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無力を知っている転生者の日常  作者: ゴミ屋敷
1章 異世界で生活していく為に
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4 でも僕泣かないよ

 外に出るともうすぐ陽が山の向こうに消えそうなところであった。綺麗だな思うが周りの兵士たちは景色など見飽きているのであろう。慣れた手つきで雑談をしながら野営の準備をしている。ふと目に留まった他の兵士や騎士様より少し豪華な鎧を身に着けている女騎士が何かを呟いたかと思うと手から炎が出て小さな櫓の様に組み立てられ木に炎が付く。

(今のが魔法だろうか。一応鑑定させてもらおう)



ソフィー・ロルジュ  人族 32歳


身体能力   C

身体能力適正 B

魔力量    B

適正魔法属性 炎(B) 風(B) 水(A) 

魔法練度 炎 B

     風 B

     水 D


(見事にCとBばっかりだなぁ。とりあえず今の俺が弱いのは理解できた。村では誰も魔法なんて使ってなかったのにやっぱり騎士様は持ってるんだな)

 俺が見ていると騎士様はこちらの視線に気づきこっちに向かって歩いてきた。


「あ、君がシン君ね?私は騎士団第2隊所属一班班長のソフィーよ。そろそろご飯だからこっちで一緒に食べましょう」


 そういい俺の腕を引っ張ってどんどん奥の方へ進んでいく。ある程度進むと他とは違い近くに旗が立っているテントが見えてきた。その入口付近で他の騎士と話しているロピタルさんを見つけるとソフィーさんが声をあげた。


「あなたー、シン君連れてきたわよ」

「ちょ、ここでは隊長と呼べと言っているだろう。何度言ったらわからるんだ」

「あら、ごめんなさいね。隊長さん。それよりご飯にしましょ」


 周りの騎士たちはクスクスと笑っている。


「はぁ、しょうがないな。おい、飯にするぞ。見張りは先に済ませた零班が担当するからそのように各班に伝えろ。あとこっちにも3つ飯を持ってきてくれ」


 話を聞いていた騎士様たちが了解と言って動き始めるのを見送るとロピタルさんは俺とソフィーさんをテントの中に案内入れて座らせた。


「適当にゆっくりしてくれ。明日の夕方には街に着く予定だが何か不自由があったら言ってくれ。できる限り用意する」

「ちょっとした疑問なんですけど、二日もかけて街に戻るってことは結構街とは離れていると思います。記憶が曖昧なのですが助けてもらったときまだ家が燃えてました。おかげで助かりましたが何故そんなに早かったのですか」

「あぁ、お前さんの村の付近はたまに魔物が出るんだよ。見たことないか?まぁ、それで騎士団の第二隊は訓練として討伐しにくるんだ。それで近くまで来たときに火の手が見えたからな急いで駆け付けたわけだ。正直手遅れかと思ったがお前さんは運が良かったぞ」

「そうですか。運が良かったんですね。助けていただいてありがとうございました」

「いや、俺も一人でも助けられてよかったと思ってる。……さて、こんな時なんて言ったらいいのかわからないが……もう大丈夫か?」

「はい、まだ少し痛みますが手当していただけたおかげで問題はないと思います」


 ロピタルさんとソフィーさんは少し困ったような顔をした。


「えっとね、私たちが今心配してるのはね傷もそうなんだけど心の問題なの。その……両親と離ればなれになっちゃたことは理解してる?」

「…………はい。山賊に襲われておそらく父さんも母さんも村長さんも友達もみんな殺さてしまったってことは理解してます。それより僕はこれからのことを……あれ?」


 話しながら涙が流れてることに気付いた。大丈夫だと思っていたが実際に結構心に来ていたみたいだ。そんな俺を様子をみソフィーさんは少し安心したような顔をしていた。


「やっぱり我慢してたのね」


 ちょうどそのとき騎士の一人がご飯を持ってきた。


「お腹も減ってるでしょう。暖かいご飯も届いたからゆっくり食べなさい」

「……おいしいです」


 薄く塩味のきいた雑炊のような食べ物を黙々と食べる。


「ご馳走様でした」

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