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ゼロの輝き─無魔力追放からの反逆  作者: ジュン・ガリアーノ
第6章 魔力クリスタルの深淵
88/251

cys:88 人気グループ『ミュトス』の誘い

「キャーーーーーーーーーっ♪ 素敵ーーーーーーーーーーーーっ!!!」


 ノーティス達がいるビーチに、女の子達からの歓声が響き渡ってきた。

 それに反応したノーティス達。


「ん、どうしたんだ?」

「さぁ? なんだろうね」

「ったく、何だってんだよ。キャーキャーうっせぇな」

「あら、誰か有名人でも来たのかしら♪」


 そう思ってザワつく方を見てみると、女の子達に囲まれながらノーティス達の方へ歩いてくる、男達の姿が目に映った。

 スマートでキラキラしたオーラを放つ五人組の男達が、女の子達に囲まれている。


「超カッコイイーーーー♪」

「これからどこ行くのーーーーーっ♪」

「一緒に飲みたーーーーーーいっ♪」


 そんな中、レイはビーチベッドに寝たまま、かけてるサングラスをチラッと下にズラす。

 そして、彼らの姿を確認すると、興味を失くしたかのようにサングラスをスッと元に戻した。


「彼ら、第二都市『イドラ』の人気グループ『ミュトス』のメンバーね」

「ええっ! あのミュトスですか!」


 ルミは思わず声を上げたが、ノーティスとジークはキョトンとしている。

 二人とも、こういう事にはてんで(うと)く、キョトンとしたまま顔を見合わせた。


「ミュトス……誰だそれ? ジークは知ってるか?」

「知る訳ねーだろ。ただ、なんかいけ好かねぇ匂いがするぜ」


 ほけーっとしてるノーティスと、ちょっと鼻息を荒くしたジーク。

 そんな二人に、ルミは興奮気味に息を荒くした。


「お二人とも、ご存じないんですか?! ミュトスといえば今をときめく超人気グループですよ!」

「へぇ、そうなんだ。知らなかった」

「そーなのかい」


 ノーティスもジークもまるで沸かない顔をしているが、ルミは興奮している。


「そうですよ! そもそも第二都市イドラは、魔力クリスタルのエネルギーを使って、芸能や音楽が発展してる都市なのはご存じですよね」

「あぁ、それは知ってるけど、歌とかは全然……」


 ノーティスがボンヤリと答えると、ルミは片手を額に当てて体をのけ反らせた。


「もーーなんでそんなに疎いんですか……!」

「だって、そんなん見てこなったし、興味も無いし……」


 そう言ってノーティスが軽くダルそうな顔をすると、ジークもそれに加わる。


「そのとーり! んなもん、男なら知らなくていいんだよっ! 男は酒と女と戦いだぜ!」


 ジークがヘンっとした顔でそうボヤくと、ルミは人差し指を立てながらジークに向かい、グイッと身を乗り出した。


「ジーク様、戦いに身を置くのは素晴らしいですが、こういうのも知っておくべきです」

「ケッ、いらねーよ。んなもん」

「いいえ、女の子はこういう話題好きですから。知らないと、レイ様とも会話弾みませんよ」

「な、なんだって? マジかよそりゃ!」


 それはヤバいという顔をして、ジークがレイの方をチラリと見ると、レイはサングラスをちょっと下ろしてジークに微笑む。


「フフッ♪ そうね。ルミの言う通り、ガサツな感じだけじゃ愛せないかも♪」

「レ、レイ、マジかよ!!」

「さーねーー♪」


