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禁忌倉庫の管理記録  作者: 松戸京
管理番号11~20
24/80

管理番号11番:幼気な少女 ①

管理番号11番・簡易名称:幼気な少女

概要:管理番号11番は、見た目は、10代前半の少女です。

管理番号11番は、肌に痣や切り傷など、多くの外傷を抱えています。

組合では管理番号11番に何度も治療を施していますが、これらの外傷はまったく癒えることがありません。

管理番号11番は性格としては温厚で、接する際には気をつける必要はありません。


補足(管理者のみ閲覧可能資料、文章は改訂済み)

内容:管理番号11番に接する際には気をつける必要はありませんが、長時間の接触は避けて下さい。

管理番号11番と長時間接すると「管理番号11番を保護したい」という気持ちが増大し、どのような手段を以てしても、管理番号11番を守りたいと思うようになります。

管理番号11番はこのことに気付いています。管理番号11番が嫌悪感を示す状況にいる場合は、管理番号11番は積極的に自身を保護することを求め、この特異性が顕著に発揮される可能性があります。

管理番号11番への保護行為を中止しない場合は、管理番号1番への実力行使も選択して下さい。

なお、管理者は管理番号11番を「10代の少女」と認識することは避けるようにして下さい。管理者が直接、管理番号11番と会話を行うことは避けて下さい。

万が一、管理番号11番と対峙する際は「汝の刑は極めて重く、死でも償うことはできない」と即座に宣言して下さい。

「では、今日はこの部屋です」


 ライナは俺をつれて、鉄製の扉の前までやってきた。


 なんとなくだが……ライナが一緒に来るってことは、それとなく不味い危険存在なんだろうな、と理解できた。


「えっと……今日は命の危険とかは?」


 俺がそう言うとライナは少し困った顔をした後で、俺の方を見る。


「そうですね……命の危険という点では、管理番号1番、アナタよりも……私の方、ですかね」


 ……なんだか、妙にひっかかる言い方だった。


 俺ではなく……ライナの方が危険? 一体どういうことだろうか?


「ああ、無論、管理番号1番。アナタも危険ではないとは言い切れませんよ」


「え、えぇ……いや、まぁ、なんとなくわかってたけど……」


 俺はそう言いながら呆れめた。大方……ロクなことにはならないのだ、と。


「……まぁ、いいや。とにかく行ってくるわ」


 俺がそう言うと鉄製の扉が開く。俺はそのまま部屋の中に入っていった。


「……は?」


 俺は部屋に入った瞬間、目を丸くしてしまった。


「ひっく……ぐすっ……」


 部屋の中にはか細い泣き声が響く。


 部屋の中にいたのは……どう見ても危険存在ではなかった。


「え……ライナ……あれって……」


『管理番号1番。管理番号11番を確認しましたか?』


「ま、まぁ……でも……どう見ても……」


 すると、部屋の真ん中にいた「それ」が俺の方に顔を向けてきた。


「ひっ」


 「それ」は小さく悲鳴を上げて部屋の隅に走って逃げていく。


「え……えぇ……」


 俺はゆっくりと逃げていった「それ」の方に向かっていく。


 「それ」は完全に怯えて切ってしまっているようで……俺が近づくにつれて小さく身体を縮ませてしまっている。


「ライナ……本当に、これが危険存在なの?」


 俺は目の前の「それ」があまりにも危険存在だということを信じられず、思わずライナに訊ねてしまった。


『はい。アナタのその反応でわかります。間違いなくそれは危険存在です』


 俺は思わず呆れてしまった。禁忌倉庫というか……ライナが言っていた魔術師組合とやらはあまりにも酷い組織ではないのか。


「ねぇ……君、大丈夫?」


 俺がそう言うと「それ」……つまり、金髪碧眼の小さな女の子は、怯えた様子で小さく頷いたのだった。

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