1/8
タイムマシン
田舎町の自動車整備工場で働いている。毎日汗と油まみれでベトベト。思い出すたびに頭の中のスーパーチャージャーに引っかかるという未練がある。
俺の名前はジュン。高校時代に片想いしていた女子がいた。カオリっていう。あの子はは今どうしているんだろう。
「ジュン、あそこのスズキキャラのエンジン見てあげて。エンジンかからないんだって」
「はい!今行きます」
毎日こんな感じなのである。
今日は休日。愛車は、中古のMH34SワゴンRだ。
早速乗り込んで、ドライブだ。
国道を軽快に走るワゴンRにジュンもうきうき。
トンネルに入った瞬間、強い光がジュンが乗ったワゴンRをつつみこんだ。
眩しい光は、一瞬で消えた。
周囲の景色が山で囲まれた山奥。
ジュンは、通っていた高校の前にワゴンRと共にいたのである。
「とりあえず、ラジオでも点けてみるか」
"今日は、平成14年9月6日金曜日の大安です。イエーイ"
ジュンは、タイムスリップしたのを実感した。ワゴンRは、ジュンの未練を察知したようだ。