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ゼロの輝き─無魔力追放からの反逆  作者: ジュン・ガリアーノ
第6章 魔力クリスタルの深淵
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cys:91 プロデューサー・アンリ

 ノーティスが飛び上がったその高さは約20メートル。

 その跳躍を見て、目が飛び出る位驚くウェリデ達。


「は、はいっっっ!??」


 けどノーティスはそんな事より、コートを見ながら心で念じていた。


───彼らにケガさせないようにしないとな。ルミとメティアの憧れの人なんだから。そーっと、そーっと……


 ノーティスはそう念じながらボールを打ったが、その直後、凄まじい速さでボールは進み、コートにズドンと突き刺さった。

 コートから砂塵がブアッ! と、大きく舞い上がる。


「やっば!」


 ノーティスはコートにスタッと降りると、ウェリデ達に向かい両手を合わせた。


「すまんミスった! ケガは無いか?」

「ミ、ミスっただぁ? 舐めやがって!」


 ウェリテはノーティスのサーブに恐怖しながらも怒りでボールを掴み、思いっきりサーブをかます。


「喰らい……やがれっ!」


 ウェリテから勢いよくサーブが放たれた瞬間、ノーティスはジークにサッと告げる。


「ジーク、今度は俺が受け止める」

「おっけーーー」


 そして、ノーティスがウェリテのサーブを真綿を包むようにレシーブすると、ボールは本当にちょうどいいぐらいの高さに跳ね上がった。


「ノーティス♪ さすがね。いいレシーブだわ」


 レイがそう言ってニコッと笑うと、ジークがそのボールに向かい飛び上がりアタックした。


 すると、ボールは地面にバシュン! と、突き刺さった後、パンッ! と、音を立て破裂してしまった。

 それを見て恐怖に目を見開いたウェリテ達と、冷静にジークを叱るノーティス。


「ジーク、ボールを壊しちゃダメだろ。優しく優しく」

「いやノーティス、お前さんが最初強くやり過ぎたせいだぞ」

「まぁ確かに……すまんジーク。でも、ジークも加減ミスったろ」

「チッ、ムズいんだよ。柔らけぇから」


 ジークがそうボヤくとノーティスは少し考え、ワザとハッ! と、した顔を浮かべてウェリデ達を見る。


「すまん、ボール買ってくるよ。次は割れないように、鋼鉄玉にしよう。気付かなくてごめんな」


 ノーティスはそう告げるとルミをチラッと見た。


「ルミ、すまない。今から至急、鋼鉄製のボールを調達してくれないか」

「ノ、ノーティス様、本気で仰ってるんですか」

「当り前だろ。あんなボールじゃ柔らかすぎて、加減が難しいんだ。勝負する以上、ボールは壊れないのがいい。鋼鉄玉なら何とかもつだろ」


 すると固まってたウェリデ達は、ヒィィッと悲鳴を上げ震える。

 ノーティスが強がりでも嫌味でもなく、本当にそう思ってるのが伝わってきたからだ。

 そんなウェリテ達に向かい、ノーティスはニコッと微笑んだ。


「すまなかったな。次は鋼鉄玉で再開しよう!」

「ババババ、バカヤロウ! そんなもん、死んでしまうだろ! 勘弁してくれーーー」


 ウェリデ達が逃げるようにバタバタ走り去るのを見て、ノーティスは内心ホッと胸を撫で下ろした。


───よかった〜〜〜次加減間違えたら、ルミとメティアの憧れの人に怪我させちゃうとこだったし。


 ノーティスがホッとする中、走り去るウェリテ達はドンッ! と、人にぶつかってしまった。


「っ! いってーな!」


 倒れたウェリデがイラつきながら見上げると、そこにはアンリとロウの姿が。


「こっちこそいったいのー。って、ウェリデじゃニャいか♪」

「ア、アンリさん! 何でここに?」

「いや、ノーティス達がおると聞いての♪」


 アンリがそう答えると、ノーティスが笑みを向けてきた。


「アンリ! ロウ!」

「ニャハハ♪ 元気そうじゃの」

「フム、キミにボールは柔らかすぎたようだな」


 そう零したロウに、ちょっとすまなそうな顔を浮かべたノーティス。


「いや、測定器の時もそうだけど、俺、師匠から手加減だけは教わってなくて……」

