1 俺、プロポーズして結婚するんだ。
俺の名前は行方 真也。来月から社会人になる高校3年生だ。明日は卒業式で今日は部活の後輩が企画してくれた送別試合だった。今はその帰り。隣を歩いてる肩にまでかかっているサラサラヘアーの女子は俺の幼馴染の美佳、中学の時から付き合い初めた俺の天使様です。小さい喧嘩はあったが大喧嘩をすることもなく付き合い続けている俺たちを中学からの同級生たちは円満老夫婦と呼んでいるとかいないとか。
「今日の送別試合はすごかったねー。最後くらい負けてあげればいいのにー」
「俺の唯一の取り柄なんだ。いつでも本気でやるさ」
「まじめだねー。会社でもバドミントンはやるの?」
「仕事に余裕ができればやろうとは思ってるよ。なかなかうちの会社のチーム強いらしいし」
「じゃぁ試合のときはまた応援行くね」
「おう、頼んだ。高校はあと一歩のところで全国大会いけなかったけど、いつかもっとうまくなって全国大会行くから期待しててくれ」
などと美佳の家に向かいつついつも通りを装い会話をしながらも俺はこれから行おうとしていることを考えてドキドキしているのを表に出さないようにしながら心ではゆっくりと、実際には少し早いペースで歩いていた。そう俺は社会人になるに当たり美佳に結婚を申し込もうとしていた。
大通りから一本横の道に入ったところにある美佳の家の前につくと話を切り出した。
「ミカ、大事な話があるんだけどいいかな」
「何かな?シンくん」
俺は、スクールバックとして使っているリュックから今日のためにばあちゃんから貰った指輪の入っている箱を取り出そうとしたときザザザという何かが擦れているような音を聞いた。音の方へ振り向くと軽トラが壁に車体を擦り付けながらものすごい勢いでこちらに向かってきていた。
(!?なんでこんな狭い道に車が!?くそこんな時に……横のスペースにぎりぎり入れるか)
俺はとっさに美佳を壁の方へと突き飛ばした。最後に目にしたのは倒れる美佳と夕暮れの少し赤く染まった空と雲だった。
(美佳……。お前だけでも助かっているといいな)
こうして俺、行方真也は18年の生涯に幕を閉じた。