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禁忌倉庫の管理記録  作者: 松戸京
管理番号11~20
48/80

管理番号19番:騎士の指南 ③

「……今日こそ、勝つ」


 俺ははっきりとそう言った。


『そうですか。健闘を祈ります』


 ライナは無関心そうだったが……必ず俺は勝ってみせる。


 そう思って、そのまま管理番号19番の部屋に入る。俺は迷わず剣を取った。


「ふむ……良い面構えになったな」


 鎧は立ち上がると、嬉しそうにそういった。


「……もはや言葉はいらないだろう。さっさと始めようぜ」


 俺はそう言って剣を構える。鎧も同様だった。


 俺は確信していた。この戦いに限っては……俺は完全にこの鎧と同等の強さになっている、と。


 その原理はわからないが、兎に角強くなっているし、鎧もそのことに気がついていると。


 私も鎧も動かなかった……ただ、ジット互いのことを見つめている。


 そして、どれくらいの時間が経った頃だろうか……


「……覚悟!」


 そういって鎧が突進してきた。俺はすかさず剣で鎧の剣撃を受け流す。


 この鎧……わかってしまえば、剣撃は単純だ。俺でもさえも見てから避けることができる。そして、鎧の攻撃が一旦収まる。俺は……すぐには攻撃には出なかった。


「……なんだ? 来ないのか?」


 鎧は誘うようにそう言うが……その手には乗らない。昨日でわかった。


 この鎧は、俺が攻撃すると同時に、それを逆手に取って攻撃してくる……それならば、単純に攻撃しただけでは昨日と同じだ。


 俺は少し、剣を構えたままで動きを止める。鎧は今にも俺が来ないかと待ちわびている……それならば……


 俺は足を一歩踏み出した。しかし……そのまま突っ込まない。鎧はそれに動揺したようだった。


 俺はその合間を見逃さなかった。すかさず鎧の近くまで間合いを詰め、そのまま鎧の頭めがけて剣を振り下ろした。


 カーン、という金属音が響く。そして、鎧の頭部が床に転がった。


「……見事」


 そう言う言葉が聞こえると同時に、鎧は音を立ててガシャーンとその場に崩れた。


『……お疲れ様です。管理番号1番……そして、お見事でした』


 ライナが少し驚いた感じでそう言う。


「え……あ、ああ……どうも」


 なんだか……ドッと疲れた。でも……今まで一番達成感のある点検行為だ。


 俺はそう思いながら、そのまま床にうつ伏せに倒れて、目をつぶったのだった。

管理番号19番:点検報告

危険度:軽度(現在は完全に無力化)

理由:管理番号19番と管理番号1番の接触は、傍から見るとまるで「師匠と弟子」のような光景であった。

 管理番号1番に関しては、その後の調査で「強くなった気がする」という供述をしている。

 なお、実際に管理番号1番が強くなったかの確認行為をしたかったのだが、管理番号1番に倒されて以来、管理番号19番は特性を示さなくなってしまい、現在はただの鎧と剣になっている。今後も危険存在として扱うかは、経過観察の後、管理者の判断により決定する。

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