「まあ、先生は確かにそれは教えてくれなかったな」


 ロウがそう答えると、ノーティスはアンリの方へ顔を向けた。

 今さっきの会話が気になったからだ。


「アンリはウェリデと知り合いなのか?」

「うーん、知り合いというか、私がプロデュースしてるニャ♪」

「えぇっ?!」


 ノーティス達は驚いて目を丸くした。


「アンリがプロデュース?」

「まあの♪ 色々作るのが好きだからニャ♪」


 アンリがニカッと笑うと、ウェリデ達は体を震わす。


「アンリさんと知り合いって、まさか……」

「ん? お主ら誰だか知らずに対決しておったのか。彼らは私と同じ、王宮魔道士達ニャ♪」


 それを聞いて、一気に顔を青ざめさせたウェリデ達。


「お、王宮魔道士って……す、すいませんでした!」


 バッと頭を下げたウェリデ達に、ノーティスは逆にすまなそうな顔をする。


「いや、こっちこそ加減ミスってごめんな」

「いいんです! じゃ、俺らはこれで」


 そう言って去ろうとしたウェリデ達を、ノーティスは引き止める。


「あっ、ちょっと」

「な、なんすか?」

「いや、一応さ俺らが2本取って終わったから、俺達の勝ちでいいんだよな?」

「も、もちろんですよ」

「じゃー申し訳ないんだけど、一曲歌ってくれないか」

「えっ?」


 突然そんな事言われてビックリしたウェリデ達に向かい、ノーティスは両手を合わせて頼み込む。


「頼むっ! ギャラは払うから一曲だけ。ルミとメティアに聞かせてあげてほしいんだ」

「……まっ、いいですけど、機材無いっすよ」


 ウェリデがそうボヤくと、アンリがマジック収納ボックスから機材をササッと取り出した。


「これで出来るニャ♪」

「はぁーーー、アンリさん何でもありっすね」

「ニャハハ♪ まっ、一応王宮魔道士じゃからの♪」


 そして始まったミュトスの生ライブに、ルミもメティアも大興奮。


「生ライブだよメティア♪」

「うんっ♪ 夢みたいですね! ルミさん」


 レイも静かに聴いている。


───ふーん、悪くはないわね。切ないのがシンクロしちゃうわ……


 ただそんな中、一番感動して涙を流しているのはジークだ。


「くうっ……いーーーーー曲じゃねぇか、ちくしょう! ラビット最高だぜ!」

「ジーク、感動してる所悪いがラビリンスだ。ラ・ビ・リ・ン・ス」

「おっ、おう。覚えたぜ! 応援してるぜラビリンーース!」

───グループ名はミュトスなんだけど……まっ、いっか♪


 そう思いジークや皆の姿を見て微笑んでいると、アンリがニャッと横から笑みを浮かべてきた。


「ノーティス、いい思い出が出来たようじゃの♪」

「あぁ、アンリのお陰だ。ありがとう」

「良いのじゃ♪ ノーティス、お前は勇者として特に辛い場面もあろう」


 アンリにそう告げられ、シドの事が脳裏に蘇る。

 もうあれから2年経つが、ノーティスはシドの事を忘れた事は無い。

 むしろ、その悲しみを忘れたいかのように、より修行に打ち込んできた。


「それにお主は、これまで以上に困難を超えていかねばならんのじゃ」

「アンリ……それはやはり、あの異世界に何かあるという事か」

「まあ、装置が完成しない以上、確実にとは言えんがな……けどノーティス、何があっても仲間との絆を一番大切にするのじゃぞ」

「アンリ……!」


 するとロウも、隣から慧眼な眼差しをノーティスに向けてくる。


「そうだノーティス。勇者だからといって、別に全てを1人で抱え込まなくていい。仲間と共に戦う中に、真の意味が出来るからな」

「ロウ、ありがとう……」


 2人からそう言って貰えたノーティスは、皆に感謝しながらも感じていた。

 もうすぐ、自分達の運命が大きく動き出していく予感を……

アンリはサッと出てきていい味を出す……!



ほのぼのざまぁ回も終わり、この章の本編が始まります。

次話は今までにない展開に……

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― 新着の感想 ―
[良い点] シドの名前が出てきた。 嬉しいな。 どんな展開になるのか楽しみ。
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