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心脈

作者: 檸檬

仕事帰りによく行く川辺の階段に座った

風がつよく、雨雲が運ばれ

青い晴れ間が見えてきた


西に目をやると

夕日が金色

川面に光りの花束ができている


水脈にそって輝花が散りながれていく


わたしの動脈から静脈にも


心脈にそってゆっくりと流れていく


東の海から西の海へ


海の向こうにはきみの街と繋がっている


ふと思い出す昔住んでいた小さな町の

黄金色の田畑から


少し離れた森の中にあった川泉のほとり、


ずっといたくなるほどの神秘的な空間だった


でも哀しいことに何年後かにいくと


埋め立てられていたんだ、


町長が代わってからかご都合主義がまかり通る


大切にしたい風景までも埋められていく


でもそれも時代の流れなんだろう


この胸に残っていることが救いかな


きみへと続くこの川の流れは


きみへと流れていけるようにしたい


きみはわたしだから


きみが苦しいとわたしも苦しいと


理解してくれる人は少ないのかもしれない


けれど確かにいる


どこか片隅にそんな未知のバカげた夢に

近づいていける細い流れは何処かへ続くさ


今、目の前にもあるささやかな希望


おしゃべりしよう


ここの川辺の階段で、


この場所には緑茶が合うかな


山間にある茶房、和菓子のお店もいいけどな


それともあの港街にある煉瓦造りの喫茶店か


お茶飲み友達の感覚で、おしゃべりしたいね


でも、少し緊張するんだろうな対面だとね


だからこの川辺の階段で横並びがいいかもね


朝昼晩ともがいて、ほんのちょっとの息抜きに


きみのことを思いながらの素敵な時間


この階段の横はきみの特等席にしておく


川の流れとともに鈍行列車で


ほんのちょっとタイムトラベルしようよ


青春18切符をふたり分買っておく


束の間だけどゆっくりといこう





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