出逢い
初めて会った日はドキドキして眠れなかった。
大して気乗りのしない、後輩からのコンパの誘いの飲み会。
遅れてきて、目の前に座った彼方から目を離せなくなった。
少し茶髪のくせ毛に、笑うと半円になる目。
童顔な顔に生えてる不精ヒゲがアンバランスで、すごく魅力的だった。
その日に、メールアドレスを交換して、別れて。
好きになるまで、そうは時間はかからなかった。
今でも思い出す。あの頃は本当に毎日が楽しかった。
彼からのメールで一喜一憂して。
朝から晩まで、仕事中もずっとずっと、考えるのは彼方の事ばかり。
舌ったらずで可愛らしい口調で話すから、
「可愛い」
って言ったら、
「なんでっ?」
って本気でムスっとする。
ものすごく男気があって長男気質。
でも、どこか繊細な感じで、何かを秘めているようなところがあった。
大好きだったから、もっと知りたいけど聞けない。
大好きだったから、彼の全てを抱きしめたいって思ったけど、
日々、2人で積み上げている何かを壊しちゃいそうな気がして、
いつもどこかで彼に対して踏み出せない自分が居た。
(今夜、22時頃電話していい?)
ってメール。大体、いつも、気遣ってくれて電話もくれてたよね。
会う訳でもないのに、ものすごく、緊張して、ドキドキして時間近くになると
トイレ行くにも、お風呂に入るにも、携帯握りしめて歩いてたから
携帯は汗まみれだったっけ。
「もしかして結婚してた事ある?」
っていきなり聞いた時、電話の向こうで一瞬止まってたよね。
何回目かの電話だったかな。