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無力を知っている転生者の日常  作者: ゴミ屋敷
1章 異世界で生活していく為に
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2 ここはどこ私は誰

(背中が痛い……。確か車に跳ねられて死んだと思ってたが、生きているのか。それより暖かいな……。……って熱い熱い)

 俺は飛び起きようとする。が、体が動かない。瞼が重い。記憶も曖昧だ。

(いや、違う。確か朝起きて親の畑仕事をしようとしてたら山賊に襲われて……家の中に逃げる途中に背中を斬られたのか……。あぁ、俺また死ぬのかな。幼いころの美佳が見える。俺を呼んでる。迎えに来てくれたのかな。いまそっちに行くよ)


『真也?真也だよね?起きて!』


 幼き頃の美佳に似ている半透明で浮いている女の子がやはり俺のことを呼んでいる。しかし背中の痛みと熱さで頭が回らない。その時、燃えている家の中に鎧を着た男が突入してきた。


「おい、まだ息があるぞ。包帯と薬草を持ってこい。少年!わかるか?名前は?」

「少年?……名前はシンです」


 そこで俺の記憶はまた途絶えた。






 ズキンズキンと振動に合わせて来る背中の痛みによって目を覚ました。ここはどこだろう。なんかキャンプのテントの中みたいだ。ムキムキのおじさんがこっちを覗いている。


「ここは……」

「お、坊主起きたか。何があったか覚えてるか?」

「確か山賊に襲われて……。父さんと母さんは?村の人は?他の村の人はどうなりましたか?」

「残念だが他に生き残りはいなかった。残念だが両親に関しては諦めた方がいいだろう。あと、倒れてるお前は大事そうにその変なのを握りしめてたから持ってきたがお前のか?」


 おじさんが見せてきたものは見覚えがる。 


「そうですか……。そのリュックは僕のです。わざわざありがとうございます」

「何が入ってるかと勝手に見ようとしたが開かなかった。魔法具か何かなのかね。ところでお前さんの村を襲った奴らのことを何か覚えてるか?」

「とくには。みんな黒ずくめで口を隠していました。そのくらいです」

「そうか辛いこと思い出させて悪かったな。今日中に街には戻れそうにないからそろそろ野営の準備を始める。大した怪我でもなかったが一応だ。夕飯の準備ができるまでお前はゆっくり傷を癒してな」

「ありがとうございます。あの、お名前を教えていただいてもよろしいでしょうか」

「ん?あぁ、俺はジョルダンの街の騎士団、第二隊隊長のロピタル・ロルジュだ」


 そういうとロピタルさんは出て行った。入れ替わりに気を失う前に見た幻覚のミカが泣きながら入ってきた。


『シン君!起きたのね。よかった!会いたかったよー』

「美佳??、何でここに?それにその姿は?」

『えへへ、若いでしょー。今のシン君も若いころの姿そっくりだよー。髪は緑だし眼は碧いけどね。』


 俺は混乱しながらも少しは状況を理解していそうな美佳に話を聞く。


「そうか。正直今の状況が飲み込めてないんだけど、美佳はどの位分かってる?」

『えっとね。私の記憶はシン君が死んじゃってから10年かな。私とシン君が車に惹かれたのは覚えてる?記憶も曖昧だけど私、あのまま植物状態になっちゃってね。幽体離脱みたいな感じでずっと自分の体を見ながら過ごしてたの。10年もだよ!それでね気が付いたらあの燃えてる村にいて小っちゃくなったシン君が怪我して辛そうな声あげてたの。それであの騎士の人が助けてくれた治療してこの馬車に乗せてくれたんだよ』

「そうか。大変だったみたいだな。ごめんな先に死んじゃって。それよりここは地球なのかな。そこらへんもわかってる?」

『うーんとね。シン君が起きるまでに調べられたことをいうね。まず私の姿は今のところシン君以外には見えてないみたい。次にこの星は魔法もあれば魔物っていうのかな、魔力を持った凶暴な動物もいるみたい。だからここは地球じゃないと思っていいと思う。これは多分だけど私とシン君の会話声に出さなくても考えるだけでもできると思う』


 ミカが言い終わったところで馬車がゆっくりと停止した。



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