 そう言って雑誌に目をやるレイを見ると、ジークはルミの両肩をガシッと掴んだ。


「わ、分かったよ嬢ちゃん。ちっと勉強すらぁ! で、何て奴らだっけ。ミュ、ミュ、ミュなんだ……?」


 ジークが懇願するような目をルミに向けると、横からメティアが嬉しそうに答えてくる。


「アハハッ♪ ミュトスだよ、ジーク」

「ありがとよメティア。って、お前さんも知ってるのか!?」

「うん♪ ボクも彼らの歌はよく聞くよ。切なくて甘いバラードとか凄くいいんだ。ラビリンスって曲が特にオススメだよ♪」


 そう言ってニコッと笑うと、ルミが横からメッチャ楽しそうな笑顔をメティアに向けてきた。


「分かるーーーーっ♪ あれいいよねっ!」

「あっ、ルミさんも好き?」

「大好きだよー♪ あれ切なくて最高だよねーーー!」


 ルミとメティアが盛り上がってる中、顔をしかめながら必死に覚えようとするジーク。


「ミュ……トスに、ラビット……」


 その肩にノーティスはポンと片手を乗せて、振り返ったジークに向かい哀しそうに顔を横に振る。


「ジーク、無理だ。やめとこう。ついでに言うと、ラビットじゃなくてラビリンスだ。ウサギじゃない」

「えっ、あっそーか。ウサギじゃなくてラビットだな」

「だから違う。ウサギじゃない」

「ああん? もう訳わかんねーーーよっ!」


 苛立つジークに、ノーティスは諭すような顔を浮かべた。

 哀しく憐れみのような眼差しと共に。


「いいんだジーク、もうやめとけって。そういうのは頭に入らないように出来てるんだよ」

「いーや、ノーティス。ちゃんとラビットってヤツを覚えねぇと……」

「レイと仲良くなれないのか」

「あっ、いや、まぁその、そーゆー訳じゃねーーんだけども……なんだ、別に……なぁ……」


 口ごもるジークの前で、ノーティスはレイをチラッと見つめた。


「レイ、別に必要無いよな。知ってても知らなくても」

「私ミュトス大好きー」


 レイは全く感情のこもってない返事をしたが、ジークは、それみた事かと言わんばかりだ。

 まるで、今レイにフラれたような、悲しく焦りの表情を浮かべている。


「なっ、やっぱそーなんだよノーティス! 俺は覚えるぞ! ミュラビットを!!」

「いやいやジーク、今の返事は明らかに興味ないだろ。俺でも分かったぞ」

「うるせいっ! レイは今、ミュール大好きって言ったじゃねーか」


 逸るジークに、ノーティスは哀しい顔を向けたままため息をつく。


「ハァッ。キミは、レイの事になると知能指数が激減するよな……それに、名前も全然違う。ミュトスでラビリンスだ」

「あっ、ああそうか。まぁとにかくだな……」


 そんな話をしてると、ミュトスの五人のメンバー達がルミ達を見つけ寄ってきた。


「おっ、何か超可愛い子達集まってるじゃん♪」

「ああ、確かにそうだな」

「どの子も可愛いけど、あの子特に可愛いなー♪」

「いや、マジであの子エロいじゃん! ヤバッ」

「ふぁ〜〜ぁ、ボクはいいや。それよかお腹すいたー」


 ミュトスのメンバー達を目の前にして、緊張するルミとメティア。

 顔を真っ赤に火照らせて、ガチガチになっている。


(ヤ、ヤバい。本物ですよメティアさんっ……!!)

(う、うん。キンチョーするね、ルミさんっ……!!)


 そんな二人にメンバーがニコッと微笑んできた。

 まず最初に声をかけてきたのは、グループのリーダーであるリュート。


「ちょっとゴメンね」

 

