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異界に堕とされましたが戻ってきました。復讐は必須です。  作者: nanoky


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46 魔道具騒動(5)

「ニンマ、いるんでしょう?出てきて」と、リーユエンが声をかけると、サンロージアの影からニンマが現れた。

 リーユエンは、影護衛のニンマへ、

「内官長へ、王女殿下と私が、陛下に謁見賜りたいと、お願いしてきてちょうだい」と、頼んだ。

「承知いたしました。しばらくお待ちを」といい、ニンマは、王宮へ向かった。ニンマが行ってしまうと、リーユエンはサンロージアへ、

「王女殿下、ニンマが戻ってくるまでに、その泣き顔を洗って綺麗になさい。陛下が心配されるわ」と、声をかけた。

 サンロージアは、口をへの字に曲げ、

「お父様は、私のことを心配なんてしていないわ。怒っていらしたもの、あんなに怒ったお父様は初めて見たもの」と、言った。

 リーユエンは、

「あの陛下が、感情を剥き出しにされたのは、あなたの事を気にかけていらっしゃるからでしょう。そうでなければ、へらへら笑いながら、適当なことを話して誤魔化してしまわれたはずよ」と、諭した。

 サンロージアは、リーユエンを見上げ、

「そうかしら?お父様は私のことを心配されているのかしら?」と、尋ねた。

 リーユエンはうなずき、

「あなたのことをとても大切に思っていらっしゃるから、お怒りになったのよ」と、言った。


 シュリナとウラナへ断りをいれ、王宮へ行こうとした時、デミトリーが

「私もついて行こう」と、言い出した。リーユエンがサンロージアを見ると、彼女がうなずいたので、三人で王宮へ出かけた。

 

 執務室で陛下は、難しい顔で三人を出迎えた。そしていきなり、

「釈放は認めないぞ」と、先に宣言した。

 リーユエンは揖礼すると、陛下へ

「お願いしたき儀がございますが、釈放ではございません」と、話した。

 陛下は、琥珀色の目でリーユエンを見つめ、

「では、何が望みだ?」と、問うた。

 リーユエンは、「王女殿下を、捕まえた相手に会わせてやってくださいませ」と、答えた。

 陛下は、眉をしかめ不機嫌な顔つきになり、

「何のためにだ?」と、さらに問うた。

 リーユエンは、

「王女殿下ご自身が、その者から直接魔道具を貸し与えた目的を聞かれるべきかと」

と、答えた。

 ゲオルギリー陛下は、険悪な表情となり、

「サンロージアにそのようなことを聞かせる必要はない、出過ぎた真似をするな」と、唸るように言った。

 リーユエンは、しばらく無言で陛下を見て

「お辛いことであろうとも、王女殿下は真実と向き合われるべきかと・・・」と、なおも食い下がった。

 ゲオルギリー陛下は、怒気を吹き上げ、

「たとえあなたであろうとも、これ以上の干渉は許さぬっ」と、怒鳴った。

 傍にいたデミトリーは、取りなしたかったが、あまりの怒気の凄まじさに言葉が出てこなかった。

 リーユエンは、いきなり跪き叩頭すると、

「魔導士の(はかりごと)を闇に葬れば、いつまでも王女殿下のお心の傷となり付きまとうことでしょう。どうか、陛下におかれましては、ご明察くださいませ」と、訴えた。

 陛下は、両手で頭を掻きむしり、天を仰ぎながら、

「あいつは、悪賢い。簡単に口を割らぬ。直接会わせたら、サンロージアは丸め込まれてしまうだろう」と、苛立たしげに言った。

 リーユエンは、叩頭したまま

「恐れながら、私も同席させていただきたく」と、低い声で付け加えた。

 すると、陛下は、頭を掻きむしっていた手を止め、素早くリーユエンへ近寄り、腕を取って助け起こしながら、

「あなたが、付き添ってくれるのか?相手は魔導庁長官ミネリオスの甥子なのだ。自身の体調不良ばかり訴える、理屈っぽい奴だ。魔導士学院では優等生だったそうで、魔導学には詳しく、弁が立つ厄介な奴だ」と、何気に素早く相手の情報を伝えた。

 デミトリーはそれを傍で聞きながら、

(父上は、もしかして、取り調べをリーユエンに手伝ってほしかったのか?渡りに船とばかりに押し付ける気なのか?)と、疑念に駆られた。

 リーユエンは立ち上がると、再度陛下へ深々と揖礼し、

「かしこまりました。王女殿下が相手の言葉に惑わされないよう、お傍で注意いたします」と、答えた。


 陛下のもとを退出した三人は、影護衛府へ向かった。

 影護衛府で三人を迎えたザリエル将軍は、リーユエンへ、

「嬢ちゃんが取り調べしてくれよ。あいつは、何かというと魔導学の専門用語ばかり並べたてて、立板に水の調子で喋りまくるから、取り調べが全然進まないんだ。拷問したいところだが、何しろ魔導庁長官の身内だ。あとで魔導術で報復なんてされたらたまったものではないと思って、下手したてに出ていたら、もう、完全に舐められた気がするぜ」と、こぼした。

 将軍に案内されて、三人は、薄暗い地下牢へ続く石階段を下りた。湿って、独特の臭気のこもる長い廊下を歩き、地下牢の一番奥の牢屋に着いた。その中には、少年のような体つきで丸縁眼鏡をかけた、若獅子らしくない気弱げな男が、粗末な木製の寝床に、ぼんやりした様子で腰かけていた。

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