■ 第一話「偽る人」
一回「俺のスキル【器用貧乏】が【万能】に進化しました。」を消してこちらを始めました。
止めるのではなく、今必死に作り直しています。
世界にダンジョンが現れて三年。
それはもはや災害ではなく、コンテンツになっていた。
「さあ、本日の特集は今話題の新人探索配信者です!」
拍手。歓声。ライト。
俺は笑う。
俳優・神無月 蒼。二十二歳。
俺の仕事は、命を懸ける人間を安全な場所から紹介することだ。
「こちらが実際の配信映像です」
モニターに映る石造りの通路。
荒い息遣い。
暗闇の奥から魔物が飛び出す。
『うわっ、来た! 左、頼む!』
青年が叫ぶ。
仲間が盾を構え、火花が散る。
青年の腕がわずかに震えているのが見えた。
それでも剣を振るい、魔物を斬り伏せる。
『っぶねぇ……』
肩で息をつく。
一瞬、目を閉じる。
それから。
『……はは』
仲間と目が合う。
『やっぱ面白ぇな』
その顔に、嘘はなかった。
スタジオがざわめく。
「すごい迫力ですね!」
「覚悟が違いますよ!」
俺は台本通りに口を開く。
「本当に迫力がありますね」
完璧な声色。
完璧な笑顔。
だが胸の奥が、わずかにざわつく。
あんな顔を、俺は知らない。
ドラマのラストでも。
映画のクライマックスでも。
あそこまで何かを剥き出しにしたことはない。
青年は仲間と肩を叩き合っていた。
生き延びた安堵と、高揚。
全部がそのまま顔に出ている。
羨ましい、と。
その感情だけが、やけに鮮明だった。
番組は盛況のうちに終わる。
「今日も完璧だったよ、蒼」
マネージャーが言う。
俺は笑う。
鏡に映る自分は整っている。
だが目の奥だけが、ひどく静かだった。
夜の街に出る。
ネオンが滲む。
歩道の端に、赤いホオズキが落ちていた。
薄い皮に包まれた、空の実。
俺は立ち止まる。
数秒、見下ろす。
足を上げる。
ぱり、と乾いた音がした。
振り返らない。
ポケットの中でスマートフォンが震える。
事務所からの着信。
画面を見つめ、電源を落とした。
静かな夜だった。
そのまま、俺は歩き出す。
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