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異界に堕とされましたが戻ってきました。復讐は必須です。  作者: nanoky


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13 黄牙長老ダーダム(4)

「紫の族滅って確か八年前の、あの事件ですか?」

「そうだ・・・公式には、大逆罪で族滅と記録されているが、実際は生き神を祀っていたのだ。しかも、通常の生き神は、幼女から選ばれ、初潮を迎えると能力を失うのだが、奴らが祀っていたのは、少年だった」

「女子じゃないのに、生き神の能力があったのですか?」

 ダーダムは高杯から酒を一気にあおった。

「ああ、それもずば抜けていたらしい。男だから初潮なんぞない。清浄なままで保てば、能力が長続きしただろう」

「あの、リーユエンがそうだと・・・?」

「可能性は高いな。わしがあんな真似をしても、平然としておった。存外、肝が据わっている」と、ダーダムは彼の唇を感触を思い出し、舌なめずりし、

「落ちそうで、なかなか落ちないというのが、ますますそそられる」と、つぶやいた。マルバは、父の悪癖がまた出たなと思いながら

「どうして、彼だけをここへ引き止めなかったのです?」と、尋ねた。

「魔獣の扱いが厄介だ。それに、あのカリウラとかいう奴も油断ならん。そのうえ、あの獅子の若い奴、凶悪な面でわしを睨め付けておったぞ・・・おもしろい。それに一番の問題は、リーユエン自身が(あるじ)持ちだと宣言しておったことだ」

「あれは、嘘なのでは?」

 マルバは、女の気配もなく、魔獣以外傍に親しい男がいる様子もないので、彼の言葉を疑っていた。ところが、ダーダムは首を振った。

「いや、嘘ではないだろう。あれが、自ら屈服して、主を代えようとしない限り、生き神として使役させることはできない」

 マルバは、不穏に光る琥珀色の眸を父ダーダムへ向け

「主を()りますか?」と、尋ねた。

「無論だ、主の正体が分かればな。だが、あの隊商の中の者ではあるまい」

「このまま、ソライのもとへ、挨拶へ行かせるおつもりですか」

「仕方あるまい。こちらで監禁したところで、ソライに知られてしまえば、それこそ謀反の罪を着せられかねない。大長老には、誰も逆らえない。おまえが護衛して、あの者たちを間違いなくソライの元へ送り届けるのだ。さあて、あのリーユエンとやらが、ソライに屈服しないでいられるか、なかなかの見ものだな。わしは、長老会へは出席するから、その時に何かおもしろいものが見られるかもしれない。わしのものにならなかった事を、あやつは後悔するかもしれないな」

 ダーダムは、また、高杯から酒をあおった。


 一方、リーユエンは隊商の常宿へ入った。カリウラやハオズィは、宴の一件で神経を使いすぎてぐったりし、早々に部屋へ入って眠ってしまった。リーユエンもひとり部屋で、寝台で横になっていた。アスラが、ずっと引っ付いていると言い張ったが、鬱陶しくなり、面覆いの中へ閉じ込めてしまった。もう真夜中だったが、喉か渇いて、水差しからコップへ水を入れて、飲んでいた。

 

 ダーダムの流し込んだ酒を、吐き戻してしまいたかったが、出血を恐れて、ほとんど飲んでしまった。血を流して構わないのなら、抵抗して逃れたかった。

 玄武の国で、六年前、座主が彼の体の経絡を開いた。その後、座主は、彼を自身の明妃に定めた。座主の瑜伽の相手を務めるうちに、身体的な接触は、大抵の事なら慣れてしまった。だから、ダーダムに不埒な真似をされても、動揺するような事はなかった。ただ、意に染まない相手にいいように扱われるのは、不愉快だった。鬱々とした気分でいると、入り口の辺りに気配を感じた。そっと扉に近づき開けた。そこに立っていたのは、デミトリーだった。

「起きていたのか」と、デミトリーが話しかけてきた。

「私の部屋の前で、何をしていた?」リーユエンは、無表情で尋ねた。

デミトリーが、視線をまっすぐ彼へ向けた。眸が薄明かりの中で、揺らいで見えた。

「いや、ちょっと気になったんだ。長老が、おまえに、あんな真似をしたから・・・」

 リーユエンは、デミトリーから視線を逸らし

「別に、大したことじゃない。酔ってふざけただけだろう」と、熱のない口調で言った。けれど、デミトリーは彼の右手首をそっとつかみ

「あいつはふざけたつもりでも、おまえは大丈夫なのか」と、真剣に尋ねた。

「・・・・・気にしていない」と、彼は熱のない口調で答えた。

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