管理番号19番:騎士の指南 ②
次の日。
「……また、この部屋なの?」
俺は嫌な顔をしながら、管理番号19番の部屋にやってきた。
『ええ、管理番号19番に対する点検行為は続いています。今日も同様の行為をお願いします』
無論……俺に拒否権はない。俺は仕方なく置いてある剣の一本を手に取った。
すると、例の如く鎧が立ち上がった。
「……む? 貴様……昨日死んだはずでは?」
「ははっ……どうも。なんというか……死なない体質なんでね」
俺は適当に笑いながら鎧にそういう。鎧は少し困惑しているようだったが、またしても剣を構える。
「……よろしい。一度の死では諦めぬ其の精神、気に入ったぞ」
「え……いや、俺は命令されて……」
「では……勝負!」
そういって、鎧がまたしても突進してくる。俺は思わず剣を構えてしまった。
鎧は同じように剣を振り下ろしてきた。しかし、今度は不思議だった。
鎧の剣筋が見える……俺は剣を構え、鎧の剣を防ぐことにした。
ガキン、というけたたましい音と共に俺は鎧の剣を防ぐことに成功した。
「ほぉ……少しは上達したというわけか」
「え……いや、これはたまたまで……」
「では……これはどうだ!」
鎧は続けて斬撃を加える。しかし……鎧の剣筋は全部見えるのだ。まるでどこに斬りつけてくるか……それがすべてわかってしまうのである。
「ほぉ……どうやら、ワシはお主のことを見くびっていたようじゃな」
鎧は感心した様子で俺にそういう。そう言われても……俺は特に何かしたわけじゃないんだけど……どうなっているんだろうか?
「どれ、今度はお主が攻撃してこい。どこからでもかかってくるが良い」
「え……で、でも……」
「いいから、来い」
そう言われて俺は少しためらったが……鎧の言葉の強制力は強かった。
俺はそのまま剣を構え、鎧に向かって剣を振り上げた。
「……遅い!」
そういって、鎧は一瞬にして俺の前から消え失せた。
次の瞬間、俺の胸に鋭い痛みが走る。
「……ガハッ」
口から鮮血が飛び散る……見ると、鎧の剣が胸に突き刺さっていた。
「ふむ……攻撃は、まだのようじゃな」
そういって、鎧は剣を引き抜く。それと同時に俺は床に倒れ……またしても絶命してしまったのだった。




