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禁忌倉庫の管理記録  作者: 松戸京
管理番号21~30
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管理番号22番:被虐的な彼女 ②

「……クソッ……クソッ……!」


 俺は朝からひたすら壁を殴り続けていた。ひたすらに……怒りが抑えられないのである。


 とにかく、何かを破壊したい……そんな異常な衝動に俺は支配されていた。


「管理番号1番。点検行為の時間……何をしているのですか?」


 ライナは部屋に入ってくると同時に目を丸くする。


「あ、ああ……ライナか。アイツは……まだ生きているのか?」


 俺は怒りを抑えながら、なんとかそう言う。


 アイツ……自分でも一体誰のことを言っているのかわからなかった。


「そんなことより……大丈夫ですか? その手」


 言われて俺は気付いた。既に拳は血だらけである。


 しかし……大して気にならなかった。むしろ、怒りが抑えられない。


 アイツを……管理番号22番を殴ってやらないと気が済まないのだ。


「俺は大丈夫だから……さっさと、管理番号22番に会わせてくれ!」


 俺がそう言うとライナは少し怯えた顔をした。その瞬間、俺の心の中でものすごい高ぶりがあった。


 ライナも殴ってやりたい……俺はそう思った。


「だ、ダメだ!」


 俺は思わず叫んでしまった。それと同時に、今一度壁を殴る。壁には拳型の血の跡が付く。


「か、管理番号1番……大丈夫ですか?」


「大丈夫だから! は、早く管理番号22番をころ……違う! 会わせてくれ!」


 俺がそう怒鳴ると、ライナは怯えた顔で自分についてくるように言った。


 益々ライナを殴ってやりたい気持ちが強くなる。


 ダメだ、ライナは殴ってはいけない……そんな正反対の気持ちが頭の中を駆け巡り、気が狂いそうになりながらも、俺はライナに付いて行ったのだった。

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