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ゼロの輝き─無魔力追放からの反逆  作者: ジュン・ガリアーノ
第6章 魔力クリスタルの深淵
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cys:87 ルミの憂鬱

「ノーティスーーー早くこっち来てよー♪」


 静かに決意を抱えるロウとアンリとは対象的に、暑い陽射しの下、海岸にメティアの元気な可愛い声が響く。

 メティアが可愛い黄色の水着姿でノーティスに手を振り、天真爛漫な笑顔を向けたのだ。


「分かったメティアーー今いくよーーー♪」


 そう言って微笑みながら手を振ったノーティス。

 その隣でルミは顔を火照らし、手を下へピンッと伸ばしてモジモジしている。

 白く眩しい水着姿の格好で。


「まったくもぅっ! ノーティス様、なんで私までこんな格好を……」

「いやルミ、海だから当たり前だろ」


 ノーティスは海パンに半袖のシャツを羽織った姿でサラッと答えたが、内心ルミの水着姿に結構ドキドキしている。


───う〜ん、やっぱルミは可愛いよな……ハァッ。


 ルミの事は可愛いと思いつつも、執事という関係上想いを告げる事が出来ない。

 自分の変に固い性格を恨めしく思う。


 そんな事は夢にも思っていないルミは、モジモジしながらチラッと横目でノーティスを見上げた。


「ノーティス様。第一、これは何なんですか?」

「いや、ジークがレイと海行きたいって言うからさ……」


 ノーティスがそうボヤく先には、紫色の水着を着たセクシーなレイとガタイのいいジークが、楽しそうに海で遊んでいる姿が。


 それを見て、ルミはより顔を火照らせた。

 自分とノーティスがああやって遊んでる所を、二人に重ねて想像してしまったから。


「そ、それは分かってますけど、なぜ私達まで……」


 ルミは色んな意味で恥ずかしく、タジタジしている。

 ノーティスは、そんなルミに困った顔を向けて片手で頭を掻いた。


「仕方ないさ。ジークの奴、一人じゃレイを本気でデートに誘えないから、ダブルデートにしてくれって頼んでくんだもん。まったく、デカい体に似合わずシャイというか……」


 ノーティスがそうボヤく中、ルミはカーッと顔を赤くしながらドキドキしている。

 まだ海に入ってないのに、体が汗で濡れてしまうほどに。


───ダ、ダブルデートという事は、そーゆー事なんですかっ!


