第四話「弥生はるか、爆誕!」
爆発事故の中で目覚めた“進化”。
混乱する陽一郎の前に現れたのは──喋る柴犬と、ポニテで物理法則をねじ曲げる元気少女!?
今回はちょっぴりコメディ寄りでお送りします!
「……んぐぅ……頭が……重機に轢かれた夢見た……」
「夢じゃねぇよ、実話だよ。現実逃避すんな、陽一郎!」
目の前にいたのは、柴犬──いや、喋る柴犬・ゴロー。
陽一郎は体を起こすと、あまりの現実に再び寝転がろうとする。
「おいおい、寝てる場合か! お前、進化適合しちまったんだぞ。もうただの高校生じゃねぇ」
「……適合……なんだそれ……俺、超能力者になったってこと?」
「まあ、そんな感じだな。オベリスクの力が、お前を選んだってことだ」
呆然とする陽一郎。
そのとき、頭上からひょいっと誰かが顔を覗き込んできた。
「やっほー! 生きてるー?」
「うわっ!?」
そこにいたのは、制服の上にジャージを羽織った、元気全開な女の子。
ポニーテールがぴょこぴょこ揺れて、目がやたらキラキラしてる。
「あたし、弥生はるか! よろしくなのだ〜」
と言って、ゴローの背中をぐりぐり撫でる。
「く、くるしい……」
「うわ、喋る柴犬! かわい〜! やっぱこっちの世界って夢があるよね! 現実って、たまにファンタジー混ざってくるじゃん? ねぇ!」
「……誰この子……テンションおかしくね?」
陽一郎が引き気味に呟くと、はるかがビシッと指をさしてくる。
「そういうキミも、“新入り進化者”なんでしょ? わたしとお揃いじゃーん!」
「いや、俺まだよくわかってないし……てか、君ほんとに大丈夫?」
「だいじょぶだいじょぶ! わたし、“パワー特化型”だし! てへっ」
陽一郎が目を丸くしている間に、はるかは近くの鉄柱を片手で軽々とへし曲げた。
「いや、笑って言うな! 物理法則どこ行った!?」
「へへーん、まぁ細かいことは気にしなさんなって! それよりさ、せっかく覚醒したんだから、君も一緒に冒険しようよ!」
「冒険って、ゲームじゃねぇんだぞ!?」
「ゲームよりスゴいじゃん! 現実で異能バトルって! ロマンだよ、ロ・マ・ン♡」
ゴローがため息をついた。
「……まあ、ああ見えて戦力にはなるんだ。見た目バカっぽいが、筋力は大型トラック並みだ」
陽一郎の頭の中に、アイドルの絵が書かれたデコトラを思いだした。
「そこ!今、変はこと想像したでしょ!?」
「……いえ」
はるかはにっこり笑って、陽一郎に手を差し出した。
「ともかく、仲間が増えるのは大歓迎! 一緒に“変異種”やっつけよーぜっ☆」
──こうして、陽一郎の冒険は、明るくてちょっとアホの子な最強女子・弥生はるかとともに幕を開けたのだった。
「てか……俺の能力って何だ?」
弥生はるかという名の台風娘(物理)が、陽一郎の運命を大きく変える──
次回、彼らはついに“異形の進化種”と遭遇? バトルと謎が加速していく予感です!