管理番号24番:選り好みするデュラハン ①
管理者番号24番・簡易名称:選り好みするデュラハン
概要:管理番号24番は人間の頭部です。頭部だけにもかかわらず24番はしゃべることが出来、生存しています。管理番号24番にふれると、管理番号24番と接触者の頭部が入れ替わります。点検行為では管理番号24番の特殊性が発揮されるとどのような状況になるのかを正確に把握するようにして下さい。
「……え。なにあれ」
流石に俺は驚いてしまった。ライナに連れてこられた部屋には……人間の頭部があった。
「死体? でもなんで頭部だけ……?」
意味がわからなかった。あまり近づきたくない。
『管理番号1番。人間の頭部が確認できましたか? 近づいて下さい』
「……はいはい。そうだろうと思いましたよ」
俺は諦めてそのまま人間の頭部に近づいていく。
人間の頭部は目を瞑っている。どう考えてもこんな状態では死体と見るのが普通だ。でも、なぜだかその頭部は妙に生きているような……
「ん? おお!」
その時だった。頭部は……目を開いた。そして、それと同時に大きな声をあげた。
「ひ、ひぇぇぇぇ……」
俺は情けない声を出しながら、その場に尻もちをついてしまった。
『大丈夫ですか? 管理番号1番』
「だ、だって……頭が……」
「そこの! こっちに来い!」
頭部は……俺のことを真っ直ぐに見つめながらそういう。そして、俺に近づいてこいと言う。
「えぇ……嫌過ぎる……」
『管理番号1番。分かっていますか? これは点検行為ですよ』
ライナの鋭い言葉が頭に響く。俺に選択肢等はじめからないのである。
「……わかりましたよ」
俺は立ち上がり、頭部の方に近づいていく。頭部は俺のことを見ながら嬉しそうな不気味な笑みを浮かべている。
見ると、頭部は中年男性のもののようだ。ひげを蓄え、どこか威厳のある風格を漂わせている。
「ふふっ……貴様。中々良い身体をしているな。少し我輩に触れてみよ」
頭部は偉そうな口調でそういった。
「え……あ、はい」
俺はものすごく嫌だったが……頭部を触ってみた。人間の肌の感覚……しかし、それこそ、死体の方に冷たい。
その時だった。一瞬視界がぐらついた。そして、次の瞬間には……なぜか俺の視点はすごく低い場所のものとなっていた。
「おお! 中々馴染み肉体だ! 良いではないか!」
見ると……俺の視線の先で、今まで頭部だけだった男が、なぜか首から下を手に入れていた。
いや、意味がわからなかったが正確にいえば、男の首から下の肉体は……俺が今まで着ていた服を着ているのである。
「……え?」
「青年よ。しばしこの身体使わせてもらうぞ!」
そういって、俺の身体を得た中年男は……部屋から出ていった。
「え……これって……」
その時、俺は自分の視線を周りに写し、ようやく理解した。
自分の首から下がないのだ。俺の視線のすぐ先には床が有る
。
つまり、俺はその時一つの結論にたどり着く
。
自分が……頭部だけの存在になっていることを。




