管理番号26番:必死の転移魔法陣
管理番号26番・簡易名称:必死の転移魔法陣
概要:管理番号26番は、転移魔法を起動することが出来る魔法陣です。
魔法陣の中に侵入すると、魔法が起動し、転移魔法が発動します。
発動後、侵入者は転移魔法によって、ある場所に転移させられます。
今までの発動後の生存者はいません。不死性のある管理番号1番が耐えることが出来るかどうかを点検してください。
「……なんだこれ」
部屋に入ると、床一面に何かの模様らしきものが描かれていた。こういうのは前にも見たことがあるが……なんだか模様が違っていたようだった。
『それは転移魔法を発動する魔法陣です。管理番号1番。侵入して下さい』
「え……まぁ、拒否権はないんだろ? だったら……」
俺はそのまま魔法陣の方に向かっていく。そして、魔法陣の中に足を踏み入れた。
その途端、模様が光り輝き出した。
「おお……魔法が発動するのか?」
『ええ。転移魔法ですので、どこかに転移させられます。準備して下さい』
俺はライナにそう言われて準備した。その瞬間、光が一層強く輝き、そのまま俺の前の前は光で覆われた。
そして、次の瞬間……
「……え?」
俺は……目覚めた。見ると……そこは自分のベッドだった。
「え……何? 俺は……」
「ああ、目覚めましたか、管理番号1番」
俺が目覚めると同時に、ライナが部屋に入ってきた。
「ああ、ライナ……えっと、俺は?」
「ええ、管理番号26番が発動しました。既に点検行為は終了しています」
「え……ちょっと待ってよ。俺……部屋に飛ばされただけじゃね?」
俺がそう言うとライナは少し驚いたような顔をした後で、俺のことを見る。
「……特に何も覚えていないのですか?」
「え? ああ、気付いたらこの部屋にいたけど……何か変なのか?」
ライナは少し困っていたが……首を振った。
「いえ……大丈夫です。ただ、申し訳ないのですが、後何度か、管理番号25番の点検行為に協力してくれますか?」
「……まぁ、自分の部屋に転送させられるだけの危険存在なら、問題ないけどな」
俺は笑ってそう答えた。ライナは少し複雑そうな顔をしている。
なんだかよくわからないが……管理番号26番の点検行為は楽で俺も助かったのだった。
点検結果:管理者報告
管理番号26番の危険度判定:重度
理由:管理番号26番が転移魔法を発動させると、侵入者はランダムな場所に転移させられるようです。そして、確実に死亡させられます。
そして、1時間後、転移させられた侵入者は魔法陣の中心に戻ってきます。
以下、管理番号1番の点検行為の際に、1時間後に管理番号1番が帰還した際の状態です。
1度目:死体が細切れになった状態で出現。6時間後には管理番号1番は自身の保管部屋にて蘇生。
2度目:全身が黒焦げになった状態で出現。6時間後には管理番号1番は自身の保管部屋にて蘇生。
3度目:激しい衝撃を受け、肉体の損壊が激しい死体の状態で出現。6時間後には管理番号1番は自身の保管部屋にて蘇生。
以上の点検行為の全てにおいて、管理番号1番は死亡の際の記憶を持っていませんでした。
魔術師である管理者の見解では、管理番号26番は単純な転移魔法陣ではなく、むしろ、侵入者を転移させ、死亡させようとする悪意を持った存在なのではないのだろうかと考える。




