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レナ〜金髪ツインの幼馴染み〜

ピンポーン


チャイムが鳴る。

僕は、ぼーっとしている頭を、なんとか回して玄関へと向かった。


ガチャ


ドアを開けた途端に11月の寒い空気が流れ込んでくる。


「ゴホッ……どちら様ですかぁ?」

「私よ。入るわね」


客人は僕の返事も待たずに、さっさと家に入ってしまう。

金のツインテールがやけに似合うこの客人は、幼馴染のレナだ。

レナとは小さい頃から一緒に遊んだ仲で、小学校の頃は6年間ずっと同じクラスだった。

でも、中学に入ってから、一緒にいることはほとんど無くなった。

クラスが離れたのもあるだろう。

それに、女の子が、いつまでも男の子と一緒というわけにもいかないのは、その頃の僕にはわかっていた。

けれど、やっぱりちょっと寂しかったのを覚えてる。

それでも、何故かレナとは学校でちょくちょく顔を合わせる。

僕がF組でレナはA組だから、普通はあまり会わないと思うんだけど……。

もしかしたら、ダメダメな僕を、幼馴染のよしみで気にしてくれてるんだろうか?


「お台所借りるわよ」

「う、うん。それは良いけど……ゴホッ」


レナが台所で何やらガタガタとやっている。

勝手知ったるなんとやらって奴で、レナは僕の家の事は大抵わかっているから心配はない。

因みに、レナは料理上手だ。

と、いうか、レナは万能少女だ。

料理だけじゃなく、勉強、スポーツ、はては編み物まで。

しかも、どれも他の人に教える程の腕前だから凄い。

レナの凄いところはまだまだある。

顔はハーフなのもあってか綺麗に整っていて、とっても美人だし。

学校では生徒会長までやっている。

それに比べて僕は、料理もダメ、勉強もスポーツもダメ。

まぁ、編み物だけはレナよりも得意なんだけど。

そんなのは何の役にも立たないのは充分わかってる。

顔は悪いとはいわないけど、良いとはとても言えないし。

生徒会どころか委員会にすら入っていない。

因みに、身長もレナの方がちょっとだけ高い。

丁度中学に入った辺りで抜かれてしまった。


「ちょっと、お塩が切れかかってるじゃない」

「あ、うん、ゴホッゴホッ…そ、そろそろ買わなきゃって思ってたんだけど……」


うちは今両親がそろって海外に行ってしまっているので、そういう買い物も自分でしなくてはいけない。

両親ともに外資系の企業で働いているので、こういう事はよくある。

でも、あまり家事が得意じゃない僕は、結構こういうミスをすることが多いんだけどね。

あれ?レナが台所から出てきた。

レナは僕用のエプロンをつけていた。

レナがつけると、僕のだと思えないほど印象が変わるから不思議だ。


「あんた風邪ひいて学校休んだんでしょ?上で寝てなさいよ!」

「あ、うん……でも、ゴホッ…わ、わかったよ!わかったからそんな睨まないで……ゴホッ」


僕はなんだかやけに怒っているレナに逆らわずに、上で――上には僕のベッドがある――休むことにした。

な、なんで風邪で学校休んだの知ってたんだろ?

僕はそんな事を考えながら階段を上って行った。


コンコンッ


僕の部屋のドアがノックされたのはそれから少ししてからだった。


「あ、どうぞ……ゴホッ」


ガチャ


「は、入るわよ?」


レナは何故かちょっと緊張しているように見えた。

なんでだろ?


「あ、良い匂い」

「お、おじや。これなら食べれるでしょ?」


僕は上半身を起こして、レナが蓋を開けてくれた器を覗いてみた。

茶色の雑炊がホクホクと湯気を上げている。

ん、おいしそ。

レナは僕のベッドの横に座ると、おもむろにレンゲで雑炊を掬い、緊張した面持ちでそれを差し出してきた。


「ふぅ、ふぅ……は、はい。あ、あーん……」

「え、や、あの、一人で食べれるんだけど……ゴホッ」

「あ、わ、わかってるわよっ!ちょっとからかっただけじゃない!」


僕はちょっと顔を赤らめて断ったんだけど、レナの顔はもっと真っ赤だった。

なんとなく気まずくて、僕は黙っておじやを食べることにした。


チラッ、チラッ


ん?なにか視線を感じる……。

僕がレナの方を向くと、一瞬目があったんだけど慌てて逸らされた。

な、なんだろ……あっ


「あ、お、美味しいよ……?」


レナはその言葉を聞いて安心したのか、ほっと息を漏らしていた。

でも僕の視線に気づいた途端にソッポを向いてしまう。


「そ、そんなの当たり前でしょ。わ、私が作ったんだから……」

「そうだね、レナは昔から料理上手だもんね」

「そ、そうよ。だから私のことは気にしないで、さっさと食べないさいっ」

「う、うん」


僕はありがたくおじやを頂くことにした。

それから暫く、部屋には僕がおじやを食べる音だけが聞こえた。


僕がおじやを食べ終わるあたりで、レナが急に立ち上がって下に降りていった。

僕は不思議に思いながら最後の一口をパクッと口に入れた。

レナが戻ってくるまでには、さほど時間はかからなかった。

入ってきて、開けっ放しでいったドアを閉めたレナが持っていたのはプリンだった。

しかも、明らかに手作り。


「えっと、それは?」

「か、勘違いしないでよね!た、たまたま実習で余ったのを持ってただけなんだからっ」


レナはラップを外し、プラスチックのスプーンを添えて、ぶっきらぼうに差し出してきた。

実習では普通、一人一個しか作らないのは、突っ込まない方が良さそうだ。

僕は苦笑を浮かべて、素直にカップを受け取った。

プリンはとても美味しかった。


「ご馳走様でした」


全部食べ終わって手を合わせた。

レナはさっさと食器をまとめて下に降りていってしまう。

下で水が流れる音が聞こえてきた辺りで、携帯がメールの受信を、聞きなれた電子音で知らせてくる。

あれ、誰だろ?

