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無力を知っている転生者の日常  作者: ゴミ屋敷
2章 新人冒険者はじめました
53/72

53 食は大事

寝るところまで書くはずだったのに・・・

 俺はハンナさんに言われるがまま水球(ウォーターボール)と唱え、鍋に水を入れる。そしてその後に文句を言う。当然だ。魔力の半分以上が消し飛んだのだから。


「このために僕に魔法使うの禁じたんですか?水魔法ならハンナさんだって使えるじゃないですかぁ」

「私の魔力じゃこんなに出せないよー。それにシン君、平気そうな顔してるし」

「相当魔力使いましたよ。もう1回は出せないくらいには」

「そうなの?なんかシン君はたくさん使っても大丈夫なんだと思ってた。ごめんなさいね」


 エミーさんにそう素直に謝られると俺は何も言い返せない。仕方ないのであきらめて女性陣がご飯を作っているのをおとなしく見ることにする。

 鞄から色々と出してきたハンナさんが鍋に投入していく。どうやら調味料のようだ。

(俺も街に戻ったら色々買っておこう……)

 鍋の周りで炙っているウルフの足の肉もいい感じに焼き色がついてきた頃ハンナさんが肉がたっぷり入ったスープをよそってくれた。スープではない方の肉を一口食べると美佳が質問をしてきた。


『どう?オオカミの肉とか食べたことないから想像でしかないんだけど、筋とかないの?固くない?』

『俺もそう思ってたけど。すげー柔らかい。給食でクリスマスに出たローストチキンみたい。まだ少し臭みは残ってるけど塩だけで十分いける』

『へー。定食屋のオーナーがいってた気がするけど、やっぱり魔石のおかげなのかな?』

『Eランクの魔物でこんなにおいしいとなるとその上はどうなってるんだろうな……』


 俺は美佳と会話をしながらも黙々と食べる。頭で考えるだけで会話が出来るのはこういう時に便利である。


「シン。良い食べっぷりじゃないか。うまいか?」

「はい。ウルフの肉がこんなにおいしいとは思いませんでした。牛や鳥、豚の肉よりもおいしいと思います」

「そうだろうな。家畜の肉に比べて臭みが少ないだろ?多少だが家畜の肉より価値が高いぞ」

「なんで多少なんですか?これだけ違えば価格にもそれなりに出そうな気がしますが……」

「豚は田んぼ、鳥は卵、牛は乳といったように肉を食べるようじゃないから売られることがそもそも少ないんだよ。たまに食べたくなるやつがいるから価値が低くても高く売られるわけだ」

「なるほど。価値と値段が違うと……僕は魔物の肉で十分です」

「俺もだよ」


 昼食を食べ終えた俺たちはまた南に向かって歩く。


『そういえば、なんでさっきの水出すときに純水だっけ?そっちを使わなかったの?』

『あー聞いた話だから詳しくは知らないんだけどな。純水って体に悪いんだって。あと容器もすぐに駄目になるって言ってたよ』

『へーじゃぁ水には使えないのね』

『うん、不便なことにな』

『そういえば、このままだと夜ご飯の時も水を出す役目になるんじゃない?魔力大丈夫?』

『んー、あと一回なら何とか』

『この先に川が流れてるからそこまでいければ水汲めるんじゃない?』

『ミカはそんなことまでわかるのか。水の精霊が教えてくれるの?』

『ううん。さっき上から見てきた』

『なんだ……。ま、とりあえず聞いてみるよ。っとその前にゴブリンだ』



 ゴブリンが現れたので戦闘態勢に入るとアランさんたちは少し下がってくれる。俺を鍛える為だそうだ。気配を探る訓練をしたいと伝えるとサーチで魔物を見つけても言わないでいてくれてる。

 ゴブリンたちを良く見ると一匹だけ棍棒ではなく剣を持っているやつがいる。(どこで拾ったんだろう)

 そんなことを考えながら近づいていくとアランさんが教えてくれる。


「シン、真ん中の剣を持ったやつ、あれが上位種だ。そんなに強さは変わらないが剣を持っているから一撃で致命傷を負う事もある、気をつけろよ」

「はい。名前はゴブリンナイトとかですかね?」


 俺はナイフを構えながら冗談交じりに聞く。


「いや、あいつはゴブリンファイターと読んでるな。ナイトは一回りでかいぞ。あいつはゴブリンが剣を持っただけだと考えてくれ」


 それを聞いて安心した俺はこちらに気付いて近づいてきたゴブリンファイターとやらの頭にナイフを投げる。あとはいつも通りだ。殲滅しまた歩き始める。それから少し歩いたところでさっき聞こうと思ったことを聞いた。


「あの……ハンナさん。もしかして夕食も僕が水を出すのでしょうか……?」

「あ、辛かったら夕食は大丈夫だよー。水には余裕あるし。明日の昼ごろには川につくと思うし。シン君は川、見たことある?」

「あ、はい。あります」


 俺は地球で見た川を思い出しながら言った。


「なんだ、あるんだ。絶対ないと思ったのになー。そっかぁそういえばシンくん街の外から来たんだったね」


 俺は乾いた笑いを返すことしかできなかった。

(しまった。そういえばこっちで見たことなんて一回もないや)

 昼食を終えて3時間くらい歩いた後、休憩になった。今日は全部で7時間くらい歩いた。

 俺とアランさんでテントを組み立てる。組み立てると言っても雨風を凌げるものでロピタルさんたちのような騎士団が使っていたような上等なものではない。その間女性陣はお花を摘みに行ってしまった。

 そして帰ってきたエミーさんとハンナさんから一言。きっと行っている間に話して決めておいたのだろう。


「シン君にはアランさんと一緒に夜ご飯の肉を調達してきて貰います」

「ウルフ以外の肉も食べたいからね」



久しぶりにすんなりかけました。

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