目隠し
わたしは目隠しをして歩いた。
そーっと誰にも気づかれないように歩いた。
だけど慎重に歩く私をたくさんの人が止めた。
お母さんには怒られた。
だけどわたしはやめない。
どうしてそんなことをしているの?
って聞かれる。
わたしは聞いているの。
小さくて大切な声を。
だってね、その声をこぼしてしまったの。
ある日自分に殻に閉じこもってた日に、大切な人が心の病気になったの。
その時私は、その人の声が聞こえなかった。
助けてって声。
だからその声を二度とこぼさないように歩くことにしたの。
あなたは間違っている。
目を開いたままで、真実を見ながら耳を済ましなさい。
現実を見ずに聞こえる声は、あなたを闇に連れて行くでしょう。
誰だかわからないけど、もっともな意見だと思い、私は目隠しをやめた。
外は眩しくって、一面には海が広がって、こんな綺麗なものは見たことがなかった。
わたしはそれを見逃していたのだ。