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無力を知っている転生者の日常  作者: ゴミ屋敷
2章 新人冒険者はじめました
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54 でーっかいウサギとおいしいお肉

脳梗塞って怖い……。

(さて突然ですが日本人の皆さん。皆さんが考えるウサギの大きさはどのくらいだろうか。俺?俺が思い浮かべるウサギってのはA4の紙に収まる位の大きさだ。断じて畳一畳にぎりぎり収まる大きさではない)

 現実逃避をしている俺をアランさんが引き戻す。


「あれがホーンラビットだ。臭みを少なくした鶏肉って感じでうまいぞ」

「で、でかいですね……」

「そうだな。ウルフと同じ位だが重量はすごいぞ。近づくと飛び掛かってくるから角と、あとは乗られないように気をつけな」


……そうなのだ。今、俺の目の前にいるウサギはただでかいだけでなく角がついている。リスやネズミを思わせる前歯もついている。これでこちらを見つけ次第攻撃してくるタイプだったらかなり危険だと思う。

(さて、もう俺が戦うことになってるけど……あいつ一撃で殺せるのかな……。首も脂肪が多いから狙うなら頭だろうな……。でも角があるし……)


「えっと試したいことあるんですが良いですか?」

「おう、なんでもやってみろ。だが、危険そうだったら止めるからな」


 やはり先輩冒険者がいるというのは安心できる。

 俺は草陰に隠れてでかウサギを見る。こちらには気付いていないようだ。

(危なくなったら止めてくれるって言ってたし頑張ってみますか。こっちに気付いたらどうなるんだろう。日本の野ウサギは逃げてくれるんだけどなぁ。きっと攻撃してくるんだろうな。近づくことにならないことを祈ろう)


純水球(ピュアボール)


 大き目のバランスボールくらいの大きさをイメージして唱える。

 素早く動かしてウサギに当てるのではなく形を崩さないように頭部を包む。少し経つと苦しくなったのか動くがそれに合わせて球も動かす。

(よかった、呼吸はしているみたいだ。まぁあとは魔力の消費量が予想外の増え方をして切れないことを願おう)

 少しずつ消費量が上がるが気にしない。

 ……2分半くらい経っただろうか。ウサギが動かなくなった。後ろで見ていたアランさんが聞いてくる。


「おい……。あれ、死んだのか?」

「いえ、気絶しただけだと思います。急いで手足を縛ります」


 そういって俺はリュックから雑貨屋で買ったロープを取り出してウサギに近づく。


「おい、気をつけろよ?」

「はい」


 俺はウサギの両足を念入りに何重にも縛ると魔法を維持を解く。

 そして首の動脈があると思われるところを切る。血が噴き出るのでまだ心臓は動いているのだろう。

(でも……ウルフ解体して分かったけど魔物って心臓の代わりに魔石があるんだよな……。他の臓器はそのままなのになんでなんだろう)

 そんなことを思いながら俺は思いっきりウサギの巨体を持ち上げ頭から落とす。ちょっとプロレス技みたいだ。そして角が地面に刺さるとそのまま足を上げ逆さ釣り状態にする。


「おい……それに意味はあるのか?首を切り落としちゃいけないのか?」

「これも一応やってみたいことの一環です」

「そうか……。俺にはわけが分からないが何か意味があるんだろうな」

『血抜きってこんな感じでいいのかな?』

『んー血がいっぱい出てるし大丈夫じゃないかな?工場ではすべて機械でやってたから分からないけど』


 しばらく待つと血が出なくなる。


「これで完了です。多分死にました」

「そうか、じゃぁ魔石をとって戻るか」


 俺はナイフで背中を切り魔石を取り出すとウサギをリュックに入れる。こんなデカい肉塊も簡単に入って重さも変わらないのだから魔法鞄は偉大だと思う。


「あ、お帰り。思ったより遅かったわね。少し苦戦でもしたの?」


 戻るとエミーさんがそんなことを聞いてきた。


「いや、近づかれもせず倒しちまったよ」

「へぇ。魔法で一撃だったのかしら?」

「まぁ、一撃って言えば一撃と言えるな。そういえばシン、お前全然水出せるじゃねぇか」


 エミーさんの質問で思い出したようにアランさんが聞いてくる。


「あれは飲めない水なんです。飲むと毒になるんですけど、僕はあの水だけ大量に出せるんですよ」


 純水のことは伏せて話す。話しても理解してもらえるか分からないし、変な知識を持っていると思われない方が良いと考えたからだ。

(変な知識は料理だけで十分だ)


「へぇ、体質ってことなのかね。珍しい事もあるんだな。それにしても飲めない水か……」

「じゃぁシン君。とってきたお肉出して」


 アランさんが何かをブツブツつぶやいているがエミーさんはそれを無視して肉よ要求してくる。

 言われたとおりに肉を出すとエミーさんに渡す。それを見たハンナさんが少し興奮している


「わー。ホーンラビットの肉ね。私この肉好きなのよね」

「なんかいつもより血が少ないわね……」


 そんなことを言いながらも二人は既に解体作業に取り掛かっていた。

 メニューは昼と同じだが夜のスープには野菜を入れているようだ。約1時間後完成したスープよよそってもらった。


「「「え?」」」


 一口食べると3人が驚きの声を上げた。


「どうかしましたか?」

「どういうことだ。肉の臭みがほとんどなくなってる」

「おいしいー。お兄ちゃん。シン君は何をしたの?」


 3人から問い詰められた俺はこのあと丁寧に10分位掛けて合っているかも分からない血抜きの意味と方法を説明するのだった。

ちょっとリアルがばたばたしてるん。

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