メールを見てみると、クラスの友達からだった。


『う〜っす!カゼ大丈夫かぁ!?\(゜ロ\)(/ロ゜)/ なんか、会長がプリン持ってお前を探してたから、風邪で休みだって伝えて今日の分のプリント渡しといたからな(プリンとプリントを掛けた高尚なギャグ、わかったかなぁ?/笑) 今度、会長のプリンの感想を教えろよな!(  ̄ー ̄)ニヤリ』


あ、それで僕が風邪で休みだってわかったのか。

僕は、その時のレナを想像すると、ついつい顔がニヤケてしまった。

それにしても……プリントを受け取らなきゃいけないってことだよね。

でも、このメールを見せたりしたら怒られる気がするし、そもそも用事はもう済んだみたいだし、すぐに帰っちゃうだろうなぁ……む、難しい。

そんな事を考えているうちに、レナが食器を片づけて戻ってきた。


ガチャ


レナは何故かそわそわしながら腰を下した。

あれ?てっきりすぐに帰るのかと思ったんだけど。

まぁ、都合はいいけどね。


「あ、あのさ……ゴホッ、えっと、今日は学校で連絡とか無かった?」

「連絡?と、特にはなかったと思うけど……あ、そういえばプリント預かってたわ!」


レナは慌てて鞄を開けて、中からプリントを探しだした。

その時、鞄の中に、何やら包装紙が見えた。

あれ?プレゼントかな……?

プレゼント……あっ、そういえば!

僕は慌ててカレンダーを見た。


――11月26日――


そうだ、今日は――


「あ、あった。はい、これ。……?」


プリントを見つけて差し出したレナは、ベッドの奥でゴソゴソやってる僕を見て不思議そうに首を傾げた。

さて、僕は何をやっているのかというと……あ、あった。

今日学校で渡そうとおもって鞄に入れてたんだった。

僕は目的の物を取り出して、プリントを受け取ってから、改めて差し出した。


「はい。レナ、お誕生日おめでとう!」


そう、今日はレナの誕生日だ。

それでレナの様子がちょっとおかしかったのか。

なんか怒ってたり、緊張してたり、そわそわしてたり……。


「あ、ありがと。そ、そう言えば今日だったわね。すっかり忘れてたわ」


なんて、レナは平然を装って受け取ったけど。

他の人から貰ったプレゼントの包装紙、見えてたよとは言わないでおこう。


「あ、開けても良い?」

「うん、どうぞ。」


レナが、昨日の夜、僕が自分で包装したプレゼントを丁寧に開いていく。

中から出てきたのはピンクの毛糸で編んだ手袋。

僕の唯一の特技の編み物。

今回のは我ながら、中々上手くいったと思う。


「ぴ、ピンクって、子供っぽいわね」

「あ、あれ。ピンク好きじゃなかった?」

「ち、小さい頃とは違うのよ!」


レナはピンク好きだったと思ったんだけど。

どうやら気にいらなかったみたい。


「ご、ごめん。ゴホッ……い、いらなかったら置いていっていいよ。母さんにでもあげるから……」


僕はしょんぼりとしてそういった。


「そ、そんな失礼な事するわけないじゃない!せっかく作ってくれたんだから、い、一応貰っておくわよっ」


レナはそう言って、ちょっと乱暴に手袋を鞄にしまった。


「え、で、でも――」

「い、いいのよ!……そ、それじゃあ帰るわ。……その、一応お礼は言っとくわね。……あ、ありがと…」


レナはボソボソとそんな事を呟くと、バッと立ち上がってドタバタと部屋を出ていってしまった。

下で玄関のドアが閉まる音がする。

僕は溜息をついてから、外を覗いてみる。


「はぁ……プレゼント、喜んでくれなかったなぁ……ゴホッ、あれ?」


レナがうちの玄関の前で鞄をゴソゴソとやっていた。

家はすぐ隣りなんだから、探し物なら家でやればいいのに、なんて思っていた……。

レナがさっきの手袋を出すまでは。

レナは手袋を嵌めて、嬉しそうに手を見ていた。

そして、はっと二階を見たレナと目が合ってしまう。

ポンッと音が聞こえそうなくらい、一瞬で顔を紅葉色に染めたレナ。

慌てて手を隠すようにしながら、レナはお隣へと駆け込んでいった。


僕はそんなレナの様子を見ながらクスクスと笑って。

クリスマスはマフラーにしようかな、なんて、計画を立てていた。

ん〜……今回はツンが弱かった、かな?

なんて思っているひるこです^^


いかがでしたか?

私が衝動に駆られて書いたツンデレ娘はwww



今後もupを継続していけるよう頑張りますので、宜しくお願いします!

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