あーかい部! 56話 鶴の恩返し
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!
趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!
同じく1年、青野あさぎ!
面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!
独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河!
そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
池図女学院部室棟、あーかい部部室。
「いてっ……!」
あさぎが痛そうな声をあげた。
「「大丈夫?」」
「棘刺さった……。」
「机、木製だからな。」
「痛そ〜、ほれひいろちゃん。」
「見せつけなくていいよ。」
「……、」
あさぎが爪で棘を摘もうとしたのを見て、きはだがピンセットを取り出した。
「ピンセット使う?」
「……助かる。」
「じゃあ手ぇだして?」
「取ってくれるの?」
「今日のきはだは優しいな。」
「わたしはいつでも優しいよぉ?……ほい取れた。」
「ありがと。」
「……お行き?」
「動物じゃないんだから。」
「なんか『鶴の恩返し』みたいだな。」
「私鶴なの?」
「お礼は精肉機……機織り機でいいよぉ。」
「今しれっと命まで取ろうと……っていうか設備は自分で用意しようよ。」
「これは夜這い確定か……!?」
「『鶴の恩返し』を夜這いって言う人初めて見たよ……。」
「意味は間違ってないねぇ。」
「でも行ったら精肉されるしなぁ……。」
「精肉されるくらいなら働くのも納得か……。」
「ねえ『恩返し』って何だっけ?」
「でもそんな殊勝な鶴も最後は夜逃げしちゃうんだよねぇ……。」
「夜逃げ言うな。」
「そう考えると不義理だよな。」
「裸見られたくらいなんだってんだぁ。」
「夜這いした癖にな。」
「『鶴の恩返し』がどんどん汚れてく……。」
「いっそのこと抱いちゃえばハッピーエンドだったのにな。」
「鶴に人権は無いんか……いや、鶴だなぁ。」
「つまり合法……!?」
「子どもに見せられなくなるけどね。」
「というわけであさぎちゃん、どう借りを返して貰おうかぁ?」
きはだが手をワキワキしながらあさぎににじり寄った。
「ピンセットで啄めばいい?」
「ひえぇ鳥葬されるぅ〜!?」
「これじゃ仇討ちだな……。」
「Crane's Revenge……」
「一気にB級映画感出たな。」
「だよねだよね!?」
あさぎの瞳に光が灯り、声に熱が籠った。
「映画化したら鶴はやっぱり雑なCGかな!?それとも紙粘土
「ど〜うどうどう……落ち着くんだあさぎちゃんよ。監督の好みに偏った区別のつかないキャスト陣はいないし、実は幼体だった的な雑なラストもないんだ。」
「あ、ごめん。つい……///」
「『つい』でB級映画にされる鶴の身にもなれよ?」
「さいっっっこうだね☆」
「きはだ、コイツどうすればいい?」
「キレイなディ○ニー映画で浄化しよう。」
「うえぇ……。」
「一応キレイなやつの方が売れてるんだからな……?」
「そんなの、全人類水だけ飲めって言ってるのと同じじゃん!」
「確かにお水は1番売れてるねぇ。」
「それと並べるのは卑怯じゃないか?」
「や〜いナメ○ク星人〜。」
「ナメ○ク星人って水だけで生きていけるんだったな……ってそんなマイナーな設定よく覚えてるな。」
「頭の中『みどり』色ぉ〜!」
「……中は違うんじゃないか?」
「惚れさせた責任とれー!」
「ふぉーりんらーぶ!」
「何の……っていうか誰をだよ!?///」
「すけこましー!」
「無自覚イケメンいけ好かなぁ〜い!」
「ちょっと韻踏むのやめろ!?」
「夜は寝床でー!?」
「イケイケドンドン!」
「さっきから何なんだよ!?///」
「これがほんとの、
「『恩返し』、
「「yeah!」」
「こりゃ鶴も逃げ帰るか……。」
あーかい部!(4)
ひいろ:投稿完了だ!
白ちゃん:今日は3人だったのよね?先生のいない所でどんなお話してたの?
ひいろ:鶴の恩返しについて話してたぞ!
白ちゃん:こりゃまた懐かしいチョイスね……
ひいろ:2人によくわからないヤジを飛ばされて大変だったんだ……
白ちゃん:ところで、その2人がいないみたいだけど
ひいろ:まさか……
ひいろ:やっぱり編集中になってる!?
白ちゃん:あらら
あさぎ:編集完了っ!
きはだ:でかしたあさぎちゃんっ!
ひいろ:今度は何しやがったんだ……!
きはだ:読んでみな〜♪
白ちゃん:とりあえず見てみるしかないようね
ひいろ:あんまり変わってないような……
白ちゃん:そうなの?
ひいろ:最後のヤジをちょっとイジられたくらいだな
白ちゃん:へ〜
あさぎ:責任、取れよ?
きはだ:取れよ?
ひいろ:だから何のだよ!?
白ちゃん:あ〜、なるほどね……
ひいろ:わかったのか白ちゃん!?
白ちゃん:答えは自分で見つけるべきね
ひいろ:そんなぁ……