬼と違い、吸血した血液をその日の活動の全てに使用してしまうため、最大で一日しか活動をすることができません。
「……うわぁ」
俺は思わず声をあげてしまった。俺の前方には……何者かが倒れている。
服は着ているようだったが……どう考えても普通じゃなかった。
「えっと……管理番号28番って……」
『ええ。アナタの前で倒れている存在です』
ライナは無情にも俺にそう言ってきた。どうやら……やはり俺は前方の存在に接触しなくてはいけないようだった。
「……嫌だなぁ。でも……まぁ、仕方ないか」
俺はそのまま前方の存在に近づいていく。近づいていくに連れてそれが死体であること……しかも、どうやら干からびた死体であることがわかった。
「え……これ、完全に死体みたいなんだけど……」
『ええ。問題ありません。もっと近づいてい下さい』
ライナはお構い無しで俺にそう命令する。俺はそのまま干からびた死体の方に近づいて行った。
そして……その時だった。
死体は、起き上がったのだ。俺はあまりのことに驚いた。しかし、次の瞬間には死体は俺の両肩をものすごい力で掴む。
かと思うと、そのまま肩を掴んだままで、死体は……俺の首筋に噛み付いてきたのだ。
チクリと鋭い痛みが俺の首筋に走る。そして、そのまま……
「あ……あぁ……」
信じられないことだが……血を抜かれているのだ。俺はその時、この死体が吸血鬼の死体であることを理解した。
しかし……自分の身体に異変が起きているのはすぐに理解できた。
「お、おいおい……ちょっと……いい加減……」
吸血鬼の死体は……俺の身体中から血液を吸い付くそうとしているのか、ずっと俺を吸血している。
俺はなんとか死体を振り払おうとしたが、ものすごい力で離れない。
「ら、ライナ! 助けてくれ!」
俺は叫んだが、ライナの返答はない。
そこで俺は理解した。これが……今回の点検行為なのだ、と。
そして、そのまま死体は俺の血液を吸い続ける。俺の身体はどんどん干からびていく。
それに伴って、死体は段々と色艶を取り戻していった。
それから、数分後……
「あ……もう……」
俺はそのまま意識を失った。どうやら完全に身体中の血液を吸いつくされたらしい。
そして、そのまま俺は……死亡してしまったようなのだった。