 リュートはノーティスをサッと押し退け、艶っぽい瞳でルミに微笑んだ。


「キミ可愛いね。俺はミュトスのリーダーのリュートっていうんだけど、知ってるかな」

「は、はい! 知ってます」

「よかったー♪ キミは何て名前?」

「ル、ルミです……」

「へーっ、ルミちゃんていうのか。可愛い名前だね♪」

「そ、そんな事……」


 ルミが緊張して火照らせた顔を軽くうつむかせる中、ノーティスは軽く心配しながら、その光景を見つめている。


───顔が赤い。憧れの人に会えてよかったけど、やっぱりルミは熱があるのかもな。気を付けて見とかないとダメだな……


 ノーティスがまるで見当違いの事を考えている中、メティアに話しかけてるのは、メンバーの一人のフラムだ。

 爽やかなスマイルに、女の子のファンも多い。


「キミ、マジで俺の超タイプだよ♪」

「えっ、ど、どうも」

「アハハッ♪ 緊張しなくて大丈夫だって。俺フラムっていうだけど、キミの名前は?」

「メ、メティアです……」

「メティアちゃんか♪ キミに俺の歌ってるとこ、見てもらいたいなっ♪」

「えっ、えぇっ! ボ、ボク、いつも見てますよ!」

「ハハッ♪ ありがとメティアちゃん」


 そして、グループの盛り上げ隊長のウェリデは、レイを見ると一目散にタダッと駆け寄った。

 隣にジークがいても関係ない。


「キミ、マッッッジで可愛くてエロいじゃん! 気に入った♪ 遊びに行こうぜ!」


 ヴェリテはニカッと笑みを浮かべてレイの事を見下ろしたが、レイは軽くいなすように微笑んだ。


「フフッ♪ ごめんなさい、私アナタ達にキョーミ無いの」

「ハアッ? ウッソだろ! 俺、ミュトスのウェリデだぜ!」


 ウェリデは猛アピールしてくるが、レイは本当に全く興味が無かった。

 レイは強い男が好きだからだ。


───こんなの全然ダメね。


 その様子を見てジークはフゥッと胸を撫で下ろしている。

 レイが着いていくんじゃないかと、内心大慌てだったから。


「ふぃーーーっ、よかったぜ」


 ただ、レイはそんなジークを見ると、どうしてもイジワルしたい気持ちが湧いてきてしまい、ヴェリテを見つめ艶っぽく微笑んだ。


「うーん……じゃあいいわよ♪ そこまで言うなら。せっかくだし、ちょっとだけ付き合ってあげる♪」


 そう言ってパタンと雑誌を閉じたレイ。

 それを見たジークは、我慢が出来ずウェリデにズイッと近寄りギロッと睨んだ。


「おい! 勝手に何してんだよ!」

「ん、アンタ誰? この子の彼氏?」

「あっ、いや、ち、ちげぇけど……」


 ジークは軽くどもりながら口を尖らせた。

 彼氏だと言いたいとこだが、まだレイとはそこまではいけてないから。

 すると、ウェリデはウザッたそうにジークの顔を覗き込んだ。


「じゃあ邪魔すんなよ、オッサン。今から俺らデートなんだから」

「レイとデ、デートだと?! てっめぇーーーー」


 ジークは激しく睨んだが、ウェリテは怯む事無くニヤッと笑う。


「なんだよ。第一さ、アンタ肌の手入れとかしてる?」

「は、肌の手入れだと? テメェ、男のクセに何を……」


 顔をしかめてそこまで言った時、ヴェリテは吐き捨てるようなため息でジークの言葉を遮った。


「はあっ、まったく……! あのな、今はオッサンみたいなマッチョより、美意識高いキレイ系男子がモテるんだって」

「キ、キレイ系男子?」

「時代遅れのオッサンは、どっかでずっと筋トレしてろよ♪」

「チッ、何言ってんだ。男が綺麗でどーーすんだよ。綺麗な女を守るのが、男だろーーが!」


 そう言って身を乗り出してきたジークに、ウェリデはやれやれのポーズで呆れた顔を浮かべた。


「ハイハイ。そういうのいいから。で、結局それでこのお姉さんとも付き合えてないんだろ。それが答えだって。キレ系男子、いや、キレ系おっさんか。ハハハッ♪」

「う~~~~~言わしておけば……んなろーーー!」


 ジークはぐぬぬと顔をしかめている。

 普段から常人の何十倍以上の運動もするし、タンパク質も浴びる程摂っているから肌はキレイだ。

 けど、あくまでそれは戦闘の為に体を鍛えまくってる副産物だし、体には無数の傷がある。

 キレイ系にするなんて、意識した事すら無いのだ。


───ちっくしょーーーーー! こういうのがモテんのかよ!


 そう憤る中、レイが妖しく微笑んできた。


「じゃあ二人とも、男らしく勝負したらどうかしら♪」

「あんっ?」「勝負?!」

レイはどんな勝負を言ってくるのか……

次話はほのぼだけど、ちょっとした真剣勝負に。

本格的なシリアスに向かう前に、こういうのもありかと。

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― 新着の感想 ―
[一言] まぁノーティスの眼光がナンパアイドルに負けるってことはないね 向こうはどうかわからんが
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