管理番号17番:悪辣な魔力源 ③
「おお、アレン。来たか」
扉を開けると、管理番号8番は俺が来ることをわかっていたようで、嬉しそうに微笑んでいた。
「管理番号8番、実は……」
「うむ。知っておる。あの魔女は今外じゃ」
「え……外って……」
外……それじゃあ、何か? ライナはまさか……
「管理番号17番。簡易名称『悪辣な魔力源』……ワシも聞いたことあったが、危ない代物じゃのぉ」
「……あれは、一体何なんだ?」
俺がそう尋ねると、管理番号17番を腕を組んで難しそうに唸る。
「そうじゃのぉ……簡単に言えば、いたずら好きな子供みたいなものでなぁ。あれに触れた魔術師がやってはいけないと思うことをやらせる……そんな代物じゃ」
「……そうか。管理者のライナが扉を全部開けていたのは……」
「うむ。あの魔女にとってワシらを管理している部屋の扉を開ける……一番やってはいけないと感じていたことじゃからなぁ。まだこの施設の直ぐ側におる。早く行ってやったほうが良いのではないか?」
「近く……よし!」
俺はそれを聞いてそのまま管理番号8番の部屋を飛び出した。
「ああ、おい。待つんじゃ」
と、俺がそのまま行こうとした時、管理番号8番の声が聞こえてきた。
「え……何?」
「女神様、連れて行かんのか?」
管理番号8番はそう言って、女神様の方を見る。女神様は完全に状況を理解できていないようで、ポカーンとしている。
「え……でも……」
「言ったじゃろう。あの魔女は今、やってはいけないことをなんでもする状態じゃ。アレン。お主は、あの魔女が仮に攻撃してきた時、反撃できるのか?」
管理番号8番は真剣な顔でそう言う。言われてみれば……俺は女神様の方に近づいていく。
「……女神様、その……俺に協力してもらってもいいですか?」
俺がそう言うとポカーンとしていた女神様だが、俺に頼られている事は理解できたのか、得意げな顔で俺を見る。
「……ふ、ふふっ……仕方ないわねぇ! 信者1号のお願いですもの。女神の私が聞き入れてあげましょう!」
嬉しそうに、得意気にそういう女神様。たぶん何もわかっていないと思うが……むしろ、好都合だった。
「じゃあ、今度こそ、行ってくる」
「うむ。上手くやるんじゃぞ、アレン」
そう言って、俺と女神様は管理番号8番の部屋を出た。
しかし……やはり、管理番号8番はなんで、ライナのこと、そして、管理番号17番のことを知っているのだろう。
そのことについても気になったが……とにかく俺は急いで禁忌倉庫の外へ……ライナの後を追ったのだった。




