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禁忌倉庫の管理記録  作者: 松戸京
管理番号21~30
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管理番号22番:被虐的な彼女 ①

概要:管理番号22番は、南部王国の近衛隊長を務めていた女性です。

彼女の異常性は、南部王国と東部帝国の戦闘の際、彼女が東部帝国の捕虜となった際に発生しました。

東部帝国では、彼女の異常性によって、帝国内で内乱が発生し、内乱は一度は鎮圧されましたが、断続的に継続中です。

点検行為の際は、くれぐれも管理者は彼女の接触しないようにして下さい。(接触する場合は、短時間の接触を心がけ、点検行為を行ったものへの十分な注意を払って下さい)

「……え? 今回は……あの人?」


 俺の前には……綺麗な女性が立っていた。綺麗な金髪に、青い瞳……そして、俺を睨んでいる。


 しかし、その服装はボロボロで、それこそ、囚人の服のようだった。


「き……貴様! 何者だ!」


 女性は凛とした声でそう叫んだ。俺は思わず慌ててしまう。


『問題ありません。彼女に接触して下さい』


 ライナのその言葉に、俺は渋々彼女に近寄っていった。


「えっと……君は、どうしてここに?」


「うるさい! 貴様に言う必要はない!」


 ……その時、俺はなんだかわからないが、ものすごくムカついた。


 無論、彼女に大してだ。意味がわからなかった。


 言い表せない怒りが、こみ上げてきたのである。


「……あのさぁ、俺、普通に聞いているだけなんけど?」


 俺が思わず語気を強めてそう言ってしまうと、彼女は少し怯えた様子で俺を見る。


 益々俺は怒り……いや、怒りではなく、俺の中で「彼女に攻撃を加えたい」という欲望が大きくなってくる。


「ふ……フフッ……どうせ、殺すのだろう? 私も騎士だ! 潔く死ぬさ!」


 ……我慢の限界だった。俺はそのまま彼女に近づいていって……彼女の頬を平手打ちした。


「……あ! ご、ごめんなさい……!」


 叩いてから俺は思わず彼女に謝った。意味がわからない……なんでこんなことを?


 彼女は頬を赤くして、涙目になりながら俺を睨む。


「暴力か……いいだろう。気の済むまで殴れ! この下郎が! 私は誇り高い騎士だ! 暴力には屈しないぞ!」


 ……もう、ダメだった。


 その後は俺は彼女のことをひたすら殴った……特に腹部を集中的に攻撃した。


 彼女が辛く、悲しそうな顔をすればするほど、もっと痛めつけてやりたいという気持ちが大きくなる……俺はその気持を止めることができなかった。


 そして……十分ほど立った。


「ま……満足か……?」


 かすれるような声で、彼女はそう言った。


 彼女は地面に倒れていた。会話はまだできるようだ。しかし、腹を抑えている。


 もしかすると、内蔵が潰れてしまったかもしれない……それでも、俺はまだ彼女を痛めつけてやりたかった。


『そこまでです。管理番号1番』


 そう言われて俺は我に返った。ライナ……そうだ。これは点検行為なのだ。


『部屋から出て下さい。確認したいことがあります』


 そう言われて俺は部屋を出ようとする。出る際に今一度彼女を見る。蹲ってはいたが……死んではいないようだった。


 殺してやりたい……そんな邪悪な気持ちさえ、俺の中に芽生えてしまった。


「お疲れ様でした。管理番号1番」


 部屋から出ると、ライナがいた。その瞬間、俺はどうしようもない欲望に駆られた。


 ライナを……痛めつけてやりたい。


 おかしい……そんなことをしてはいけないという気持ちがありながらも、殴って、涙目にしてやりたかった。


「……どうかしましたか? 管理番号1番?」


「え……いや、なんでもないよ……あはは……」


 ダメだ……我慢しろ……我慢。


 俺はギュッと拳を……先程まで、さんざん管理番号22番を殴り続けていた拳を握りながら、なんとか欲望を抑えたのだった。

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