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ゼロの輝き─無魔力追放からの反逆  作者: ジュン・ガリアーノ
第6章 魔力クリスタルの深淵
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cye:96 ルミと一緒に記念写真

「ノーティス様!」


 ルミは城から出てきたノーティスの姿を確認すると、車から降りタタッと素早く駆け寄った。


「大丈夫ですか?! さっきの爆発は一体……」

「ありがとうルミ。大丈夫だよ。見ての通り無事さ」

「ふぅっ……ならよかったですけど……」


 胸を撫で下ろしたルミに、ノーティスは告げる。


「ただ明日の朝、ティコ・バローズに皆で向かう事になった」

「えぇっ、ティコ・バローズに、しかも明日の朝からですか!」

「あぁ。だから今から準備しなきゃ」

「……分かりました。お任せ下さい!」


 ルミがそう答えた時、ノーティスの後ろからレイやジーク達も城から出てきた。

 そして、ルミに向かってニコッと笑う。


「あら♪ ルミじゃない」

「おー嬢ちゃん。今日も決まってるねぇ」

「ルミさーん♪」

「おおっルミ♪ 相変わらず可愛いのぉ」

「フム……彼女はノーティスの至らない所を、全部持っていそうな感じだな」


 その姿を確認したルミは、皆に深々とお辞儀をした。

 ルミの執事としての姿も、この数年でさらに洗練された物になっている。


「皆様、いつもノーティス様がお世話になっております♪」


 するとジークは、ノーティスを見てニカッと笑った。


「おいおいノーティス。ルミちゃんはもう、お前の嫁さんみたいだな」

「ジーク、何言ってんだよ。ルミは俺の執事だぞ。なぁルミ」


 ノーティスにそう言われたルミは、顔を思いっきり火照らせ、恥ずかしそうにうつむいた。


「は、はい! そうです。お嫁などではなく、わ、私はノーティス様の執事です……」


 もう、見てるこっちが恥ずかしくなるぐらい、ルミがノーティスを大好きなのは明らかだ。

 けれど当のノーティスは、ちょっと残念そうに口を尖らす。


「なっ、そうだろ……嫁じゃなくて執事なんだよ。分かったか? ジーク」


 その姿に、目を点にするレイとメティアとロウ。


「鈍すぎね……」

「ノーティスって、どこか壊れてるのかな……」

「フム、女心は落第点だな……」


 3人がそう零す中、ジークはノーティスの肩をガシッと組んで顔を覗き込んだ。


「ノーティスよぉ、お前さんって神経通ってるかい?」

「ん? もちろん通ってるに決まってるだろ。だから今日賊にも気付けたし」

「かぁーーー、それがもうちっと別の方にも向けれたら、お前さんいい男なんだけどなー」

「おい、何を言ってるんだジーク。意味が分からんぞ」


 ノーティスが訝しそうな顔をすると、ルミはハッと気付き車のトランクを開けた。

 そして皆が、なんだ? と、思う中、ルミは高級なカメラと三脚を取り出しニコッと微笑んだ。


「皆様、せっかくお揃いなので、記念にお城をバックにお写真一枚お撮りしましょう♪」


 ルミからそう言われた皆は、お城の前に並んでいく。


「フフッ♪ 私ノーティスの隣ね」

「ボクもー♪」


 左右から腕に抱きかれてるノーティスに、不満気いっぱいな顔のジーク。


「おいノーティス! ズリぃぞお前さん」

「いや、俺の腕は2本あるからピッタリだ」

「バ―――ロ、俺だって2本あるわい」

「おっ、今気付いた。ただアレだ。残念だが、今さらきても、もう遅いっ! てヤツだな♪」

「全然ちげーわ!」


 ジークがそう言ってブーたれてると、レイがジークにそっと片手を出しチラッと振り向く。


(ほら♪ 繋がないの?)

(うっ! な、なんだよお前さん)

(あっ、やなの。ふ〜ん、そうなんだ)

(バ、バカ野郎……つ、繋いでやらぁ)

(フフッ♪ 可愛いわね)


