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十二

 駅前の街路樹が青色LEDで飾りつけられている。ワタルはずっと手にしたままのマフラーを巻いた。

「だって今夜は、この冬一番の冷え込みだから」

 寒さを言い訳にして、もう一度誘ってみる。

 こんなに凍える夜は、ひとりよりふたりでいたい。そのほうが心も体も温かくなる。

 沙樹は腕組みしてしばらく考えている。答えが返るまでわずかな時間なのに、どうしてこんなに緊張するのだろう。

 気をそらそうとワタルは夜空を見上げた。街のネオンに負けないくらい、明るい星がまたたいている。冬の星空は一等星が多く並び、一年で一番にぎやかだ。

 急にパンと手をたたく音がした。ワタルは視線を空から沙樹に移す。

「じゃあ、途中であったかい肉まん買いますね。そうと決まったらコンビニに行きましょう」

「レポート書かなきゃいけないから、お酒はだめだよ」

「わかってますって。途中で寝てしまわないように、コーヒー入れて応援します」

 沙樹はそう言い残すと急に走り出し、近くのコンビニに入る。

「まったく。終電は出たあとなんだよ」

 これ以上走らなくてもいいのに、とつぶやきながら、ワタルは人差し指で頬をかいた。

 見上げる夜空は澄み切っていた。冬だからこそきれいな星たちに会える。

 寒い夜だから、星空が一段と引き立つ。寒い夜だから、人の温もりに気づく。

 そう。寒いからこそ気づける優しいものたちがたくさんある。だからワタルは、冬という季節が一番好きだ。

 息も凍る寒さだけど、暖かい一夜が過ごせそうだ。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

シリーズはまだ続きます。もし気に入っていただけたら、今後もおつきあいしてもらえると嬉しいです。

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