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無力を知っている転生者の日常  作者: ゴミ屋敷
1章 異世界で生活していく為に
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11 ただのバイトでした……

ローレンツさんにカウンターの一番端にある食器返却コーナーに案内なされた。教えてもらったことは3つ。1つ目は水の確保。ピーク時に足りなくならないように大目に裏手にある井戸から水を汲んでくるそうだ。次は洗い方、まず残飯を少し汚い布で落とす。水の軽く洗う。石鹸で泡立てた布で食器を洗う。水で流す。最後に水滴をきれいな布でふく。最後は食器の置く場所だ。普通は元の位置にしまうが、ピーク時は厨房に置くようにとのことだった。石鹸のようなものがあることに驚いたが食器洗いはどうにかなりそうだ。

 説明を受けて今ある食器を実際に洗っていると時間は11時になろうとしていた。


「シン君結構慣れてるんだな。家で親の手伝いでもしていたのか?」


 前世でやってましたというわけにもいかないのでそんな感じですと答えた。だんだんと食堂が騒がしくなり食器が少し溜まりはじめるとローレンツさんも洗い始めた。

 退屈にだったのか美佳は。


『ちょっと街の中色々とみてくるねえ―』


 っと言ってどこかに行ってしまった。2時間くらいで帰ってきていたらしいのだが俺はまったく気づいてなかった。そこからは会話をすることもなく黙々と食器を洗い始めた。もちろん早く丁寧にだ。午後の鐘が鳴る少し前には慣れてきたのが最初の倍くらいのスピードでできるようになっていた。

 

 午後の鐘が鳴るとネイピアさんがやってきた。


「おーし、そろそろ飯にするか。ローレンツ、ほかの見習いは休みだから今日はお前が賄いを作れ。外の鳥1匹使っていいぞ」

「!!今すぐ準備します」


 ローレンツさんはとても喜んで外に走って行った。俺が何でそんなに喜んでいるんだろうと思ってその姿を見ているとネイピアさんが説明してくれた。


「あいつは見習いの中でも13歳と若い方でな、あんまり賄いを作る機会がないんだ。それに加えて鳥を使っていいといっただろ?見習い連中にとって動物の捌くのは楽しみでもあるんだ。どうだ?皿も溜まってないし見学してみるか?」

「良いんですか?ぜひ見たいです」

「やっと子供っぽい表情をしたな。光景を見てショックを受けるなよ?」


 俺が満面の笑みを浮かべて言うとネイピアさんはそんなことを言った。どうやら初めての仕事ということで緊張していたようだ。そんなことを思いつつ案内されるがまま俺は裏口から外に出た。

 そとに出るとちょうどろーれるんさん鎌で鶏の首を切り落とすところだった。すごい勢いで血が飛び出てるので呆気とにたれているうちにローレンツさんは鳥と手際よくさばいていた。

 胡椒は高級品で使ってはいけないそうだが醤油や油、塩はいいらしく油をひいて醤油で軽く味付けをしていた。一応砂糖も使っていいらしいが値段的には胡椒よりかなり安くほかの調味料よりある程度値が張るということだった。

(塩と砂糖もかなり出回ってるのは意外だな。胡椒と一緒で高いものだとおもってた)

 焼きあがるとフランスパンに似たパンに焼いた肉を投入、何種類かの野菜を入れて赤いソースをかけて完成。一人一つずつ配られた。


「出来たみたいだから手の空いた者から食べてけ。一人2つまでだそうだ」


 ネイピアさんはそういって俺にパンを取ってくれた。すごいお腹も減っていたしおいしそうだったのでかぶりつく。肉には届かなかったけど衝撃が走った。


『すごい。ミカこれケチャップだよ。少し違うけどかなりおいしい』

『むー。食べれないのが残念だなー。食欲がなくてよかった。あったら耐えられないもん』

『精霊になってもミカは食いしん坊なんだな』


 俺が少し笑うとそれは見たネイピアさんが自慢げに話してくれた。

 

「このソースうまいだろ。俺が考えたものだからうちの店にしかないんだぜ。材料が大体わかっちまうからほかの店も真似しているみたいだけどな。まぁこの味が出せるまでまだ時間がかかるだろ。俺も色々試行錯誤したからな」

「すごいですね。トマトのソースですか。とてもおいしいです。特に少し入ってる葉っぱがいい味だしてそうですね」

「お、わかるのか。すごいな。多分うちの料理人たちも気づいてないぞ。まぁただの食堂だから料理人って言えるほど経験も技術もないけどな。おし、とっとと食べて仕事にもどるか」


 そういって笑うネイピアさんをみてこの人はどこかで経験でも積んだのかなと思いつつパンに口をつける。今度は肉まで届いたが食べた瞬間ケチャップで少し隠れてはいるが昨日の夜も感じた臭みが口の中に広がった。言おうかとも思ったがみんなおいしそうに食べているので思いとどまる。


『ミカ、なんか肉に臭みがあるんだけど……種類が違うのかな』

『あー、やっぱり?それ多分血抜きをしてないからだと思うよ。臭みが残っちゃうんだ』

『血抜きかぁ。何でミカはそんなことを知ってるんだ?』

『むしろ何でシン君は覚えてないのよ。中学の時、工場見学で係りの人が説明してくれてたよ』

『いや、そんなこと普通覚えてないから』

『もー昔から好きな物理と体育以外は興味持たないんだからー』

『あはは、ミカがいてくれて助かるよ。冒険者になったて何か狩れたらやり方を教えてくれ』

『了解。でも無茶しないでね。まだ体も子供なんだから。力も足りないんだから。見なさいよオーナーのあの筋肉。料理人ですらあの腕なのよ』

『わかってるよ』


 きっとまた俺が死ぬのが怖いのだろう。置いて行かれるのが怖いのだろう。

 絶対に無茶はしない。美佳を悲しませない。そう決意して夜の鐘がなるまで働いた。

 冒険者とはいえ子供だということと、もう食器は足りるし軽く水で流せば明日の朝でもできるということで今日はもう上がっていいと言われた。

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