管理番号21番:博打好きの死霊 ③
そして、賭事に望むのは、俺と15番、さらに21番だけになってしまった。
ライナは机にぶっ倒れたままである。
「さて、賭事を続けましょう」
21番は笑顔のままにそういう。俺と15番は顔を見合わせた後で、小さく頷いた。
俺たちが頷いたのを確認すると、21番はまたしてもパチンと指を鳴らす。すると、俺と15番の前にコップが現れた。
「さぁ、どれか一つに毒が入っています。飲めば魂が抜けます」
「……なぁ、もう一度聞いていいか?」
と、15番が21番に対して問いかける。
「はい? なんですか?」
「イカサマは……してないんだよな? 例えば……最初から俺か、1番の方に毒が入ったコップが行っているってことはないのか?」
15番は案外疑り深い性格のようだったが、俺もそう思っていた。
しかし、21番は困ったような笑みを浮かべる。
「ええ。していません。それに、そんな卑怯な真似もしていません。つまらないじゃないですか、それでは」
そう言う21番。しかし……
「……どうも信用できないんだよな……そうだ。21番、コップを交換してくれ」
15番は俺の気持ちを代弁しながらそう言った。
一瞬21番は戸惑ったようだったが、小さく頷いた。
「ええ。いいですよ」
15番は少し想定外のようだった。俺もそうだった。コップの交換……これは21番は拒否すると思ったからだ。
しかし、21番は拒否しなかった……つまり、これは、本当にイカサマをしていないということか?
コップを交換し終わると、21番は笑顔でコップを持つ。
「では、飲みましょうか」
そういって21番はコップの中身を口の中に注ぐ。俺も15番もそのまま口の中に液体を注ぎ込んだ。
「……ぐへっ」
しばらくすると……喀血したのは、15番だった。
「お、おいおい……アンタかよ」
俺がそう言うと、苦しそうな顔をしながら、15番は、俺に対して悲しそうな目を向ける。
「1番……この賭事……きっとからくりがある。だから……それを見破ってくれ……」
それだけ言って、15番も動かなくなった。
いや、15番の場合は元々死体なのだから、死体に戻った、といったほうがいいのかもしれないが。
「その方の魂も私が預かっています。後は……アナタだけですね?」
相変わらずの笑顔で嬉しそうにそう言う21番。
俺はようやくこの危険存在に対峙することが、今まで1番恐ろしい点検行為だったのではないかと思い始めていたのだった。




