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異界に堕とされましたが戻ってきました。復讐は必須です。  作者: nanoky


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46 魔道具騒動(8)

 イカリオスは、サンロージアを見据えたまま、

「まったく困った王女様だね。君以外の人たちは、ぼくがやった事にみんな気がついている。君は好奇心が強いから、魔道具は便利だ、夢の道具だとかいって煽れば、気軽に魔道具を使うようになる。使えば使うほど、さらに気軽に使いたくなり、使う頻度は上がっていくと、ぼくは考えたんだ」と、話した。

 サンロージアは、リーユエンの腕をぎゅっとつかんだまま、イカリオスへ、

「あなたは、どうして魔道具の起動に、生命力を使うという事を説明してくれなかったの?リーユエンは、真っ先にその事を説明して、危険だと言わないのはおかしいと言ったわ」と、問い質した。するとイカリオスは、

「そんなの言うわけないだろう。君を弱らせたいと思っていたんだから」と、言いながら肩をすくめた。

 サンロージアは、思いがけない答えを聞き、しばらく呆然とした。そして、

「それって、どういう事?私を弱らせて、あなたに何かいい事があるの?」と、問うた。

 イカリオスは、サンロージアを睨みつけ、

「まだ、分からないのか、本当に鈍感だよ、どうして、小さな頃からの付き合いなのに、分からないんだろうねえ」と、バカにした口調で言った。

 サンロージアはムッとして、

「そんな言い方しなくてもいいでしょう。あなたの方が、賢いのは当たり前だけれど、、私の事をバカにするのはやめてちょうだい」と言い返した。

 イカリオスは、露骨に苛立つ様子を見せ

「君が強すぎるのがいけないんだ。君は太陽のように眩い黄金獅子で、若獅子ともいえないぼくの事なんて、見向きもしなかったじゃないかっ。君は、昔、何かひとつ秀でたところがあれば、お婿さんの資格は十分あるなんて言っていたくせに、ぼくが魔導士学院で優等をとって卒業してきても、見向きもしてくれなかった。その挙句、『お父様を上回り、お兄様を凌駕する者を配偶に選ぶわ』と言ったじゃないかっ。それなら、ぼくはどうしたらいいんだ。ぼくが得意なのは、魔導術だけなんだ。だから、魔道具を使わせて、君の生命力を少し削れば、君は弱くなって、ぼくの事を振り向いてくれるかと思ったんだ」と、叫ぶように訴えた。

 サンロージアは、イカリオスが自分をぎらぎらした目でみつめ、鉄格子を掴んでがたがた揺する様子を、目を見開いて凝視し続けた。目を逸らすことができなかった。 そこには、自分の知らないイカリオスがいた。彼が、ずっと本心を隠して、自分に魔道具を勧め続けてきたことに初めて気がついた。今になってやっと、それが何を目的としたものかを、彼の本心を、理解した。

 他人の恋愛沙汰ならおもしろがって解説する彼女も、自分自身にふりかかった恋愛沙汰には、ただ戸惑い、恐怖すら感じていた。これほど、狂気じみた思いをぶつけられたのは初めてで、ただもう、どうすればいいのか分からず、目から涙が溢れ出した。

「ごめんなさい、ごめんなさい、知らなかったのよ。リオ、あなたがそんなに苦しんでいるなんて、知らなかったのよ。本当にごめんなさい」

 ただ、謝ることしかできなかった。魔導士の掟について、詳しく知らないサンロージアでも、イカリオスの仕出かしたことは、五箇条に違反することで、彼の魔導士としての前途が閉ざされることは理解できたし、その結果を招いたのは、自分の考えなしの行動のせいなのだと理解できていた。もう、彼女には、泣きながら謝ることしかできなかった。けれど、イカリオスを配偶に選ぶことだけは、できないと思った。

 イカリオスは、憎しみに燃える目でリーユエンを睨み、指さして

「おまえなんかが、配偶同然の扱いを受けて、どうして、同じ魔導術を使えるぼくを選ばないんだ。おまえは、女なのに、学院では皆に男と思われていた、おまえだって欺瞞を働いていたじゃないか。どうせ、魔導士宣誓が怖いから、魔導士登録から逃げたんだろう。ふんっ、ぼくと対して変わらなことをやってる奴が、ロージーの隣に立っているのかと思うと、まったく気分が悪いよ」と、悪意のこもる口調で言った。けれど、それを聞くリーユエンは、長いまつ毛を伏せ、黙り込んだままで、何の反応も見せなかった。

 イカリオスは苛立ち、

「おいっ、先輩のぼくが話しかけているのに、何か言ったらどうなんだ」と、さらに煽るように言った。リーユエンは、視線をあげてイカリオスを見ると、

「私には、魔導士宣誓は免除されている」と、ささやいた。

 イカリオスは、怪訝な顔になり、

「どうして?免除なんて聞いたことがない」と言った。

 するとリーユエンは、イカリオスの立つ鉄格子の間近まで来て、自身の襟元を肌けた。

「先輩は、この紋が何かご存知でしょう?」

蝋燭の揺ら揺らした灯りが、白い肌に刻まれた玄武の印を照らし出した。イカリオスは、肌に焼き付けれた玄武を見て真っ青になった。

「玄武の紋・・・と、いうことは、おまえ、明妃なのか?ははっ、そりゃ、魔導士宣誓なんて不要だよな。その紋を入れられたら、何もかも法座主猊下に筒抜けなんだろう。ハッ、お可哀想に、おまえは玄武の愛玩品なのか」と、震える声で嘲笑した。闇の中でそれを聞いていたデミトリーは、怒りに駆られて飛び出そうとしたが、ゲオルギリー陛下が、背後から腕を顎の下へ回し込み、首をがっちり押さえつけ阻んだ。

「こらえろ、あいつのプライドはもうズタズタなんだから、おまえが紛糾させる必要はない」と耳元でささやいた。

 土曜日、日曜日は、お休みします。月曜日から再開します。

また、来週から、がんばります!

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