23 ドワーフさん。変わったお名前ですね
厨房に来た。用意してもらったのは豚肉……に似た魔物の肉、塩、卵、食パンだ。食器はボール、トレー、スプーン、最後にすりおろし器だ。箸がないのもそうだけど泡だて器がないのも惜しい。作ってもらわないとマヨネーズが……。
後ろでネイピアさんがずっと見ているので少しやりずらいが気にせず続けよう。
『ミカさん、パン粉の作り方を教えてください』
『じゃぁまずパン粉からいうねー』
美佳の言うとおりに作業を進めていく。まずパンをすり下ろす。このまま使ってもいいらしいがフライパンであぶる。パサパサになったところでトレー1に移す。
次に卵をとかす。スプーンで……。
そして肉。胡椒はお高くて使えないので塩を振って叩く叩く叩く。そして小麦粉をまぶす。早く終わったのでここで放置。
「なぁシン、そこまでは俺もやったんだが、どう使うかわからんがそのパンのくずと卵を使うと変わるのか?早く作ってくれ」
「これはパン粉っていいます。しっかりパサパサにしてくださいね。それに今すぐに作ったら皆さんが食べるころには冷めておいしさが半減しちゃいますよ。まだ作らないので仕事に戻ってください作るときに呼びますので」
「む、確かにそうだな。じゃぁ言ってくる。絶対によぶんだぞ?」
ネイピアさんはそういって隣の厨房で調理を始めた。
(呼ぶも何も隣だったらすぐわかるだろうに……。さてまだ昼の鐘も鳴ってないし結構時間があるな。どうするか)
考えていると中学生くらいのときに祖母がよく作ってくれたお菓子を思い出した。
『ミカさんや、ポテトチップスを作ってみたいですがどうでしょうか』
『面白そうね。作ったことある?』
『ないけど。ばぁちゃんが作ってたのを見たことあるよ』
『そう。じゃぁ作ってみましょう。なるべく薄く切ってね。あと、油の温度上げ過ぎると焦げちゃうから気を付けてね』
『サンキュー。失敗しそうだったら行ってくれ』
ジャガイモ切っているとネイピアさんが気付く。
「シンなにしてるんだ?」
「いえ、簡単なものをもう一品作ろうかと思いまして。ご飯って言うよりおやつですけど」
「ジャガイモを薄く切って何に使うんだ?」
「いえ、このままですよ。もう少し仕事しててください」
「わ、わかった。わかったが、気になる」
気になって落ち着かないというネイピアさんを仕事に戻すと暇になった。ローレンツさんを手伝おうとしたが俺が手伝っていた時は休んでいた見習いの人たちが3人増えていて食器も溜まってない。
「すみませんお昼の時間頃までには戻るのでちょっと出てきて良いですか?」
「そうだな。下準備終わったんなら時間までひまだろうしな、気にせずに行ってきな」
(さて、配達以外では行くの初めてだが行ってみますか)
俺は店を出ると向かいにある武器屋、防具屋の間にある道を通って鍛冶屋に入っていく。配達のときは道具屋の裏から行ったが真ん中までが遠くて大変だった。
中に入るとカンカンという音が聞こえる。俺は大声を上げる
「すみませーん!」
そうして5分ぐらいたつと奥から色黒で長い髭を生やしたムキムキの男が現れる。身長は俺よりも大きいが少し小さめだと思う。ドワーフという名前だと自己紹介された。
「なんだ、誰かと思ったら配達の坊主じゃねーか。こんな時間に配達か?」
「いえ、今日は鍛冶の依頼をお願いしたくて……」
「ん?Fランクになったのか?街の外に出るからって武器はまだ早いだろ。欲しいんなら表の武器屋とかにいきな」
そういって奥に戻ろうとしているドワーフさんを何とか止めようと少し声を大きくして話す。
「いえ、武器ではなく料理器具なんです」
「料理器具だと?それこそ雑貨屋でかいな」
「雑貨屋では売ってないんです」
「なに?打ってないとはどういうことだ?」
そこでドワーフさんは止まった。
「あの、唐揚げって食べましたか?最近満腹亭で出してるんですが?」
「あぁ、弟子が上手いって言うもんだから食べにいったわい。確かにうまかったぞ」
「作り方は知ってますが?」
「おう、気になって出店にも見に行ったわ。油だろ?すくうのが大変そうだったな」
「はい、その作業を簡単にする器具なんてす。器具っていうのもはばかれるような簡単なものですけど」
「おし、話してみろ作ってやる。坊主名前はなんていうんだ?」
「ありがとうございます。シンって言います」
「そうか。俺はブレーズだ。覚えとけ」
「え??ドワーフさんじゃ?」
「それは種族だ。馬鹿なこと言ってないでとっとと話せ」
(マジか……。ドワーフってエルフとかと同じで精霊見えるのかな?でもミカに気付いてないしみえないか)
そして、俺は新しい料理器具となるものを2つほど説明した。
「大体わかった。時間はあるか?いますぐ作ってやる」
すこし興奮気味にいうので圧倒される。
「ええ、3時間半までなら大丈夫です。でもほかの仕事はいいんですか」
「気にすんな。どうせいつも遅れるんだ、1日2日問題ねぇ!」
そういうとブレーズさんは奥へと行ってしまった。




