管理番号7番:吸血花 ①
管理番号7番・簡易名称:吸血花
概要:管理番号7番は、寄生植物の一種と考えられています。
管理番号7番が放つ花粉、種子を体内に取り組むと、約1日で体内に取り組んだ対象者の身体の一部から芽が出ます。(管理番号7番が枯れている状態であっても、花粉や種子は飛翔しています)
管理番号7番は寄生した対象者の血液を主に養分として育っていきます。管理番号7番に血液を吸われ続けることで、対象者は健康面に問題を抱えるようになり、最終的には死に至ります。(ただし、管理番号7番は対象に寄生している際には花粉や種子を飛翔させることはありません)
これまで組合は、寄生対象の死亡により、管理番号7番の最終段階までの成長を確認できておりません。しかし、組合としては、睡眠と共に死亡と蘇生を繰り返す管理番号1番ならば、管理番号7番に殺されずに最終段階まで管理番号7番を成長させることができると考えられます。
「……草……花、かな?」
管理番号7番の部屋の中にあったのは……枯れてしまった草のような、花のような……とにかく、そんな状態の物体だった。
それは酷く無造作に置かれていて、なんだかゴミにも見えた。
『はい。それが管理番号7番です。管理番号1番。身体に変化はありませんか?』
「え? 変化って……いや、特には。まぁ、部屋が埃っぽいというか……なんか甘い匂いがするって感じかなぁ」
『そうですか。それでは十分ほどそのまま部屋で待機して下さい』
ライナは少し申し訳無さそうな声でそう言う。よくわからなかったが……俺は待つことにした。
特に身体に変化はなかったし、部屋の中にも変化はなかった。
単純に枯れてしまった草花の残骸があるだけ……なんだか随分と拍子抜けだった。
『管理番号1番。もう結構です。そのまま部屋を出て、自身の管理部屋に戻って下さい』
ライナにそう言われたので、俺は部屋に戻ることにした。
それから、ライナからは連絡はなかった。仕方ないので俺はそのまま部屋のベッドに横になっている。
「……なんだか腕がムズムズするな」
俺は腕を掻く。なんだか腕の中で蠢いているような……変な感じだった。
「まぁ……寝れば治るだろう」
実際俺が寝れば俺の身体は健康体になるのだから、特に気にすることはなかった。
結局、最後までライナは俺の部屋にも来なかった。俺はそのまま寝てしまった。
問題は……次の日起こった。
「……ん?」
朝。目覚めると俺は右腕の異変を理解した。
右腕に……何かが生えている。まるで植物の芽のような……
「おはようございます。管理番号1番」
と、俺が驚愕しているとライナが俺の部屋に入ってきた。
「あ……ライナ……」
俺が困惑しているのがわかったらしい。ライナは眉間に皺を寄せて俺を見た。
「……異常ですか?」
「え……あ、ああ……これ」
俺はそう言ってライナに右腕を見せる。ライナはそれを見て目を丸くする。
「なるほど。管理番号7番ですね」
「え……これ? だって、部屋で枯れていたのが管理番号7番なんじゃ……」
「……とにかく、一つわかったことがあります。アナタは眠ると完全な健康体になる。ですから、管理番号7番が仮にアナタの身体に問題を起こす物体だとすれば、アナタの特異性が管理番号7番を排除したはずです。ですが……」
「……俺にとって、有害ではないってこと?」
俺が信じられない気持ちでそう言うと、ライナは小さく首を縦に振った。
「不快感等はありませんか? 管理番号1番」
「いや、そういうのはないけど……腕から芽が出ているのは嫌だなぁ」
俺がそう言うとライナは満足したようで、それから俺から離れていく。
「管理番号7番の成長過程を点検する必要があります。管理番号1番。よろしくお願いします」
それだけ言って、明らかに困惑している俺を残して、ライナは部屋から出ていってしまったのだった。




