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■ 第三話 「適性検査」

適性検査です。なかったらこの物語はここで終了(´;ω;`)

 探索者協会本部は、思ったより無機質だった。


 ガラス張りのロビー。

 白い床。

 金属製の受付カウンター。


 武器を背負った男女が、静かに出入りしている。


 派手さはない。

 ただ、張り詰めた空気だけがある。


 自動ドアの前で一瞬だけ立ち止まる。


 引き返せる。

 まだ間に合う。


 だが、足は前に出た。


 扉が開く。

 冷たい空気が頬を撫でた。


「探索者登録ですか?」


 受付の女性が事務的に尋ねる。


「はい」


 台本のない返事だった。


 簡単な身分確認と書類記入。

 芸能界の肩書きは書かなかった。

 ただの神無月 蒼として記す。


「では適性検査へご案内します」


 通されたのは地下フロア。

 小さな部屋に、水晶のような装置が置かれている。


「職業とスキルは個人差があります。危険性も含め、自己責任で活動してください」


 淡々とした説明。

 椅子に座る。


「手を置いてください」


 冷たい感触。

 一瞬、ためらう。


 これで何も出なかったら。

 これで戦えない職だったら。


 それでも、手を置いた。


 淡い光が広がる。

 頭の奥に、何かが流れ込む感覚。


 ——職業:【偽人】

 ——固有スキル:《模倣者(イミテーター)


 文字が浮かび上がる。


「……偽人?」


 聞き慣れない言葉だった。


 続いて情報が流れ込む。


 《見たスキル・動作・技術を理解した上で再現可能》

 《E級相当の劣化コピー》

 《精神負荷:高》


 受付の女性が端末を確認する。


「……珍しいですね」


「強いんですか?」


「条件付きです」


 曖昧な答え。


「基礎身体能力は平均以下です」


 つまり、模倣なしでは弱い。


 でも皮肉だ。

 俺は今まで、演じることで生きてきた。

 役を模倣し、感情を再現し、評価されてきた。


 そして今。

 その偽りが力になる。


「変更はできませんか」


「できません」


 当然だ。

 自分の本質から逃げることはできない。


 《精神負荷:高》の文字がやけに目につく。

 演じ続ければ削れる。壊れる可能性もある。


 それでも。


「登録します」


 即答だった。


「E級探索者、神無月蒼。登録完了です」


 端末に表示される。


 ランク:E

 職業:【偽人】

 固有スキル:《模倣者(イミテーター)


 肩書きが変わった。

 俳優ではない。

 探索者だ。


 ロビーに戻る。

 武器のレンタル案内が目に入る。


 剣。

 盾。

 軽装鎧。


 どれも本物だ。

 命を預ける道具。


 ガラス越しに、自分の姿が映る。

 スーツ姿のままだ。

 場違いだ。


 だが。

 胸の奥は、不思議と静かじゃなかった。


 怖い。

 不安だ。

 でも、わずかに高揚している。


 初めてだ。

 感情が、少しだけ動いた。


 スマートフォンを取り出す。

 配信用アプリを開く。

 アカウント名を入力する欄。


 数秒考える。


 指が動く。


『偽人』


 登録ボタンを押した。

最後までお読みいただきありがとうございます!


【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてくれるとまじで喜びます!


ゴホン、失礼。


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