 もちろん、ノーティスはただジークの頼みを聞いてあげただけで今デートという意識は無い。

 まぁ、ちょっとは気にしたけど、女心れ〜点なノーティスは、まさかルミが自分を好きだとは思っていないから。 

 なので、汗をかいてるルミが心配になってしまう。


「どうしたルミ、顔赤いけどもう陽に焼けたのか? 汗もヤバいぞ」


 そう言ってスッと顔を覗き込んできたノーティスに、ルミは慌てて両手の平を向けて振った。


「や、や、焼けてませんっ! 見ないで下さいっ!」


 恥ずかしいやら何なのか分からず、ルミは頭がゴチャゴチャだ。

 そんなこんなで慌てたルミは、段差からガクッと足を滑らせてしまった。


「きゃっ!」


 けどその瞬間、ノーティスが片手でガシッとルミを支え、抱きかかえて見つめる。


「大丈夫か、ルミ」


 ノーティスに至近距離から顔を覗き込まれ、ルミは恥ずかしさにカァー―――っと顔を赤くした。


「あ、ありがとうございます! ノーティス様!」

「ん? やっぱルミ、熱でもあるんじゃないのか」


 そっと頬に片手を当ててきたノーティスから、ルミはサッ! と、離れた。

 これ以上こんな事されたらドキドキし過ぎて、それこそ倒れてしまいそうだったから。


「いえっ、ノーティス様。大丈夫です!」

「ホントに?」

「ホ、ホントですよ。それにほら! そう、メティアが呼んでたじゃないですか。早く行ってあげて下さい!」


 早口でそう告げてきたルミに、ノーティスは片手をスッと差し出し優しく微笑んだ。


「ほらルミ、危ないからメティアのとこまで一緒に行こう」

「ノーティス様……」

「ルミにケガしてほしくないし、それに……」


 ノーティスはちょっと顔を赤くして、小声でハッキリ言う。


「今日は一応、ダブルデートっていうていだしさ」

「……はいっ♪」


 ルミは照れながらもニコッと笑うと、ノーティスの手の平にそっと手を乗せキュッと握った。

 ノーティスの手から強さと優しさが伝わってくるのを感じ、ルミは胸をときめかせている。


───ノーティス様……大好きですよ♪ 早く気付いて下さい。


 ルミは顔を火照らせたままノーティスに手を引かれ、メティアの側まで歩いて行った。

 端から見たら、完全にカップルにしか見えない。


 そんな二人を浜辺に座ったまま見上げたメティアは、ちょっと小悪魔チックな笑みを浮かべた。


「あーーーっ、二人とも仲いいんだねーーっ♪」

「あっ、これは違うの! 私が転びそうになったから、ノーティス様が……♪」


 慌てて手を離したルミは、顔が真っ赤に火照っている。

 そんなルミを前にメティアは顔を横に向けて、ワザとちょっとツーンとした表情を浮べた。


「へーーーっ、じゃあボクも転んじゃおうかなー♪」

「メティアさんっ」

「だってボクも、ノーティスの事だーーーーーい好きだもんっ♪」


 メティアはそう言って笑顔で振り向くとノーティスにパッと抱きついて、ニコニコしながら見つめている。

 そんなメティアを、妹のように可愛がるノーティス。


「おいおいメティア、まったく元気だな」

「えへへー♪ ノーティスはボクの事好き?」

「あぁ、もちろん大好きだよ」

「わーーーいっ♪ ボクも大好きだよっ!」


 よりギュッと抱きつくメティアの姿に、ルミはイラッとした。

 ただの嫉妬だと分かっているが、これについては気持ちをなかなか抑えられないのだ。


「お二人とも、仲良さそうでなによりです……!」


 そう言って顔を引きつらせながら笑みを浮かべると、ルミは二人にクルッと踵を返し海の方へスタスタと歩き出した。


「ん? おーい、どこ行くんだルミ」


 ノーティスに背中から声をかけられたが、ルミは振り返らない。

 怒った顔を見せたくないからだ。


「海に来たんだから泳ぎに行くんです! 泳いじゃいけませんかっ!」


 プンスカしながら海に向かうルミをノーティスは不思議そうに見つめたまま、メティアに問いかける。


「なぁメティア。ルミ、急にどうしたのかな?」

「さぁー? ボクには分からないよー♪」


 もちろん、メティアにはルミの気持ちが分かっていたが、まだノーティスに抱きついていたかったので、敢えてイジワルに言ってみた。


 それに、メティアはノーティスに恋心を抱きながらも、同時にルミの事を応援してるので、これなら流石にノーティスもルミの気持に気付くと思ったからだ。


 けど、女心に疎すぎるノーティスには全然分かっていない。

 メティアのピュアで複雑な気持ちはもちろん、ルミの分っかりやすい気持ちも。


「う〜〜ん、急に怒ったのは……」


 ノーティスは謎めいた顔をしながら考えていたが、突然片手で頭を抱えて顔をしかめた。


「あーーーそういう事かっ! 何で分からなかったんだ!」


 かなり後悔しているノーティス。

 その姿を見たメティアは、目をパチッと見開いた。


───おっ、ノーティス遂に気付いたんだね♪ 遂にこれでルミさんと結ばれるのか……まっ、キミが幸せならボクはいいよ。頑張ってね……♪


 メティアは切ない笑みを浮かべている。

 けれど、ノーティスは全然分かっていなかった。


「ルミ、すっごく泳ぎたかったんだな……ハァッ、俺がグズグズしてたから……」

「ノーティス?」


 何を言ってんだ? と、言う顔でメティアが見つめる中、ノーティスは晴れやかな顔を浮かべ胸を張った。


「でも分かってよかった♪ 前進した! これで女心の試験も合格だ。だよな、メティア!」

「ノ、ノーティス……ハハッ」


 唖然とするメティア。

 ノーティスはギャグで言ってる訳じゃなく、真剣に考えた結果がこれだからだ。


───ノーティス、キミはこの二年でより強くなったけど、女心は、れ〜点のままだね。ハァッ……いいのか悪いのか、何だか複雑だな……


 メティアが心でため息を吐いた時、レイとジークは砂浜でビーチベッドに寝そべっていた。

 そして、海に入っていくルミの姿を見ると、ジークはそのままルミに声をかける。


「おーい、嬢ちゃん! ノーティスはどーした?」


 ルミは一瞬ピタッと体を止めたが、背中を悲しく怒らせたままパシャパシャと海に向かっていく。

 

「知りません! ビーチで誰かと抱き合ってるんじゃないですか!」


 そう答えたルミに、レイがジークの隣で敢えてイジワルな笑みを浮べた。

 無論、今の会話で何があったのかを察したからだ。


「ねぇ! ノーティスに言っといて! 次は私のとこに来て頂戴って♪」

「それは……申し訳ないですけど、レイ様ご自身で言ってください!」

「あらそぅ♪ 分かったわーーーー言っておくから♪」


 するとジークがビーチベッドからガバッと上半身を起こして、レイに両腕を広げた。


「おいおいレイ、そりゃねぇだろ。お前さん、全部分かってるくせによ」

「あら、アナタこそあの子が気になってるじゃない♪ 私といるのに」

「いやいや、んな訳ねーだろ。俺はお前さんしか見てねーよ」

「フフッ♪ ならいいけど」


 そんな中、ルミは悲しくてその場に足を止めてうつむいた。

 分かってはいるのだ。

 メティアもレイも、みんないい人だと。

 それに、ノーティスの事になると、すぐに妬いてしまう自分が本当にイヤだった。

 

 でも、やっぱり気持ちはどうにもならず、腹が立ってしまう。


───ノーティス様のバカっ! 私だって、ノーティス様の事大好きなのに……!


 ルミがギュッと瞳を閉じて涙を零すと、レイが後ろからルミの肩にそっと片手を乗せてきた。


「ルミ、ごめんなさい。ワザとイジワル言っちゃったわ」

「レイ様……」


 スッと振り返ったルミを、レイは凛とした美しい瞳で見つめる。


「ルミ、アナタは聡明で可愛い女よ。でも、形に囚われすぎちゃダメ。恋愛は自由よ♪」

「でも……」

「好きならちゃんと想いを伝えなきゃ。特にあの人、そういうの超が付く鈍感なんだから♪」


 そう言われ軽くうつむくルミに、レイは軽くフフン♪ と、した態度で見下ろした。

 全身から、セクシーで挑戦的な色気が立ち昇る。


「まっ、アナタがそうやってグズグズしてるなら、私が取っちゃうわよ♪」

「レイ様っ!」

「フフッ♪ でも安心なさい。ノーティスが……」


 レイがそこまで告げた時、急に浜辺がざわつき始めた。

ザワつく浜辺で一体何が……

シリアスなシーンに進む前に、ちょっとコミカルな展開が続きます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] シドは本当に死んでしまったのか ずっと気になっている。 本当に死んでしまったのなら悲しすぎる。
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