63 前夜祭
名前考えなきゃ……2人分
演説が始まる。話し手はピエールさん。演説と言ってもそう大層なものではないが。そしてでっかい斧を担いでいる。鎧も着てる。戦闘モードのピエールさんは初めて見る。実際の戦いはもっとすごいのだろう。
周りを良く見るとコーシーさん、ロウバァさんブレーズさんもいる。こんな戦力で何と戦うのだろう……。
「よーし、お前ら!準備はできてるかー!!!今年も恒例の魔物襲来の時期だ。作戦はいつも通り!暴れまわれ。後ろに逃しても少しくらいなら騎士団様が始末してくれる。が、しかし昨年は左翼、右翼ともに1体のみだ。成長を見せつけろ。再集合は2時間後、城門前にだ。以上!今年初参加の者は指示を出す。近くの受付で聞け」
そう大声で叫ぶとこっちに戻ってきた。他の冒険者達も皆大きな声で何かを言っている。気合を入れているのだろう。
「ピエールさんも参加するんですか?」
「いや、俺は後ろで待機だな。一応総大将ってことになってるから」
「総大将がギルドマスターじゃないんですか?」
「いや、あの人は引きこもってるよ。それに俺なんかより強いやつが何人も参加するからな。そういえばシンは何をやるか知ってるのか?」
「あ、そういえば作戦ってなんですか?僕は何をすればいいんですかね?」
「シンは初参加だから簡単に言うと魔物回収だな。魔法鞄は宿において来い。1人2つ配られるからな。失くしたらかなりでかい罰金があるから気をつけろ。作戦ってのは簡単だ。まず近づいてきたら全員で魔法をぶっ放す。あとは乱戦。前衛が突っ込め。疲れたら戻れって感じだな」
「……そんなんでいいんですか?」
「向こうも考えなしで突っ込んでくるから問題ないんだよ」
「そうですか……でも、なんで毎年来るんですか」
「さぁな。昔、まだ規則に気付いて無いころは何度も撃退できなかったみたいだが畑とかを散々荒らすと帰って行ったらしいぞ。ロックシープとかもまったくいなくなったそうだ」
(なるほど、冬眠の準備みたいなものだろうか)
適当に納得した俺は魔法鞄を貰い宿に戻る。貰った魔法鞄を両肩に掛け、一応指輪をはめて門に向かう。今回の役割上手は開けておきたいのでラケットは鞄に入れておく。
城門の外に出ると先ほどギルドに集まっていた冒険者の数よりも多くの冒険者がいる。それにロピタルさんやソフィーさん達ももう待機してるようだ。
俺がやることは簡単。魔法をぶっ放して前衛たちが前線を押し上げるの見る。それと同時に残骸の回収して下がる。前衛もが下がってくる前に戻る。近づいてくる魔物たちはまた魔法の弾幕によって援護してくれるらしい。もし抜けてきた場合は自分で何とかしろとのことだ。俺はその時は逃げようと思う。今回は見て学ぶに限る。
時間が来た。魔物も目視できるぐらいまで近づいてきた。先方はウルフたちのようだ。上位種が少し専攻してる。
(これは作戦じゃないな……。ただ単に突っ込んできてるだけだ。どこぞのキリギリスを殺してしまおうと言っている大名さんの作戦を使えば前衛とかいらないんじゃないか……?ってか弓矢使うやつって全くいないんだな……)
そう思っていると魔法が着弾する。後ろの魔物たちはほぼ壊滅状態だがまだ走ってきている。上位種たちはほぼ無傷だ。と、思ったらその上位種たちもその数秒後に消し飛んだ。少なくとも俺の目にはそう見えた。その雷撃を生み出したのはロウバァさんとコーシーさん。ロウバァさんは2体。コーシーさんは5体を仕留めていた。
心なしかロウバァさんはうれしそうに見える。ああ見えて戦闘狂なのだろうか。
魔法が止むと前衛の戦士たちが走り出す。武器は斧、槍、剣など様々だ。さすがに大盾はいない。
戦闘を走るのはブレーズさん。相変わらず俺の知り合った人達は高性能ばかりだ。俺は前衛集団についていく。一緒に仕事をするであろう人たちを見ると本当に初参加か疑うようなムキムキの人もいる。オリバーさんも見つけた。
(冒険者ではないと思うけど……。まぁロウバァさんも参戦してるしいいか)
そんなことを考えているうちに足元に魔物たちの死骸が散乱しているエリアにつく。俺たちは黙々と拾い2つの魔法鞄がいっぱいなると自陣へと戻る。前衛の人たちは後続のゴブリン達をほぼ壊滅させると走って戻ってきた。俺たちはその間に城門の横に魔物達を積み上げておく。これを繰り返すのだが俺たち回収係が参加するのはCランクの魔物が出てくるまでだ。
俺はいざという時のためにウォータージェットの魔法を練り、水の衣を羽織りながら作業をしていた。意表を突かれるときは接近されている時か突然の魔法が飛んできたときなのだ。使う魔法は接近用の魔法が良いだろうと思っていた。しかし冒険者たちは魔物を1体も通していない。騎士団も実に暇そうである。
Eランクの魔物達は2陣目でいなくなり見たことのないDランクと思われる魔物にオーガなどのCランク魔物が混ざり始めた頃Cランク冒険者の何組かが前線から離脱を始めた。相手は強くなった分数も少なくなっているから十分数的には足りるのだが、離脱したの冒険者の中には悔しそうな顔をしている人もいる。戦闘参加3年目くらいからは最後まで残ろうと頑張るらしい。アランさんたちはさすがだ。まだ残って戦っている。
俺たちもこの回収が最後になるだろう。そう思いながら魔物を回収していた。鞄がもういっぱいだという時に美佳から声がかかる。既視感を感じた。そう、これは2体目のオーガが現れた時と同じ声だ。
『シン君、上!』
その声に従い上を見ると同時にどこからかも声が上がる。
「飛龍だ!」
やはり戦闘に行くときはこのパターン。他に思いつかないだけですね




