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禁忌倉庫の管理記録  作者: 松戸京
管理番号11~20
36/80

管理番号16番:死地 ②

 それからどれくらい眠っていたのだろうか。


 よくわからないままに俺は目を覚ました。


「……ここは?」


 なんだか風が吹いているように思える……ここは屋内だったはずだが。


 俺はゆっくりと目を開ける。


「……え?」


 俺は思わず驚いてしまった。視界に移ったのは……荒れ地だった。


「ここって……」


 すぐに理解できた。あの絵画……管理番号16番と同じ風景だ。


 風が吹きすさぶ荒野……何もない寂しい土地。


「え……おいおい。これってどうなって……」


『聞こえますか? 管理番号1番』


 と、耳から聞き覚えのある声が聞こえてきた。ライナの声だ。


「ライナ……俺……どこにいるんだ?」


 俺がそう言うとライナは少し間を開けた後で、ゆっくりと先を続ける。


『……私は今、管理番号16番の部屋にいるのですが……アナタが描かれています』


「……は? 何に?」


『管理番号16番の中に、です』


 ライナにそう言われても理解できなかった。管理番号16番の中に描かれているって……一体どういう意味だ?


「え……ど、どういうこと?」


『……言いにくいのですが、私が管理番号16番の部屋に入った時、アナタは睡眠中でした。そして、今もそうです』


「え……でも、俺は今こうしてライナと喋って……」


『はい。それが問題なのです。睡眠しているアナタは私と喋れるはずがない……では、なぜ今こうして私と話しているのです?』


 俺は答えに困ってしまった。それはつまり……


「……俺の意識だけが……身体と分離しているってこと?」


 俺がそう言うとライナは無言のままだった。


『先程からいかに強く衝撃を与えてもアナタは起きません。これはそのことの証明になるかと』


「え……ちょっと待って。じゃあ、俺の意識は今どこにいるんだ?」


 俺はそう言って今一度荒廃した土地を見回す。なんとなくだが……俺にも答えは理解できていた。


『……今、アナタが眠ってから管理番号16番に一つの変化が起きました』


「え……変化って?」


『管理番号16番は荒廃した土地の絵で、人物や動物は一切描かれていなかったですよね?』


「あ……ああ……それがどうかしたのか?」


『アナタが睡眠をとってから……管理番号16番の中に、新たにアナタそっくりの人物が書き足されているのです』


 そう言われて……俺は恐怖し、理解した。


「もしかして、俺が今いる場所って……」


 俺が先を続けようとすると、ライナが先に話を続ける。


『……はい。おそらく、管理番号16番の中……荒廃した土地の絵の中、ということになります』

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