 顔を真っ赤にしてレイの手を握ったジーク。

 頭から湯気が上がっているようだ。


 そんな中、アンリがノーティスの後ろからバッと抱きついてきた。

 そして、頬ををギューっ擦り寄せてニコニコ笑う。


「ニャハハ♪ たまには、こうせんとのぅ♪」

「ア、アンリ」


 顔を火照らせ振り向くノーティスに抱きついたまま、アンリは片手を離しロウを抱き寄せる。


「お、おいアンリ。急に何を」

「これで両手に華だニャ♪」

「まったくキミは……」


 その光景に、ルミはピキッと顔を引きつらせながらも必死に笑顔を作り続けている。


───仕方ないの。ノーティス様はああいう人だし、おモテになるのだからガマンガマン……あぁ、でも、何で写真なんて言っちゃったんだろう……


 ルミがそうボヤきながらシャッターを切ろうとすると、ノーティスがルミを呼び止めた。


「ルミ、早く来いよ!」

「えっ?」

「いや、だからタイマーにしてるんだろ。早く来なきゃ」

「わ、私もですか?!」


 思わず目を大きく開いたルミ。

 まさか自分も加わるなんて思っていなかったし、何より、それがノーティスの口から出たからだ。


「わ、私は大丈夫です。皆様で……」


 ルミが顔を火照らせたままそう答えたが、ノーティスは許さない。


「何言ってんだルミ。キミがいなきゃダメだろ。早く俺のとこに来てくれ」

「で、ですが……」

「ルミ、早く! キミが一緒じゃなきゃ落ち着かないだろ」


 それを聞いた皆は思う。


───ホント天然ね。ある意味一番悪い男だわ。

───ルミさーん♪ 早く来てー。

───こやつ、やはりやりおるニャ♪

───フム……実技は合格だな。


 ジークはレイと手を繋いでドキドキしっぱなしで、それどころではない。

 ただ、ルミは皆がそう思う中タイマーをセットすると、顔を火照らせたままノーティスの側に行った。


「ノーティス様……」


 ルミが見上げた瞬間、ノーティスはカメラの方を向いたままルミを呼ぶ。


「もっとこっち来て」


 そしてそう告げるやいなや、ルミを片手でグッと抱き寄せた。


「えっ! ノーティス様っ!」

「フッ、これでしっくりきた」

「ち、近いですっ」


 ルミがそう声を上げた瞬間、カシャッとシャッターが切られ、皆それぞれの表情で写真に写った。

 皆それぞれ、らしい顔で撮れたいい写真だ。


「じゃ、じゃあ皆様、写真は後日ノーティス様にお渡しします! 今日はありがとうございました」


 ルミは顔を火照らしたままお辞儀をすると、サッと車に乗り込みミラーを開ける。


「行きますよ! ノーティス様」

「あぁ頼む」


 ノーティスはルミにそう言うと、皆に手を振り車に乗りその場を後にした。

 皆はそれを見送ると、それぞれ準備をする為に解散していく。


「メティア。今日は皆の治療ありがとう」

「ううん。ロウが早く気付いて、ノーティスが守ってくれたお陰だよ♪」

「それでも回復させたのはキミだ。カレッタでもご馳走するよ」

「わぁホントーー♪ ロウ、ありがとう! やったーーー♪」


 両手を上げてはしゃぐメティアの隣で、ロウはアンリにも声をかける。


「アンリ。キミも一緒にどうかな」

「う~~ん、私は辛いもんの方が好きだし、遠慮しとくニャ♪」

「そうか。じゃあまた明日な」


 そう言ってロウがメティアが歩いていくと、ジークがレイの後ろから声をかけた。


「レイ!」

「なによ、ジーク」


 振り返ったレイにジークはニカッと笑う。


「何じゃねぇよ。送ってくぜ」

「いいわよ別に。別に1人で帰れるし♪」


 レイはそう言って微笑んだが、どことなく寂しそうな顔をしている。

 ノーティスがルミを好きな気持ちを、ありありと感じてしまったせいだ。 

 ジークは、そんなレイを1人で帰したくなかった。

 こういう時にどうこうするのではなく、純粋にレイの気持を癒したかったのだ。


「ったく、分かってねーな」


 片手で頭を掻いたジークは、そのままレイを見つめる。


「前みてぇな事も、あるかもしれねぇだろ」

「……!」

「だから近くまで送る。で、近くで一杯やろう。たまには俺のワガママも聞いてもらうぜ」

「なによ」

「へっ、たまには人のワガママ聞いた方が、いい夢見れるぜ」


 すると、レイは呆れた顔を浮べた。


「まったく、アナタってホントにガサツな人ね」

「へっ、お前さん守れるならガサツで上等だ」


 ジークがそう答えるとレイはプイッと前を向き、ジークには見えないように、そのまま嬉しそうに笑みを浮べる。


「じゃあ勝手にしたら♪」


 そう言ってスタスタと歩き始めたレイに、ジークは再びニカッとした笑みを向けた。


◆◆◆


 そして、翌朝出立したノーティス達はティコ・バローズに辿り着くと、その祠を目を丸くして見上げていた。


「まさか球体とはな……」

「なんだいこりゃ」


 石で出来た巨大な柱が立ち並ぶ中に、石造りの巨大な球体がそこにあったのだ。


「ねーーみんな、コレ入口どこかなー?」


 メティアは球体の周りをキョロキョロ見渡したが、入口らしき所はどこにも無い。


「ムムムッ。確かに無いのぅ……ならば仕方ない『コース・トリパー』!!」


 アンリの空間に穴を開ける魔法が放たれたが、全く通用しなかった。


「う〜〜む、やはり無理じゃの……」

「あぁ、しかも球体に歪みや劣化が全く無い。確かに僕もこれは、時が止まっているように思える。仕方ない……」


 ロウはそう零すとノーティス達を集め、今回の陣形や作戦を伝えていった。

 それを全て聞き終わると、パシッと拳と手の平を合わせたジーク。


「よっしゃ。右側が俺とレイだな」

「あぁ。そして左側はアンリに任せる。僕も援護するから」

「りょーかいニャ♪」


 アンリがニコッと笑うと、ロウはノーティスを精悍な眼差しで見つめる。


「そしてノーティス。キミの突破力が鍵になる」

「あぁ、任せてくれ」

「ノーティス、ボクも側でサポートするからね♪」

「ありがとうメティア。一緒に頑張ろう」

「うんっ♪」


 メティアに嬉しそうに微笑んだ時、皆サッと顔色を変えた。

 伝わってきたのだ。

 トゥーラ・レヴォルト軍の凄まじい殺気が。

 まるであの時のように……!


「ケッ、上等だ!」

「フフッ♪ 美しく倒してあげる」

「いいデータが取れるといいニャ♪」

「フム、まあ戦力は絶大だが戦術で負けはしない」


皆が気合の入った声を上げる中、ノーティスは感じていた。

言いようの無い、不吉な予感を……

シドの亡き後率いてるのは、まさか……



次話は、少しだけほのぼのした後に古の祠に辿り着きます。

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