管理番号17番:悪辣な魔力源 ④
俺は以前、禁忌倉庫の前に出た時のことをなんとか思い出しながら、禁忌倉庫の外につながら通路を歩いていた。
それにしても……一体どうしてこんなことになっていうのだろう。
ライナは一体どうしてしまったのか……そして、一体何をしようとしているのか……
わからないままに、俺は道を進んでいく。
そして、しばらく歩くと……いよいよ禁忌倉庫の出口のようなものが見えてきた。
「……よし。女神様……いいですか?」
俺がそういうと管理番号14番……女神様は勿論だという感じで大きく頷いた。
「大丈夫よ。この女神様に任せなさい!」
さも得意気に、女神様はそう言った。俺はなんとなくだが……少し安心できたような気がした。
そして、そのまま俺と女神様は……外に出た。
ライナの姿は……ない。さすがにまだ禁忌倉庫の直ぐ側にいるということはないようだった。
だとすると、一体どこへ……
「信者1号。あの魔女がどこにいるか知りたいの?」
女神様がなぜか不思議そうに尋ねてきた。俺は小さく頷く。
「うん……そうね。まだ遠くには行っていないわ。あっちの方よ」
そういって女神様が歩きだす。
「え……わかるんですか?」
「う~ん…なんとなくだけど……間違ってはいないと思うわ!」
全く信用できなかったが……今は女神様くらいしか頼りがいない。俺は仕方なく、女神様が言うことを信じることにした。
そして、俺と女神様は女神様がこちらと言う方向に進んでいく。森の中……奥へ奥へ進んでいく。前回ライナと一緒に来たときよりも大分奥の方ヘ進んできてしまっていた。
「……本当に、こっちなんですか?」
俺が流石に不安になってきてそう言うと女神様は少し怒り気味に俺のことを見る。
「何? 私の言うことが信じられないっていうの!?」
「あ……いや、そういうわけじゃ……あ!」
俺はその先に見るものを確認すると同時に俺は女神様を無理矢理引っ張って、木の陰に隠れた。
「な……何するのよ!」
「いいから……あれ、見てください」
俺はそう言って前方を指差す。と、そこには、黒いローブを来た女性が本を持ってなぜか立ち止まっている。
「あれって……」
「……ライナだ」
俺は今一度女神様の方を見る。
「……女神様。これからライナの方に俺は向かっていく。もし、ライナが何か魔法を使ったら……俺を護ってくれませんか?」
俺がそう言うと、女神様は最初は理解してないようだったが、すぐに得意気に大きく頷いた。
「ふっ……仕方ないわね。可愛い信者1号の言うことですもの。聞いてあげないこともないわ!」
嬉しそうにそう言う女神様。本当に護ってくれるのか少し心配だったが……そこは、女神様を信じるしか無いようだった。
「じゃあ……頼みますよ!」
俺はそう言って、一気に木の陰から飛び出した。
「ライナ!」
そうして、俺は大声でライナの名前を呼んだ。ライナはこちらに振り返って、不思議そうな顔をする。
「……ああ、アレン。どうして、ここに?」
「ライナこそ……一体どういうつもりなんだ?」
俺がそう訊ねると、ライナは目を丸くした後で、俺のことを見る。
「……どういうつもり……ですか。簡単です。やめたくなったんです。仕事を」
「……は?」
俺があっけにとられているのも構わずに、ライナは先を続ける。
「言ったとおりです。やめようと思ったんですよ。この仕事を」
そういってライナは嬉しそうに笑顔でそう言ったのだった。




